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- 私と茶道(1)雑な性格でもかれこれ30年
30代なかばから始めた「表千家」の茶道。その魅力や、茶道教室で出会ったかけがえのない仲間とのエピソードについて語ります。今回は、茶道を始めたきっかけや、それを続けたことで身についた丁寧な作法、さらにその作法が仕事に生かされたお話です。
最初は「なんとなく」。これが30年ほどに
私は30代半ば頃「表千家」茶道を始めました。若く活発に過ごしていた頃ですので、茶道のようなおしとやかなものには縁はないと思っていましたが、近所の女性センターで教室が開かれており、「お茶を飲んでお菓子を食べる、宿題もないだろうしいいかな」となんとなく思ったのが始まりでした。そんな気楽に始めた茶道でしたが、私にとっては厳しいものでした。しかし出会った先生が凛として素敵で、その着物姿にもあこがれて、かれこれ30年続いています。
茶道の目標は、「心から客をもてなす」の一言かと思います。お茶で行う所作の一つ一つには深い意味が込められています。点前(てまえ)や作法というのは、客においしいお茶を飲んでいただきたいという、亭主の思いが込められています。また、客は感謝の気持ちで一服のお茶をいただきます。その一服のお茶に込められた、さまざまな意味を長い年月をかけて学んできました。
先生に「デリカシーがない」とまで
さて、どんな厳しいことが私を待ち受けていたかというと、ゆっくりとした、丁寧な作法を覚えるということです。つまり道具を大切に扱うということです。
私がせっかちで雑な性格であることは、先生にはお見通しで、デリカシーがないとまで言われたこともありました。さらに具体的な先生のご指導の一つに、今している所作、今、目の前にある道具に心を置くことがありました。これを心がけることで、ゆっくり丁寧にできるようになり、仕事にも活かされることになりました。
稽古は毎週土曜日、18名のグループで行われています。点前をする人、お茶を飲む人と順番で決めてそれぞれ稽古しています。床の間にいける、季節の移り変わりを直接的に表現している花と花入れは、先生が持ってきてくださいます。その花と花入れで、美しい茶道の世界が広がるのです。
茶道のおかげで、丁寧な仕事が身についた
話は変わりますが、私は45歳から15年間、ある製造会社に勤めました。そこで最終工程である検査の仕事をしていました。
仕事中、いつも先生の言葉を思うのです。今、していることに心をおくこと、一つ一つの製品に心を置いて検査をしていました。そのお蔭で不良を出すことはありませんでした。
毎週の稽古で身につけることが、仕事にも通じると実感しました。長く稽古をしていることで落ち着きも身についたように思えます。
茶道をやってみたいと思っている方がおられましたら、扇子、懐紙(かいし)、袱紗(ふくさ)を用意していただければ始められるのではと思っています。写真がそれです。敷居が高そうなイメージですが、カルチャーセンターなどのカジュアルな場での茶道から始めてみるといいかもしれません。
次回は、人生の節目に大きな影響と勇気をもらった、茶道仲間を紹介します。水泳もこなし、姿勢も美しく教養あふれる、Aさん(88歳)のお話です。
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