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- ミヤコ蝶々さん「辛抱、そして深い愛を享受する」
「ハルメク」でエッセイ講座を担当する随筆家・山本ふみこさんが、心に残った先輩女性を紹介する連載企画。今回は、女優で漫才師の「ミヤコ蝶々」さん。さまざまな愛の形を認め深い愛を持って生き抜いたミヤコ蝶々さんから学ぶ「辛抱」とは?
好きな先輩「ミヤコ蝶々(ちょうちょう)」さん
1920-2000年 女優、漫才師
東京生まれ。7歳で初舞台を踏む。48年から南都雄二と夫婦コンビで舞台に立つ。「夫婦善哉」の司会で人気を得て、雄二の死去後も一人で続けた。「女ひとり」「おもろい一族」をはじめ舞台も数多く手掛けた。
「辛抱」のお手本になる先輩
人生、予想もつかないことの連続です。
自分自身のこれまでを、おそるおそるふり返ってみても……、どうしてあんな選択をしたのだろうとか、あのひとにわるいことをしたなあとか、消しゴムで消したくなるようなことが3つも4つも浮かんできます。
そのときとしては真剣な行路だったと思うのですけれど、苦労させられたり、うまくゆかなさに悩んだりするたび、「これは、昔の償いの分!」なんて密かに考えて辛抱することにしています。
……辛抱する。これにはお手本の先輩があります。ミヤコ蝶々の姐(あね)さんです。
女優で漫才師だったミヤコ蝶々を知るひとが少なくなってきましたから、はりきって書かせてもらいます。7歳の年で芝居一座の座長となって芸の道に入り、舞台女優として活躍。長年、上方漫才と喜劇界とを支えたこのひとは「なにわのオカン」として親しまれました。生まれは東京小伝馬町ではありますが。
男はんのことで苦労した人生でもありました。22歳で当時吉本興業の大看板であった三遊亭柳枝(さんゆうてい・りゅうし)と結婚しますが、 27歳で離婚。その後、柳枝師匠の弟子だった南都雄二(なんと・ゆうじ/学校に通えず読み書きに難のあったミヤコ蝶々が「何とゆう字?」と尋ねたのが、この芸名の謂われ)と結婚するも離婚。どちらも、夫の浮気癖が原因でした。
こう記すとスキャンダラスな一面ばかりが浮き彫りにされますが、その結婚も離婚も、その後の元夫との交流も、人間味があふれていて何とも云(い)えず……、あたたかいのです。
さまざまな愛の形を認め辛抱を重ねる
ラジオ、テレビで人気を博した蝶々・雄二のコンビの視聴者参加型トーク番組「夫婦善哉(めおとぜんざい)」は、ふたりの離婚後もつづけられました。辛い選択であったにちがいなくても、深い愛がそこに育まれていったのではなかったでしょうか。
ミヤコ蝶々が、何かをひとのせいにするという回線を持たなかったため、深い愛を享受する資格を得たのだと思えてなりません。
自伝を読むと、さまざまな愛のかたちを認めようとするミヤコ蝶々の姿が浮かんできます。辛抱を重ねながら何かをつかみとってゆくのが伝わって、すすり上げそうになるのでした。
いまの時代を生きていてくれたなら、おもろかったのになあ、と思うんです。愛のはなしを聞きたかったなあ、と。
随筆家:山本ふみこ(やまもと・ふみこ)
1958(昭和33)年、北海道生まれ。出版社勤務を経て独立。ハルメク365では、ラジオエッセイのほか、動画「おしゃべりな本棚」、エッセイ講座の講師として活躍。
※この記事は雑誌「ハルメク」2019年5月号を再編集し、掲載しています。
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