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- 物があふれた実家を救った、プロの片付け心得とは?
実家の片付けに悩んでいませんか?親子といえども価値観は違うから、片付けを手伝うのは簡単ではありません。両親の大切な品々であふれた実家の片付けをきっかけに、整理収納のプロになったというカジタクの小林美菜さんにコツを教えてもらいました。
教えてくれたのは…小林美菜(こばやし・みな)さん
家事代行・片付けサービス「カジタク」の人気スタッフ。旅行会社勤務を経て、2018年に家事代行サービス「カジタク(アクティア株式会社)」のキャストに登録。延べ300件の整理収納サービスの経験を生かして、子どもに片付けを教える「片づけの家庭教師」、整理収納セミナー、フェスティバル企画運営も実施。整理収納アドバイザー1級資格保有。
物を捨てられない親世代、実家がピンチ!
子どもが巣立って同居する家族は減ったのに、かえって実家は物が増えていく――。物のない時代に育った親世代は、不用品の処分が苦手で、物をため込みやすくて困ったという話をよく聞きます。
何より体力の落ちた高齢の親が、散らかった家で暮らすのは心配です。転倒もしやすくなるし、自宅で療養が必要になったときも物が邪魔で介護スペースが取れない、バリアフリーにもできない、というのでは困りますよね。
さらには、親が亡くなった後、そんな実家を一気に片付けようとすれば、子どもの負担はかなりのものです。
「実家の片付けは、親が元気なうちに。親子トラブルにならないようにするには、十分なコミュニケーションが不可欠です。いちばん忘れてはいけないのが、実家もそこにある物も“持ち主は親”だということ」と話すのは、自らの実家を片付けたことをきっかけに整理収納アドバイザーになったという、家事代行・片付けサービス「カジタク」の人気スタッフ小林美菜(こばやし・みな)さん。
小林さんはこれまで、実家の片付けに苦労するお宅を数多くサポートしてきたといいます。親が安全に暮らせて、子どもの負担も減る、そんな理想的な実家の片付けをするにはどのように進めていけばよいのでしょう。小林さんの実家を例に、ノウハウをわかりやすく教えていただきました。
実家をゴミ屋敷にしないため、一念発起
片付けがあまり得意でない両親のもと3姉妹の長女として育ったという小林さん。小さな頃から、友人宅より物が多くて散らかっている家だとは感じていたものの、日常だったこともありそれほど気にはしていなかったそうです。
実家を片付けなければ、と強く思ったのは自分も含め姉妹が独立した後のこと。両親だけの暮らしになったのに、実家はなぜかさらに物であふれていったといいます。
「実家は築32年の一戸建て。父は楽器が好きで、ピアノやアコーディオン、シンセサイザー、バイオリン、サックス、コントラバスまで集めていました。一方、母は和楽器。三味線と和琴を弾き、さらに着物も大好き。趣味の物が増えすぎて足の踏み場もない家でした」と小林さん。
地震の備えなどにも無頓着で、ベッド周辺に置かれた背の高いタンスもグラグラしていたそう。危ないし、物が多すぎて掃除がしにくいから不衛生。虫やカビが大量に発生してしまったり、実家に入るとクシャミが止まらなくなったりして、小林さん姉妹は小さな子どもを連れて帰るのもためらいがちでした。そして、何度も親に、片付けたほうがいいと声を掛けたといいます。
「帰省するたびにアドバイスしても、まったく聞いてくれず、ケンカになるだけ。しかし親が納得してくれないのは、自分も片付けというものを理解していないからではないか」と思うようになったという小林さん。
そこで一念発起して、2人目の育休中に整理収納アドバイザー2級の資格を取得しました。
「片付けのメソッドを知ったとき、衝撃を受けました。散らかった家に育ったせいか、私自身も整理整頓が苦手で悩んでいたんです。でも片付けについて無知なだけだったと気付いたら、部屋を整えて暮らすことがめちゃくちゃ楽しくなりました」(小林さん)
実家を円満に片付ける心得とは?
片付けについて学びと実践を深めていくにつれ、片付けが苦手な親へのアプローチが間違っていたことも知り、以下のような点に注意して、実家の整理を進めていったといいます。
実家を円満に片付ける!5つの心得
1.実家の片付けは長丁場、一気に片付けようと思わない
親子バトルを防ぐためには、親が現状を理解していないうちから、一気に片付けようとしないこと。たとえ危険で不衛生な家であったとしても、親は問題に気付かず、満足していることも多いのです。
例えば1つの棚のみなど、小さなスペースだけを一緒に片付けて、整えた後の快適さを知ってもらうなどステップを踏むと、トラブルが少なくなります。
2.片付ける日時を決め、あらかじめ伝えておく
家が散らかりやすい人は、当然のことながら整理整頓が苦手。突然、押しかけて片付けを始められると、心の準備ができておらず、パニックになりかねません。事前に希望の日時を聞き、できるなら、物を並べて整理するためのスペースを空けておいてもらいましょう。
3.どんなに小さな物でも、勝手に捨てない
実家の持ち主は親、子どもの持ち物ではないことを忘れずに。たとえ床に散らかった小さな物であっても、捨てるかどうかを決めるのは親なのです。早く作業を進めたいからと、勝手に捨ててしまうと信頼されなくなってしまうので注意。
4.思い出話に付き合うと、捨てる決心がつくことも
ゴミにしか見えなくても、本人には大切な思い出の品だったりします。手を動かしながらでも、その物にまつわる思い出話をひと通り話してもらいましょう。共有できたという満足感から、捨ててもよいと思えるようになります。
5.判断に迷う物は一時保管コーナーへ
いつか出番があるかもしれないと思うと、捨てられない物ってたくさんありますよね。判断に迷った物は一時保管コーナーへまとめておきます。しばらく経って、やはり使わないと気付けたら、処分しましょう。
経験豊富なプロに頼ってみるのもあり
このような5つの心得を守ったとしても、親子だけでは難しいケースもあるでしょう。親のプライドが高すぎて子どものアドバイスをまったく受け付けないときなどは、第三者を入れた方が親も素直になれます。
「子どもを頼るのは恥ずかしいことだから嫌、という方もいらっしゃいます。また子どもも仕事が忙しく、途中で挫折してしまったというご依頼もありました」と小林さん。
あまり無理をしてストレス過多になるくらいなら、経験豊富な片付けのプロに頼るのもあり、です。
実家の片付け成功で親子仲も良くなる
小林さんは週に1回、半年以上かけて実家を一緒に片付け、3分の1くらいに物を減らしたのだそう。現在は実家を完全分離タイプの二世帯住宅に建て替えて、暮らしています。
「最初は特に父が片付けることを嫌がりました。どれも大切な物ばかりで不用品などないと怒っていましたが、本人が納得するまで寄り添って進めたので、大きなトラブルにはなりませんでした。片付けを通してコミュニケーションも増え、かえって親子の絆も深まったように思います」(小林さん)
いつも家が整っていることで人を招きやすくなり、社交的なお母様も喜んでいるといいます。新居の完成から5年ほど経った今も、物を厳選して買うようになり、収納場所にも工夫を凝らしたことで以前のように散らかることはありません。
自分の家や実家を整理したことで片付けが得意になり、さらにもっと深く関わりたいと片付けのプロを目指したという小林さん。整理収納アドバイザー1級の取得に必要なプレゼンテーションでは、実家の片付けをテーマにして合格しています。
次回の「実家の片付け術」はリビング篇! 小林さんがどんなふうに実家を片付けていったのか、さらに詳しく紹介します。キレイを保ちやすい家事の配置や収納のコツなども公開。お楽しみに!
文:時津木春、編集:ハルメク365編集部、取材協力:カジタク
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