素朴な疑問引っ越しの時の「方違え(かたたがえ)」って何?

公開日:2019/03/20

引っ越しの時の「方違え(かたたがえ)」って何?

 

年度末は引っ越しシーズンですね。近所の仲のいいご家族が引っ越しをすることになりました。奥さんと「寂しくなるわね~」「新居にも遊びにきてよ」なんてお話をしていた時のこと。

 

「でも今回の引っ越し先は方角が悪いみたいで……姑に方違えしなさいってすすめられちゃったわ」なんて一言が。思わず「大変ねえ!」と返事をしてみたはいいけれど、実のところ「方違え」がなんなのかはよくわかっていなかったワタシ……。

 

気になったら調べないと気が済まない! ということで、奥さんとの会話もそこそこに(ごめんなさい)家に帰って「方違え」について調べてみることにしました。

 

札幌市にある西野神社のホームページによると、「方違え」とは特定の目的地や引っ越し先が、自分が今いるところからすると悪い方位にある場合、目的地がいい方位になる場所で一晩泊まることなどを指すんですって。

 

例えば、今いる場所から北に引っ越したいのに北が悪い方角の場合、引っ越し先よりもさらに北に移動して一泊泊まり、その場所から引っ越し先へ移動すれば南へ引っ越したことになるということですね!

 

方違えの歴史は長く、平安時代にはかなり盛んに行われていたんだそう。実際に源氏物語の中でも方違えは行われていたみたいです。「京都宇治式部郷」のホームページによれば、源氏の君と空蝉が出会ったのは、源氏の君が方違えのために立ち寄った訪問先でのことだったんですって! 

 

ちなみに「いい方位」と「悪い方位」はどうやって決まるかというと、「天一神(てんいちじん、なかがみともいう)」「太白神(たいはくじん)」「大将軍」「金神(こんじん)」「王相(おうしょう)」の5神の居場所が問題とされるみたいです。とくに「天一神」は平安時代から強く信じられていました。各方角に5日から6日程度留まるとされている神様で、この天一神がいる方角を犯すと祟りがあるとされていたみたい。平安時代に行われていた方違いはほとんどが天一神のいる方角を避けたもので、天一神がいる期間はその方角に向かってことを起こしたり、その方角にむかってまっすぐ進んだりすることを避けていたのだそう。

 

移動先を変えずに自分が今いる場所を変えることで悪い方角を避けるのはいいアイディアに思えるけれど、実際に自分がやるとなるとちょっと面倒くさそう……。現代を生きる私たちが平安貴族のように律儀に方違えをするわけにもいきませんよね。

 

そんな場合には、「方位除け」と呼ばれる行為をすれば悪い作用を緩和させることができるのだとか! お祓いをしてもらうのはもちろんのこと、神社で霊符やお守りを買っておくだけでも効果があるんだそうですよ。

 

 

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参照:西野神社

   源氏物語ゆかりあられ専門店 京都宇治式部郷

 

近所に住んでる猛犬の前も「方違え」して避けて通りたい……
近所に住んでる猛犬の前も「方違え」して避けて通りたい……

 

イラスト:飛田冬子

 


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