片付けのプロが伝授!実家の片付け術 #3

【実録】スゴイ!物を捨てられない親に効いた処方箋

公開日:2023.10.06

更新日:2023.10.06

物であふれた実家を救って片付けのプロになった小林さんに、片付け術を教えてもらう本連載。今回のテーマは実家の片付けで最大のネックとなる、親が物を捨てられない、片付けたがらない、の対処法。親子関係が悪くならないために、どうすれば?

教えてくれたのは…小林美菜(こばやし・みな)さん

教えてくれたのは…小林美菜(こばやし・みな)さん

家事代行・片付けサービス「カジタク」の人気スタッフ。旅行会社勤務を経て、2018年に家事代行サービス「カジタク(アクティア株式会社)」のキャストに登録。延べ300件の整理収納サービスの経験を生かして、子どもに片付けを教える「片づけの家庭教師」、整理収納セミナー、フェスティバル企画運営も実施。整理収納アドバイザー1級資格保有。2023年家事代行サービスアワード優秀賞受賞。

物を大切にする親世代、度が過ぎたら?

親が高齢になると掃除が負担になったり、小さな物につまずいたり危険も伴います。子どもとしてはできるだけ安全な住まいに整えたいですよね。それなのに子どもが実家を片付けるのは親が拒否する……とはしばしば耳にする話。

実家の片付けトラブルでいちばん大変なのが、親が物を捨てられない、散らかった家を問題だと思っていないこと。

小林さんのお父様の書斎(片付け前)
小林さんのお父様の書斎(片付け前)

戦後の物不足と、高度経済成長期に物を持つことがステータスだった時代を生きてきた親世代。大切な品が増えていくのは仕方がないけれど、安心して暮らせるように整理することは必要ですよね。

「私の実家も、ゴミ屋敷のちょっと手前くらいまでに荒れてしまって。片付けが苦手な上に収集癖があるので、物がどんどん増える。父は会社で不用になったキャビネットなどまでもらってきてしまう人で、足の踏み場もなくなっていました」と当時を嘆く小林さん。

物であふれて掃除も十分に行き届かなくなり、カビや虫が発生したり。地震の備えもできず、家具などの転倒や落下が心配だったそうです。

小林さんのお父様の書斎(片付け前)
小林さんのお父様の書斎(片付け前)

当時の写真を見ると、人が歩くだけでも物が落ちてきそうなほど。これほど物を溜め込んでしまうご両親と、どうやって実家を片付けていったのでしょう。

物の捨て方、4つの処方箋

「実家の片付けを通して親子の絆も深まり、その後は親本人がきれいを保てるようになった」という小林さん。親が物を捨てられないタイプでも、円満に片付けるためのアプローチとは?

処方箋1:小さな目標を立て、カレンダーに記入

処方箋1:小さな目標を立て、カレンダーに記入


そもそも親は片付けが必要なことに気付いていない場合があります。危険であることを伝えるだけでなく、きれいに整ったらどんなメリットがあるか、親子で挙げてみて。

冬休みまでに片付けたら孫が泊まれる、親戚を呼べるなど、小さな目標を立ててカレンダーに記入すると、モチベーションになります。

処方箋2:「捨てる」という言葉は使わない

処方箋2:「捨てる」という言葉は使わない

たとえ使っていない物でも“もったいないから捨てられない”は誰にでもありますよね。「捨てる」という言葉は罪悪感をともなうので、「手放す」や「新しい持ち主を探す」へ変換! フリマアプリや地域のリサイクルセンター、古着deワクチンなど、まずはリユースを検討しましょう。

「私もほとんどを環境センターやリサイクルショップで引き取ってもらいました。父は楽器が好きで、バイオリンやサックス、コントラバスまで持っていました。どれも捨てるのは怒りましたが、お気に入りを残してリサイクルショップへ持参したら高値に。ゴミではないと評価してもらえ、誰かに使ってもらえることに喜んでいました」(小林さん)

処方箋3:一時保管コーナーをつくる

ほとんど出番のない道具や家具、床に放置されていた書類や小物でも、親には捨てる決心がつかないことも。そんなときは一時保管コーナーへ。

しばらく経てば不用だと気付けたり、一時保管コーナーが場所を取り、邪魔だと思えるのだそう。小林さんは無理に説得して捨てるのではなく、本人が納得できるまで保管するため倉庫を借りたといいます。

処方箋3:一時保管コーナーをつくる
お父様の物を片付ける前に、一時保管用に借りた倉庫

「特に父は物への執着が強く、ほとんど減らせませんでした。実家を取り壊して二世帯住宅を建てるという事情があったので、やむなく倉庫に移したのですが、それがよい結果になったんです」(小林さん)

月2万円の倉庫代を払うことで、必要以上に物を所有するとコストがかかると気付いたのだそう。新居へ戻すことはせず、大半を処分することができたといいます。

一時保管したことで、2トントラック7台分(!)も処分することに成功
一時保管したことで、2トントラック7台分(!)も処分することに成功

処方箋4:まずは1つ、きれいなエリアを完成させる

いきなり家全体を片付けようとすると、作業の大変さに挫折してしまうことも。半日で片付くほどの小さなエリアに分けて、エリアごとに片付けていきます。

小さくてもきれいなエリアが完成すると、達成感が味わえます。うれしくなると、その後の作業もスピードUP!

実家の片付け、ビフォーアフター!

それでは実際に、小林さんの実家がどのように片付いたのかを紹介しましょう。

書斎

下の写真は小林さんのお父様の書斎。書棚に詰め込まれていたのはほとんどが楽譜でした。大切な楽譜だけ残し、一時保管の倉庫へ。

実家の片付けビフォーアフター(書斎)

「父に整理する決心がついてから、不衛生な状態になった楽譜は手放すなど、判断するためのルールをつくりました。さらに楽器やキャビネットもリサイクルショップに持ち込んだので、書斎にあった趣味の物を10分の1ほどに減らせました」(小林さん)

実家の片付け、ビフォーアフター!
ギターやサックスなどは1本ずつに整理、天袋に納まるように

リビング

こちらはリビング。収納しきれない物が床に散乱していたとは思えないほど、すっきりとした空間を今もキープしています。

実家のリビング片付けビフォーアフター

「新居では収納力の8割くらいまでに物を減らしたので、散らかりにくくなっています。和琴は母の趣味。以前は収納場所がなかったので、押し入れを改造してつくりました」(小林さん)

押し入れを改造し、琴専用の置き場を作ってスッキリ収納

二度と散らからない家にする!5つのルール

実家を完全分離型の二世帯住宅に建て替えてから、すでに5年。小林さんのお宅が今もきれいなのは、二度と散らからない家にするための独自ルールがあるからだそうです。

ルール1:床に物を置かない

掃除がしにくくなるだけでなく、誰かが床に物を出しっぱなしにすると、他の人も片付けずに置くようになってしまいます。家族で徹底することが大切。

テレビ台も壁面に取り付け!床から浮かせてスッキリ
テレビ台も壁面に取り付け!床から浮かせてスッキリ

ルール2:収納家具は造り付けのみ、増やさない

収納スペースを増やすと、一緒に物も増えてしまいがちなので、収納家具は買い足したりしない。さらに収納力の8割ほどに物を整理しておくと、すぐ物があふれることもありません。

ルール3:ゴミ箱の数は最少限にする

散らかりやすいゴミ箱も最少限に減らして。小林家はキッチンと洗面台にしか、ゴミ箱を置かないようにしています。小学生の子ども部屋にもゴミ箱は見当たりません。

ルール3:ゴミ箱の数は最少限にする
小4の娘さんの部屋もミニマル、ゴミ箱もなし

ルール4:家電は1つ買ったら、1つ減らす

便利だからと次々に家電を増やすこともしません。どうしても欲しい家電があったら、古い家電はリサイクルショップなどへ。

ルール5:収納グッズの購入は、物を減らしてから

押し入れ用の収納ケースや戸棚用のファイル立て、引き出しを仕切るトレー等々。収納グッズは便利ですが、購入は物を減らしてから。整理する前の量に合わせると、収納グッズそのものがあまったり、物が多いままになってしまうことに。

実家の片付け後、ご両親の変化は?

物があふれていても、片付けたいとは考えていなかった小林さんのご両親。特に大切な趣味の物を10分の1に減らせたお父様はどのように変わったのでしょう?

「作業を始めた当初は、俺の物は死んでから捨ててほしいと怒るほど、片付けに反対していた父。でも、父の意向を尊重するなど、適切な手順で片付けていったら、次第に前向きになって。インテリアにも興味を持つようになったんですよ」(小林さん)

孫がよく遊びに来るように
孫がよく遊びに来るように

以前は「お父さんの物が多すぎる」とか、「なぜ片付けないのか」など、家族からいつも指摘されていたというお父様。そのために不機嫌なことも多かったそうですが、快適な住まいになって家族仲が良くなったといいます。

お父様は新居に暮らしてからというもの、むやみに物を増やすこともしなくなったそうです。「親子一緒に片付けをやり遂げたことで、大量の物を整理する大変さが理解できたみたいです」と小林さん。お母様も友人や親戚をよく招くようになり、充実した生活を送っているとのことです。

3回にわたりお届けした、小林さんの実体験にもとづく実家の片付け。親子で揉めずに片付けをすすめるヒントや実践テクが満載でした。ぜひ参考にしてみてくださいね。

文:時津木春、編集:ハルメク365編集部、取材協力:カジタク
 


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時津木春

1971年生まれ。編集プロダクション、出版社勤務を経てフリーランス。ファッション誌の執筆からビジネス書の編集まで、旺盛な好奇心を糧に幅広く活動。男女2児の母で思春期の子育て真っ盛り。東京西部の山育ち、植物好き。

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