親の入院・介護の備え 基本のき#4
親の入院・介護はかかりつけ医を味方につける
親の入院・介護はかかりつけ医を味方につける
更新日:2024年06月29日
公開日:2024年03月25日
教えてくれた人:長尾和宏(ながお・かずひろ)さん
医師、医学博士、関西国際大学客員教授。著書に『大病院信仰 どこまで続けますか』『その医者のかかり方は損です』など
親に“かかりつけ医”がいると安心です
いざ何か大きな病気になったとき、「名医ガイド」のような本やインターネットで、いわゆる「いい“大”病院」を探そうとする方は多いのではないでしょうか。それは自分の親や家族が病気になった場合も当てはまると思います。
掲載されているのは確かに実績が伴った“いい病院”なのですが、必ずしもあなたの親に合っているとは限りません。また、突然大病院を訪ねても受け入れてもらえるかどうかもわかりません。では、どうすればよいのでしょう?
「病院選びに失敗しないためには、あなたの親がかかりつけ医を持つことが一番大切です」というのは医師の長尾和宏さんです。
かかりつけ医とは、あなたの親の生活習慣を把握してくれていて、ちょっとした不調のときでも相談でき、いざというときには、親に合う専門医を紹介してくれる人。親にかかりつけ医がいるのといないのとで、入院・介護でどんな違いがあるか見てみましょう。
かかりつけ医がいるかいないかでこんなに違う!
親にかかりつけ医が「いる場合」

【原因不明の不調に悩まされているとき】
総合的に診断し、最適な病院を紹介してくれます。これまでの診療実績から、ある程度原因の目星をつけ、ネットワークの中から病院につないでくれます。
【検診で病気がわかったとき】
治療法、専門医の相談ができます。検査結果をかかりつけ医に見せて相談すれば、適切な医師・病院を紹介してくれます。
【突然倒れ、救急車で運ばれるとき】
救急車の搬送先を指示してくれます。本人や家族が相談すれば、かかりつけ医が、適切な搬送先を指示してくれます。
【いざ治療になったとき】
かかりつけ医と連携して考えてくれます。経過をかかりつけ医に相談し、専門医で治療すべきことと、かかりつけ医が診るべきことを分担してもらえます。
【在宅医療になったとき】
地域でサポートするチームをつくってくれます。かかりつけ医が中心となって、在宅での治療方法を検討してくれます。最期までケアしてくれる場合もあります。
親にかかりつけ医が「いない場合」

【原因不明の不調に悩まされているとき】
大病院に行っても、各分野ごとに検査をしなければなりません。紹介状なしで大病院に駆け込んでも、部門をたらい回しにされ、検査漬けになる可能性が大です。
【検診で病気がわかったとき】
親本人や家族が専門医を探さなければなりません。疑いのある病気の専門医について、ネットや本、知り合いなどから情報を集め、自分たちで探すしかありません。
【突然倒れ、救急車で運ばれるとき】
どこに運ばれるかわからず、たらい回しになることも。救急車は、近い病院から順に問い合わせていきますが、受け入れ先の病院が本人に合わないと後が大変です。
【いざ治療になったとき】
治療法に疑問があっても、どんどん進んでしまうことも。治療や検査に納得がいかない場合も、忙しい専門医には相談できず、本人も家族も悩みを抱えることに……。
【在宅医療になったとき】
診てくれる医師を本人や家族が探すしかありません。大病院で治療不可、または完了となってもリハビリ等がある場合、頼れるところを探し直すことになります。
親のかかりつけ医選びで失敗しない!チェックリスト

「事故で緊急搬送されるようなケースは仕方がありませんが、いきなり大病院に行っても望むような治療を受けられるとは限りません。それこそ、“運”を天に任せるようなもの。親本人はもちろん、家族が頼れるかかりつけ医を持つこと=いい病院選びにつながるのです」(長尾さん)
あなたの親にはかかりつけ医がいる?チェックリスト
【いる】人:その医師は次のうちいくつ当てはまりますか?
- 往診もしてくれる
- 親や家族ともウマが合う
- 親より若い
- 親の住んでいる家から近い
- 相談しやすい
- すぐ専門医を紹介してくれる
- 専門医と併診で診てくれる
往診や担当の科を掲げていなくても、問い合わせて応じてくれるなら、かかりつけ医として適当です。2つ以下しか当てはまらない場合は、かかりつけ医とは言えないかもしれません。
【いない】人:親のかかりつけ医はこう探しましょう
- 親が軽い風邪などになったとき、受診して診てもらいましょう
- タクシーの運転手さんに評判を聞いてみましょう
- 商店街などで地元の口コミを聞いてみましょう
- ホームページもよく見ましょう
タクシー運転手さんには生の声が集まります。「いる人」に挙げたチェック項目が当てはまる人こそぴったりな医師。
「普段よく通っている」という程度では、かかりつけ医とは呼べません。在宅医療を選んだ場合に、できれば最期まで診てくれる人が本当のかかりつけ医。信頼できる医師が親の身近にいる場合は、「往診してくれますか」と率直に尋ねてみるといいでしょう。快く「しますよ」と言ってくれたら安心です。ダメだったら親が元気なうちに探し始めましょう。
次回はいざ親が入院・介護となったときのかかりつけ医の頼り方や、かかりつけ医にまつわるQ&Aを紹介します。
取材・文=原田浩二(ハルメク編集部)、イラストレーション=鈴木あり
※この記事は、雑誌「ハルメク」2019年12月号を再編集しています




