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- 実家のリビングを心地よく!プロに学ぶ揉めない片付け
親が元気なうちに始めたい、実家の片付け。でも、強引に進めてしまうとトラブルになり、挫折しがち。物があふれた実家を救って片付けのプロになった小林さんに、片付け術を教えてもらう本連載。親子で気持ちよく実家を整理するコツ、今回はリビング篇です!
教えてくれたのは…小林美菜(こばやし・みな)さん
家事代行・片付けサービス「カジタク」の人気スタッフ。旅行会社勤務を経て、2018年に家事代行サービス「カジタク(アクティア株式会社)」のキャストに登録。延べ300件の整理収納サービスの経験を生かして、子どもに片付けを教える「片づけの家庭教師」、整理収納セミナー、フェスティバル企画運営も実施。整理収納アドバイザー1級資格保有。2023年家事代行サービスアワード優秀賞受賞。
高齢親の実家は荒れがち、どうすれば?
帰省するたびに実家の物が増えて荒れてきた、危ないからと片付けると親が激怒する……。親が高齢になるとよく聞く、実家の片付け問題。
物を大切にしてきた親世代、思い出の品が多くなるのはわかるし、体力が衰えてきて掃除が行き届かないのも仕方のないこと。といって、子どもが片付けようとすれば不機嫌になる親も多いものです。どうすればよいのでしょう?
「いくつになっても親は親。子どもに諭されるのを嫌がる人も多く、価値観も違います。実家の片付けで親子関係が悪くなることも少なくないので、アプローチの仕方を覚えておくといいですよ」と話すのは、カジタクの整理収納アドバイザー、小林美菜さん。今回も小林さんの実体験をまじえて、家族が一番に集うリビングを片付けるためのノウハウを教えてくれました。
親に片付けを納得してもらう、が第一歩
前回の記事で紹介したように、実家は親の所有物であり、子どもだからと勝手に片付けてはダメ。小林さんも、なぜ片付けが必要か、まず親に納得してもらうことから始めたといいます。片付いたらこんなにメリットがある!ということを作業前にしっかり伝えるのが大切なのだそう。
「私の親も片付けが苦手な上に、収集癖もあって。下の写真は整理する前の実家のリビングですが、父の集めていた楽譜などが床に積まれていて、所々でなだれを起こしていました」(小林さん)
そこで、リビングがきれいに整ったら、どんなことが叶うのか、まずは親子で一緒に挙げてみたのだそうです。
リビングを片付けるメリット
・物につまずくなど、危険が減る
・掃除がしやすくなり、衛生的になる
・快適なリビングにみんなが集うようになり、家族の時間が増える
・孫や友人をいつでも招くことができる
・長く過ごす場所が整っていると、心が落ち着く
実家のリビングをスムーズに片付ける4つのコツ
子どもだけでなく親自身も片付けが必要!と思えるようになったら、片付けをスタート。無理なくスムーズに進めるために、次の4つのコツを押さえておきましょう。
1.親の希望をしっかり聞く
どんなリビングにしたいか、親の希望をしっかり聞く。子ども側の事情ばかり押し付けないように。
2.捨てるためのルールを作っておく
あらかじめルールや判断基準を決めておけば、捨てやすくなります。例えば、ストックは3年分まで、10年使っていないものは捨てる、レシートや紙袋は去年の物までなど。
3.小さな物でも親に聞いてから、捨てる
実家もそこにある物も、所有者は親。ゴミにしか見えなくても、思い出の品であることも。勝手に捨てると、信頼を失うので要注意。
4.親の体力を考えて、作業時間は短めに
親は高齢なので、体調への気配りを忘れずに。午前中のみなど、作業時間はできるだけ短く。足腰に負担がかからないような配慮も必要です。
リビングがスッキリ片付く、基本5ステップ
それでは実際に、どんなステップでリビングの片付けを進めればよいでしょうか。基本の5ステップを紹介します。
ステップ1:仕分けするスペースを確保する
片付け作業では、現在の収納場所からすべての物を一度出し、「要・不要」に仕分けていくのが基本。出した物を並べられるだけの作業スペースを作っておきます。
ステップ2:リビング全体ではなく、エリアごとに分けて考える
一気に片付けようと、リビングのあちこちに手を出してしまうのはダメ。作業量が多すぎてしまい、挫折する原因に。テレビ台の周り、サイドボードなど、まずリビングを小さなエリアに分けましょう。
ステップ3:片付けやすいエリアから物をすべて出す
片付けるエリアを決めたら、戸棚や引き出しなどの中から、すべての物を出します。このとき不要な物をつまみ出すだけでは、いつもの片付けと同じでそれほど量を減らすことはできません。ここではいったんすべてのものを目の前に出しましょう。
また、アルバムやビデオなど思い入れのある物が並ぶエリアは、時間がかかるので後回しにしましょう。書類なども中身を確認しないと判断ができず、作業が長引くので最後に手を付けたいエリアです。
ステップ4:「だ・わ・へ・し」を活用すると便利
実家のリビングだけでなく、整理・収納の大切なポイントとして『だ・わ・へ・し』※を覚えておくと便利です。手順の頭文字を並べた片付けのルールで、詳しくは以下の通り。
※『だ・わ・へ・し』は、整理収納アドバイザー・井田典子氏が提唱した片付けのルールです。
【整理&収納の手順】
だ:エリアを決めて一度物を【出す】
わ:種類別に【分ける】
へ:必要な物を選んで適量に【減らす】
し:住所を決めて【しまう・収納】する
分けるときは人別や頻度などに。減らすときは、捨てるためのルール(上述のコツ2)に従って。収納するときもよく使う物は手前にするなど頻度を考えたり、持ち主で分けたりすると、きれいを保ちやすくなります。
ステップ5:ゴミ出し、分別は子どもが率先して
ゴミ出しなど力仕事はもちろんのこと、ゴミの分別もなるべく親任せにしません。地域ごとに分け方や出し方はしばしば変更になるので、自治体のホームページなどで調べてあげるとトラブルが少なくなります。
きれいなリビングになり、家族との時間も充実
以前は趣味の物まで散乱し、掃除も行き届かず、家族でくつろぐことが難しかった小林さんの実家のリビング。半年かけて実家を一緒に片付けた後、現在は二世帯住宅に建て替えて暮らしています。
最初は片付けに消極的だったお母様も、今では孫とたくさん遊べるようになり、喜んでいるそう。元来が社交的なので、友人や親戚も気軽に呼べるようになり、さらに充実した生活を送っているといいます。
次回の「実家の片付け術」は物を捨てられない、片付けられない親がテーマ。小林さんの経験から、頑固な親の説得術、散らからなくなる家の心得などをお届けします。お楽しみに!
文:時津木春、編集:ハルメク365編集部、取材協力:カジタク
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