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東京・上中里にある梶原いろは亭では、毎週火曜日に勢いのある若手が一人で1時間の高座をつとめます。今回は春雨や晴太さんの出演です。
春雨や晴太(はるさめやはれた)さん
以前、こちらの梶原いろは亭で「洒落番頭」を聞き、巣鴨のスタジオフォーでは「鹿政談」を聞き、とても好感を持っていましたし、落語芸術協会の落語家と講談師のユニット『ルート9』のメンバーでもありますので、いっそう期待が高まります。
まずは、春雨や晴太さんのご紹介です。
落語家になる前は、会計事務所に7年程勤務、突然落語家になりたいと思い、浅草演芸ホールに出かけ、春雨や雷蔵師匠に「弟子にして下さい」と頼んだそうです。
「別にいいけど」と言われて弟子入り、今日に至るそうです。「別にいいけど」って余りにも軽い応えから開けた落語家への道、人の運命とは不思議ものだと思います。
2015年10月楽屋入り、2019年11月に二つ目昇進、ルート9のメガネチーム(春雨や晴太・三遊亭花金・春風亭昇りん)も、シーズン3に入りました。
本日は11時開演ですが、深夜寄席ではありません。
平日の午前11時ですので「お客様がいなかったらどうしよう」と、不安だったそうです。私も配信で観ますと、あらかじめお断りしておきましたが、一抹の不安はありました。
幕が開くと、お客様の拍手があり一安心。この会は、二席ないし三席演じるのが普通ですが、ただ一人立川らく兵さんは「茶の湯」一席でした。これはこれであっ晴れです。
「牛褒め」等をやる方はなく、古典の大ネタや新作落語やら、皆さん工夫されていて、さて晴太さんはどんな作戦でいくのでしょうか。
「ロッテ」
一席目は、ご自身が作られた「ロッテ」でした。
高校3年生が進路について、担任教師と語り合いながら物語は進んでいきます。
夢を持てとは言っても、それは無理だと必死に止めようとする教師と、あっけらかんとした生徒とのやり取りがおかしくて、どんどん惹き込まれていきます。
途中、これはいつの時代の高校生かとふと、疑問に?
誰に誘われても行きたくない「日ハム・ロッテ戦」と言うのは、もう30年以上前の話で、私が千葉ロッテマリーンズ球場(現ZOZOマリンスタジアム)に、足を運んでいた27~8年前は、ロッテファンが一斉にタオルを振り回して、それは迫力がありました。
サゲはここでは書けませんが、終わってから、ロッテ関係者に晴太さん謝っていました。そのフォロー大事ですね。
「井戸の茶椀」
幻の名器、井戸の茶椀が登場するのは、噺の後半で、正直清兵衛と呼ばれる屑屋と、裏長屋に住む浪人千代田卜斎との出会いから、噺の幕が開きます。
講談「細川茶椀屋敷の由来」を基にした人情噺ですが、途中屑屋さんの苦悩が繰り返されて、ダレてしまいがちなところ、晴太さんはテンポ良く畳み込むように進めます。屑屋仲間が清兵衛を脅かす件はなく、コンパクトにまとめました。
冒頭で「世界一ステキな時間にしたい」と仰っていた通り、素晴らしいひと時となりました。
※写真は許可を得て掲載しています。
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