北海道・帯広を拓く~六花亭の銘菓~
2022.09.152022年03月03日
二十四節季で季節を感じる
ひな祭り~桃の節句……でも桃が咲いていない
中医学や薬膳を勉強する上で、二十四節季は必要な大事な知識です。ちょっと難しそうな暦の話ですが、知れば知る程興味をそそられ、暮らしに潤いをもたらしてくれます。
太陽暦と太陰暦
今私たちが使っている新暦は、太陽を基準にした“太陽暦”です。地球が太陽の周りを一周する365日を1年としています。
一方、月の満ち欠けと太陽の周期を組み合わせた暦は太陰暦ですが、月の満ち欠けを基準にすると1年は354日で、太陽が示す365日と11日もずれてしまいます。
中国の旧正月(春節)やイスラムのラマダン(断食を行う月)が、毎年日にちがズレるのはこのためです。
季節と暦がズレてしまうと、農作業を中心としていた頃の生活では不便極まりない、ということで太陽が示す1年を24分割して、季節を的確に表したのが二十四節気です。
季節を感じられる二十四節季
二十四節季を知らなくても、夏至・冬至・春分・秋分などの暦はよく耳にされるのではないでしょうか。
春分、秋分はお墓参りに行く日(ちなみに中国では清明節の時にお墓参りに行きます)。冬至には柚子湯に入り、かぼちゃを食べる。なぜなのか理由は知らなくても、多くの日本人は習慣的に季節ならではの行事を大なり小なり行ってきました。
最近では、立春の前日の節分に、子供たちが家で豆まきをして鬼を追い払い、街のあちらこちらのお店には恵方巻が商魂たくましく売られていましたよね。
これらの、知られている節季だけでなく、他の二十四節季の意味を知ると、それぞれの節季の情緒ある背景に、とても心が和みます。
普段、時間に追われ、忙しい日々を送っていても、ふと「ああ、今日は雨水だな~、寒さももうすぐ終わりに近づくな」なんて感じる瞬間があることは、とても大事だと思います。
例えば、“穀雨”(こくう:4月20日~5月4日ごろ)は種まきを迎える時季の恵みの雨のころ。
“霜降”(そうこう:10月23日~11月6日ごろ)は冷え込みがぐっと増し、地面には霜が降り始めるころ。
季節がズレている節句
ところで、本日3月3日はひな祭り、桃の節句です。
おひな飾りで飾るお花は桃と決まっていますが、その桃は、花屋さんで見かけることができても、自然に咲いている桃の花を、その頃見かけることは、ほぼありません。実際の桃の花の開花時期は、3月末から4月初旬ごろで、桜の開花と同じか、遅いくらいなんですって!
旧暦の3月3日は、新暦の3月下旬から4月中旬に当たり、桃の花が咲き始めるころ。現在使われている新暦の3月3日に、桃の花が咲いていないのは当然なんですね。
旧暦と新暦のズレが、私たちが日ごろ行っている節句や行事にも、少ながらず影響を及ぼしているんです。
他にも、7月7日の七夕。織姫さまと彦星さまが天の川を渡って1年に1度会えるという伝説ですが、その頃は、まだまだ梅雨の真っ盛りで、夜空に星空を望むことはできるのはまれです。織姫さまと彦星さまが会えないのではないか……と、やきもきしますが、旧暦では、新暦の8月下旬の天気が安定したころだったそう。
娘たちも成人して、それぞれに独立して、家に昔ながらのひな飾りをすることはなくなりましたが、自作のひな飾りをささやかに飾り、季節を味わうことだけは、忘れないようにしたいと思っています。
参考資料
『にっぽんの七十二候』高月美樹/瀬戸口しおり
『七十二候の食薬レシピ』大友育美
■もっと知りたい■