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2020年01月21日
素朴な疑問
こんにちは! 好奇心も食欲も旺盛な50代主婦、ハルメク子です。
先日、海外赴任から帰国したダンナさんの同僚ご夫妻と食事をしたときのことです。始めは「やっぱり和食はおいしいわね!」とニコニコしていた奥様ですが、長い海外生活から急に環境が変わったせいか、食事が進むに連れて日常の愚痴がこぼれるように。特に困っているのが、なんと印鑑なんだそう。「欧米はサイン社会だから本人がいれば問題ないのに、日本は本人が目の前にいるのに印鑑がないとダメなんて理不尽じゃない?」と不満タラタラ……。
言われてみれば確かに、役所の手続きや契約書などには必ず押印を求められます。当たり前過ぎて考えたことなかったけれど、印鑑が使われている国って世界的に珍しいのかしら? 急に気になってきたので調べてみました。
印鑑の始まりは、今から5000年以上前のメソポタミアなんだとか。当時使われていた印鑑は、円筒形の外周部分に絵や文字を刻み、それを粘土板の上で転がすことで絵や模様を転写するスタイルで、権力者が書簡などに印を付けるために使っていました。
印鑑は、後に西はエジプト、ギリシャ、ローマへ、東はシルクロードを通じてアジア各地へ伝播したものの、ヨーロッパではサインが主流となって印鑑は廃れ、アジアでは中国を中心に印鑑文化が開花していったそうです。
その後、中国から日本へ伝わった印鑑は、有力者や貴族、役人、僧侶などの上流階級から、武将や庶民へと広がり、次第に一般化。1878年(明治11年)には、公私にかかわらず証書に実印を用いる印鑑登録制度が始まりました。以降、現代の日本社会において公私問わず印章は必要不可欠なものとなっています。
さて、ここで本題です。日本以外に印鑑を使う国は世界にどれくらいあるの? 結論から言うと、はっきりとはわかりません。歴史の流れからすると印鑑が浸透しているのはアジア圏のみ。そして、現在も印鑑を使っているのは中国、台湾、韓国、日本だけのようです。
ただし、中国では社印として使われたり、お土産として人気だったりはするものの、日本のような個人の印鑑登録制度はなく、書類はほとんどサインでOKなのだとか。また韓国は日本と同様に印鑑登録制度を採用していましたが、印鑑の偽造が横行したため、現在は印鑑登録制度を段階的に廃止している最中。代わりにサインと電子認証が主流になっていくそうです。
そうなると、日本のように印鑑登録制度があり、個人認証として日常的に印鑑を使っているのは台湾だけということになるんですね。思った以上に少なくてビックリ! 日本でもペーパーレス化、印鑑レス化が加速しているので、近い将来、欧米のように日本も印鑑のいらない社会になるんでしょうか?
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イラスト:飛田冬子