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感染症対策での面会制限とは?5類移行でどう変わる?
老人ホームの面会はコロナ禍でも可能?面会方法と準備
社会福祉士/ハルメク 介護と住まいの相談室 相談員
坂本 愛
公開日:2023.07.28
新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、老人ホームでの面会がしやすくなりました。しかし、感染対策としてコロナ禍の面会方法を採用しているところもあるため、各ホームの面会ルールを押さえておきましょう。3種類の面会方法、事前準備を解説します。
老人ホームの面会はコロナ禍でも可能?
2020年1月16日、新型コロナウイルスの感染者が日本国内で初めて確認されました。少しずつ全国へ感染が広がり、その影響でほとんどの老人ホームで面会が制限されていました。
老人ホームでは面会そのものが禁止となるところも多く、一部では「ガラス越し面会」や「オンライン面会」が導入されました。
感染症対策やワクチンの接種が進み、2023年5月8日から新型コロナウイルス感染症の位置付けが「5類」に変更されたことで、以前よりも面会制限は緩和され、老人ホームでの面会がしやすくなりました。
厚生労働省が公表した方針
2023年4月18日に厚生労働省が公表した「高齢者施設等における感染対策等について」では、「高齢者施設等の入所者について、家族等との面会の機会の減少により心身の健康への影響が懸念されることを踏まえると、高齢者施設等での面会の再開・推進を図ることは重要と考えています」と、老人ホームでの面会の重要性について記載されています。
また、2023年1月27日公表の「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更等に関する対応方針について」においては、「医療機関や高齢者施設でのクラスター防止対策は継続しつつ、できる限り面会の希望が実現できるよう取組をお願いしていく」と明記されました。
厚生労働省が面会の重要性を呼びかけていることからも、今後は全国の老人ホームで面会の制限がなくなっていくと予想されます。
老人ホームでの3種類の面会方法
老人ホームでの面会は、「直接面会」の他、「ガラス越し面会」や「オンライン面会」があります。新型コロナウイルス感染症の位置付けが「5類」に変更されても、すべての老人ホームで直接面会を行えるわけではありません。「ガラス越し面会」や「オンライン面会」を引き続き採用している老人ホームもあります。
特にスタッフの数に余裕がない老人ホームや、要介護度が高い方・医療対応が必要な方が多い老人ホームでは、制限が厳しくなります。
直接面会
直接面会は、居室や面会室のような場所を使用し、入居者と面会者が同じ空間で過ごす面会方法です。コロナ禍前はこの直接面会が主流であり、どの老人ホームでも基本的に採用されていました。
直接面会の利点は、お互いの表情や声が理解しやすく、コミュニケーションを取りやすいところです。この直接面会は新型コロナウイルスの感染リスクが最も高い方法であるため、以下のようなルールを設けているところもあります。
- 新型コロナウイルスのワクチン接種証明書や陰性証明書が必要
- 親族のみ許可
ガラス越し面会
ガラス越し面会は、建物の窓ガラス越しに入居者(建物内)と面会者(建物外)が対面して会話する方法です。携帯電話などで会話しますが、入居者の様子を直接は見られず、会話もしにくいこともあります。建物の外は、夏は暑く、冬は寒いこともあり、長時間の面会も難しくなります。
オンライン面会
コロナ禍で急速に普及したのがZoomなどのビデオ通話サービスです。老人ホームでも、ZoomやLINEなどのビデオ通話を使い、オンラインで会話する面会が導入されました。
オンライン面会は事前に予約が必要で、職員の手もかかり、短時間のみの面会に限られます。入居者と直接会うことができないことからも、だんだんと縮小されています。
そもそも面会ができない老人ホームも
新型コロナウイルスの感染が落ち着いたとはいえ、まだ面会が原則禁止されている老人ホームもあります。医療ケアの必要な方が多い施設や、感染症が広まっている施設などです。そのようなところでは、お看取りのタイミングなど特別な事情を除き、面会が許可されていません。
老人ホームでの面会に向けた事前準備
老人ホームで入居者と面会するには、事前準備が必要となる場合があります。突然ホームに訪問しても断られる可能性があるため、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 日程や時間を予約する
- 新型コロナの対策を徹底する
- ワクチン接種証明書・陰性証明書を用意する
これらの事前準備は、当日の面会をスムーズに進めるためにも重要です。
日程や時間を予約する
老人ホームで入居者と面会したい場合は、事前に日程や時間を予約しておくのが基本です。予約時間などのルールは老人ホームによって異なるため、入居時や予約時に詳しく聞いておきましょう。
また、複数人で面会をしたい場合は、同伴者の制限などの確認も必須です。
新型コロナの対策を徹底する
新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いてきましたが、老人ホームに訪れる際は新型コロナの対策を徹底する必要があります。老人ホームで推奨されている具体的な対策は以下の通りです。
- 面会当日に検温をする
- 感染が疑われる場合は面会をキャンセルする
- 建物に入る前に手洗い・手指消毒・うがいをする
- マスクの着用を徹底する
- 感染者の発生に備えて面会者の氏名や日時、連絡先を記録する
厚生労働省が公表している面会に関するリーフレットにおいても、新型コロナ対策の重要性が記載されています。面会を拒否されるケースもあるため、親族が入居する老人ホームの対策内容をあらかじめ確認しておきましょう。
ワクチン接種証明書・陰性証明書を用意する
老人ホームによっては、面会をする際に新型コロナウイルスのワクチン接種証明書・陰性証明書が必要になる場合もあります。すべての老人ホームで証明書が必要なわけではないため、必要かどうか確認しておくことをおすすめします。
面会の基本ルール|頻度・場所・時間
老人ホームでは、面会の頻度や場所、時間などが決められています。事前に面会の基本ルールを確認しておけば、入居後のトラブルを減らせます。
面会の基本ルールは老人ホームによって異なり、コロナの状況によっても変わります。事前に確認すべき重要ポイントは以下の通りです。
- 頻度:週に何回程度行えるのか
- 場所:居室か、共用の相談室なのか
- 時間:何時から何時まで、何分間面会できるのか
新型コロナウイルスの感染拡大の縮小に伴い、最近は多くの老人ホームで面会ルールの緩和措置が取られています。例えば、ベネッセスタイルケアでは、面会の制限を2023年4月1日より緩和しました。同日公表した「新型コロナウイルス対策 ご面会の制限緩和のお知らせ」では、以下のように面会ルールが緩和されています。
参考:新型コロナウイルス対策 ご面会の制限緩和のお知らせ|ベネッセスタイルケア
面会の制限が緩和されたとはいえ、面会時に37.0度以上の発熱がある場合や新型コロナウイルス感染症と思われる症状が出ている場合は、引き続き面会を受けることができません。
老人ホームによってお看取りのときなど、特別に許可されることもあります。その詳細も確認しておきましょう。
基本ルールを押さえてから面会の予約をしよう
2023年5月8日より、新型コロナウイルス感染症の位置付けが「5類」に変わったことで、面会制限を緩和する老人ホームが増えています。しかし、まだコロナ禍の面会制限が残るホームもあるため、事前に面会のルールを確認しておくことをおすすめします。
記事監修:坂本愛さんのプロフィール
さかもと・めぐみ 社会福祉士。急性期病院のメディカルソーシャルワーカーとして受診相談や退院支援業務を経験。退院後に必要なケアをもとに、ご自宅での療養生活のアドバイスや、介護施設の紹介を実施。雑誌『ハルメク』の記事執筆にも携わる。
老人ホームの選定で迷ったときは、シニア住宅の知識が豊富なスタッフに相談できる「ハルメク 介護と住まいの相談室」の利用をご検討ください。多くの選択肢の中から、ご自身に合った住まいを見つけましょう。
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