50代からの女性のための人生相談・58

人生相談:若くてきれいな女性と容姿を比べて落ち込む

公開日:2022/02/09

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「50代からの女性のための人生相談」は読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は55歳女性の「若くてきれいな女性と容姿を比べて落ち込む」というお悩みに、仏教の教えをわかりやすく説いて「穏やかな心」へ導く住職・名取芳彦さんが回答します。

人生相談:若くてきれいな女性と容姿を比べて落ち込む

55歳女性の「若くてきれいな女性と容姿を比べて落ち込む」というお悩み

55歳女性の「若くてきれいな女性と容姿を比べて落ち込む」というお悩み

年齢なりの素敵さがあるとは思うのですが、どうしても自分より年下で若くてきれいな女性と容姿を比べてしまい、落ち込んでしまうことが多々あります。

年齢に逆らわず、自分らしいセンスで素敵にこぎれいに生きていけばいいのはわかっているのに。

このようなコンプレックスをうまく解消したいです。

(55歳女性・トミコーヌさん)

名取さんの回答:老いの本質はさまざまな見方をしてつかめるもの

名取さんの回答:老いの本質はさまざまな見方をしてつかめるもの

お墓参りに来る年配のご婦人の多くが「気力も体力も肌のハリも、記憶力までなくなって、年を取るのは嫌なものですね」とおっしゃいます。

そんなとき、私は「三人寄れば文殊の知恵」の話をします。“老い”を含めて、物事は三つくらいの異なった見方をしないと本質をつかむことができず、心は穏やかにはなれないということです。

“老い”とは、気力、体力、記憶力や肌のハリなどが衰えていくことで、これが一つの側面です。

しかし、別の側面もあります。年を重ねることで得られる経験や知識もあるでしょう。

30代の頃、悪口を言われているのを知った私は、悔しく、切なくて眠れぬ夜を過ごしたことがあります。それが50歳を越えた頃には、悪口を聞いても「まあ、そんなふうに思っている人はいると思っていましたよ」「あの人は悪口を言って自分が偉くなったと勘違いしているんです」と、軽くスルーできるようになりました。これも年を取ることの一面です。

そして、年を取ることに嘘や偽りはどこにもありません(仏教では、嘘や偽りのないものは素晴らしいと考えます)。

このように、劣ったところ、良くなったところ、ありのままの自然の摂理という三つくらいの見方をしないと“老い”の本質は見えてきません。

相談をしてくださったトミコーヌさんは、老いて劣った面にとらわれて、コンプレックスを感じているのでしょう。

相談文の冒頭にある「年齢なりの素敵さ」をご自身で、また他の誰か二人に聞いて、具体的に三つくらい挙げてみるといいと思います。そうすれば、三人寄った文殊並の知恵の力で、「年齢なりの素敵さ」の実体に近付けます。コンプレックスも軽減されるでしょう。

ちなみに、デザイナーのココ・シャネルは「20歳の顔は自然からの贈り物。 30歳の顔は自分の生きざま。50歳の顔はあなたの功績」といった至言を残しています。

人と比べない心掛けを!優越感や厄介な劣等感は百害あって一利なし

人と比べない心掛けを!優越感や厄介な劣等感は百害あって一利なし

さて、誰かと比べることによって生まれるコンプレックス(劣等感)の解消法は、比べるのをやめることです。子どもの頃から比べたり、比べられたりして自分の立ち位置を確認してきた場合には、かなり難しいかもしれませんが、ここが知恵の発揮どころです。

誰かと比べて起こる感情の双璧は、優越感と劣等感です。仏教では、こうしたマイナスの感情を知恵(考える力)でコントロールしろと説きます。

優越感に浸れば傲慢になります。他人より自分が優れていると思うのは、先に触れたように一つの面だけを取り上げて悦に入っている状態で、他から見れば“裸の王様”です。また、比べられた方は傷つき、バカにされたと悔しがり、怨みの心も芽生えるかもしれません。

ですから、人と比べて優越感に浸る、あるいは優越感に浸るために比べるのは、やめた方がいいのです。良いことなど一つもありません。

そして、トミコーヌさんが若い人と比べて抱く劣等感。成績や人格などで自分の方が劣っていると感じれば、成績を良くしようと勉強したり、人格を磨いたりなど、劣等感を踏み台にして自分を高めることもできます。

しかし、自分の努力ではどうしようもない年齢によることを比べて生まれるコンプレックスは、踏み台になるどころか、踏み台に踏みつぶされているようなものです。だから、比べない方がいいのです。

ある僧侶は「比べて喜ぶと他を傷つける。比べて悲しむと己を失う」という名言を残しています。

私は上記のようなことを50代で納得しました。おかげで、比べることをほとんどしなくなり、百害あって一利なしの優越感や厄介な劣等感に翻弄されることなく過ごせています。

今を受け入れて「これはこれでいい」と笑顔になれるように

今を受け入れて「これはこれでいい」と笑顔になれるように

それでも、きれいさや若さという土俵で比べてしまうなら、次の方法はいかがでしょう。

若い人を見たら「あなたも私のように年を取るのを覚悟して、今のうちに若さを謳歌しておいた方がいい」と思うのです。「あなたも私と同じ道をたどる」という先輩目線で考えることで、現在のコンプレックスは軽減されるでしょう。

若いときの自分の写真を見て、「私だって若いときはきれいだった」と納得するのもいいかもしれません。写真を見た後に今の自分を鏡に映して瞳の奥を見て、「これはこれでいい」と笑顔でOKが出せるようになるといいですね。

回答者プロフィール:名取芳彦さん

回答者:名取芳彦さん

なとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所研究員。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。写仏、ご詠歌、法話・読経、講演などを通し幅広い布教活動を行う。日常を仏教で“加減乗除”する切り口は好評。『感性をみがく練習』(幻冬舎刊)『心が晴れる智恵』(清流出版)など、著書多数。

構成=渡邊詩織(ハルメクWEB)

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