親の入院・介護の備え 基本のき#5
親のかかりつけ医の上手な頼り方・専門医選びQ&Aも
親のかかりつけ医の上手な頼り方・専門医選びQ&Aも
公開日:2024年03月25日
教えてくれた人:長尾和宏(ながお・かずひろ)さん
医師、医学博士、関西国際大学客員教授。著書に『大病院信仰 どこまで続けますか』『その医者のかかり方は損です』など
日本は好きな医師を自分で選べる幸せな国

「病院選びにおいて日本ほど恵まれた国はないんですよ」と話すのは、医師の長尾和宏さん。
「国民皆保険制度のもと、医師・病院が好きなように選べる国は世界でも日本だけ。例えばイギリスは、エリアごとに病院を決められていて、嫌でもそこに行くしかありません。とはいえ、いくら選び放題でも、近くにいて、いつでも頼れる医師の方がベターなのは確か。どの地域でも必ずその土地の“赤ひげ”はいますよ」
あなたの親にかかりつけ医がいない場合は、同じ病気の患者会や、商店街の情報など、やはり口コミこそがインターネットなどよりも信用できると長尾さんはいいます。いざというときに家族が困らないよう、親が元気なうちに見つけておきましょう。
親のかかりつけ医の上手な頼り方
かかりつけ医と専門医に連携して診てもらう
専門医は、特定の分野を深く研究して治療する医師、かかりつけ医は患者の日常の不調や暮らし方全体を診てくれる医師です。
いわば専門医が縦糸、かかりつけ医が横糸で、相互に補完し合うことで、いざというときに守ってくれます。困ったときはまずは親のかかりつけ医に相談し、専門治療が必要になったら紹介してもらいましょう。
親に重病が発見されたら、まずかかりつけ医に相談を

いきなり大病院を訪れても思い通りの治療を受けられるとは限りません。 地域や横のネットワークの強いかかりつけ医や町の開業医にまず相談しましょう。名医図鑑に載っている有名医師・大病院があなたの親に合うとは限りません。
在宅医療を選ぶときにも親のかかりつけ医が頼りになる
いい医師はいいケアマネジャーをたくさん知っていますし、地域の医師会と連携も強く、在宅医療でも頼りになります。新たに探す場合は、勇気を出して、年間に何人ぐらい看取りをされているか聞いてみてください。看取り数が年間10例以上あれば、とりあえずは相談してもよい医療機関です。
親にかかりつけ医がいない場合はどうすればよい?
生の声が集まる患者会へ行くのも手
がんや透析、認知症などには必ず、それぞれの患者会や家族会があります。ここで得られる情報こそ、受け手側による生きた情報です。当事者、仲間が教えてくれる真の体験が伴った情報の方が、ネットなど玉石混淆の情報などよりも信頼がおけます。

健康福祉局や病院の相談室からの逆紹介も
難病の患者会は健康福祉局、大病院の難病相談室で紹介してもらえます。
相談を受ける人をMSW(メディカルソーシャルワーカー)と呼びます。大病院から町の診療所を紹介してくれる場合もあります。逆紹介といいます。MSWの数が多いほどいい大病院、専門病院といえるでしょう。
このように、あなたの親にあったかかりつけ医の探し方はいくつかあります。親のかかりつけ医探しに困ったら、一度足を運んでみるのもよいでしょう。
専門医選び・素朴な疑問Q&A
Q:合う医者が見つからないのは親の問題でしょうか?
A:医者も人間。相性は確かにあります。
いい治療を受けるには、患者さん側が医師と上手にコミュニケーションが取れる、ウマが合うということは大切です。一方、伝え方がヘタな患者さんには医師側も困ってしまいます。親には希望を的確に伝えられる患者になるよう意識してもらったり、家族が付き添って代わりに伝えたりして、治療方針に共感できる医師を探すのがベターです。親子のコミュニケーションがうまくいっていなければ、医者選びも失敗する可能性が高くなります。
Q:親のかかりつけ医も高齢です。新しい先生はすぐ探すべき?
A:タイミングは自由。紹介状を書いてもらうのがベターです。
日本の医療制度の大原則はフリーアクセス、つまり選び放題です。高齢医師が不安なら若い医師に変更しても構いません。その場合は紹介状を書いてもらうほうがベターです。変更のタイミングや変更先は自由に決められるので、あなたの親にあったかかりつけ医を見つけましょう。
Q:セカンドオピニオンを選ぶときの注意点は?
A:系列の違う病院へ行くとよいでしょう。
同じ大学の系列の病院は、標準治療またはその流派に従って治療を行っているので、どこでも同じような回答しか得られません。系統の違う病院へ、最終の診断や初回の治療が始まる前に行くのがベターです。治療が始まってしまうと変えられません。
Q:実家での在宅医療を希望したら担当医が難色を示しました。
A:病院の地域連携室のスタッフに相談を。
大病院の医師や看護師で在宅医療を詳しく把握している人は少ないと思います。病院の地域連携室は、病院と在宅医療の中継地点とも言える場所。病院の中では情報が最も多い場所です。このスタッフに相談されることをおすすめします。
次回からは親の入院や介護にかかるお金について解説します。
取材・文=原田浩二(ハルメク編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2019年12月号を再編集しています




