植物のプロが「ウンベラータの剪定方法」の悩みに回答

観葉植物をおしゃれにする剪定方法と注意点を解説!

公開日:2022.07.13

生活空間をおしゃれにしてくれる観葉植物。素敵に飾りたいけれどうまくいかない……と悩む人も多いはず。そこで、読者からの「フィカスウンベラータをおしゃれにしたい」という相談に、毎月ハルメクWEBで連載をしている、第一園芸の黒木さんが回答します。

お悩み:我が家のフィカスウンベラータは直立不動……

お悩み:我が家のフィカスウンベラータは直立不動……
S.Y.さんが育てている実際のフィカスウンベラータ

観葉植物について知りたいです。

おしゃれなインテリアやモデルさんの背景によく使われている、フィカスウンベラータを購入しました。

しかし、おしゃれな感じに枝分かれせず、カーブを描いている枝でもなく、ただ直立不動のメインの枝に、下から上まで葉っぱが並んで付いているだけです。

ネットでいろいろ調べてみましたが、枝分かれされるための剪定も、どこで切ったらいいわからず不安でできません。おしゃれにする方法を教えてほしいです。

(S.Y.さん)

回答:剪定を数年かけて繰り返し、枝分かれさせる方法も

剪定を数年かけて繰り返し、枝分かれさせる方法も

S.Y.さんのご自宅にあるウンベラータは、非常にきれいに生長しているように見えます。しかし、相談内容のような「曲がる」「枝が増える」成長は、しにくい状況になってしまっています。

生産者は枝がまだ柔らかい(木が若い)時期から枝を曲げ始め、成長に合わせて角度を調整していきます。

S.Y.さんのウンベラータを今から曲がった樹形にするために、折れないように角度をつけて、曲げたままの状態で枝が固まるまで固定するのは、やや難しいかもしれません。

そこで、今回は枝分れさせるための方法「剪定」について紹介します。

最初の剪定は思い切りが必要

最初の剪定は思い切りが必要

植物は「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という、頂点の葉がより育ちやすくなる性質があります。このウンベラータでも頂点以外の部分から新しく葉(脇枝)が出ないまま、頂上部分のみ成長している状態のように見えます。

このような場合、上の画像のように葉と葉の間の枝を切ることで、下の葉の付け根部分から、新芽が2~3本出てくることが多いです。ただし、新芽がどこから出てくるかを正確に把握することはできません。葉の付け根以外から新芽が出ることも多々あります。

このような剪定を数年かけて繰り返すことで、真っすぐの樹形が枝分れした樹形に変化していきます。

切り戻した跡がはっきりとわかるウンベラータ
切り戻した跡がはっきりとわかるウンベラータ

ただ、切り戻しを行った後の切り口は意外と目立ちます。S.Y.さんのウンベラータは枝の切り戻した跡も無くきれいです。しかし、現状のまま育てていても、天井の高さもあり、いずれ剪定は必要になります。最初の剪定は思い切りが必要となりそうです。

剪定の2~3週間後くらいに非常に小さな新芽が出てくる

そして、剪定の2~3週間後くらいに非常に小さな新芽が出てくると成功です。その新芽が成長し、枝を伸ばしていってくれます。

剪定には時季と切り口のケアが大切

剪定には時季と切り口のケアが大切

どんな植物にも、剪定をするタイミングなどの注意点があります。ウンベラータの剪定を行う場合の注意点は2つです。

注意点1:剪定のタイミング

5月~10月上旬の「成長期」に行いましょう。この時季以外の「休眠期」は、新芽が出にくいです。

注意点2:切り口から出る樹液のケア

ゴムの木の仲間であるウンベラータは、枝や葉を切ると白い樹液が出てきます。この樹液でかぶれる場合もあるので、ビニール手袋などを着用し、床などを汚さないように新聞紙などを敷いてから剪定を行いましょう。

切り口にはティッシュなどをすぐに巻いて、樹液が垂れないようにします。

半日くらいすると樹液は出てこなくなるので、樹液が止まったことを確認してからティッシュなどを外します。

購入時に樹形の整った植物を選ぶことも大切

購入時に樹形の整った植物を選ぶことも大切

今回のS.Y.さんのウンベラータに限らず、木を太く育てたり、枝を多くしたりするのは、年数をかけて作り込む必要があります。特に剪定後はかなり違う姿になりますし、必ずしも理想の樹形になるとは限りません。

それでもその木ならではの「少しずつ変化していく姿」を楽しむのもいいものです。

また、販売されている「樹形の整った観葉植物」は、同じ種類でも価格が高めです。それは今回ご紹介したような手入れを、より高度に、プロの方々が年数をかけ、手塩にかけ育てているためです。その苦労と年数を考えると安いとさえ感じてしまうものもあります。

植物購入の際に、樹形が整ったものを最初から選ぶべきか、育てながら理想に近づけるか、どちらにするかを考えて購入するのもいいかもしれません。また、植物は「置く場所」「植物の大きさ」でもイメージが変わるので、試してみてください。

回答者:黒木 勝さん

くろき・まさる 第一園芸株式会社 商品販売事業本部 業務推進室 在籍。同社にて鉢物制作を担当後、第一園芸数店舗の店長を勤め、現職。観葉植物の知識の豊富さは第一園芸随一との呼び声も高い。好きな植物は羊歯類。自宅には約50鉢の植物を育てる公私に渡る植物マニア。

構成=石川恵子(第一園芸・花毎)


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