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- 茶道の魅力とお茶会へのお誘い
「表千家」の茶道を30代なかばから始めたという上野洋子さん。茶道にあまり触れる機会がない人にも「非日常な空間」を味わえるお茶会にはぜひ参加してみてほしいと語ります。今回は、お茶会での作法や振る舞いについてお伝えします。意外と簡単なんですよ。
茶道はどれだけやっても奥深いものです。
私は30年も茶道を稽古しています。しかし、長くやっていても、これでよしという作法や立ち居振る舞いができているとは思えません。ですから稽古しています。
正座の姿勢を基本にした立ち居振る舞いを習得することが、茶の湯の第一歩といわれています。
茶の湯は畳の上で営む伝統的な生活様式に基づいた文化です。点前を行なう場合であれ、客として招かれた場合であれ、畳の上で座り、立ち、歩く動作はすべての基礎になります。
こんなことを初めに書くと、茶道とは大変堅苦しい難しいものと思われてしまうでしょうか。いえ、そんなことはありません。
私は2019年11月に、護国寺のお茶会に行ってきました。朝早くから着物を着て出かけるのですからやはり大変です。(洋服でもかまいません)
そんなに大変そうなのに、いったい何が楽しみでお茶会に出かけるの?と聞かれたら、茶室という所が非日常で別世界だから、と答えています。
まず畳敷きの和室自体、床(床の間)という空間が特別な場所なのです。床に飾る物のうち、第一に考えられるのは掛け物です。いわゆる掛け軸です。掛け物は床という場所にふさわしい敬意に値するものをかけます。掛け物は亭主(茶席で茶を点てて接待する人、主人です)の思いを表現する重要な道具です。
また、床には花も飾ります。外界の変化から隔てられた茶の湯の空間で、季節の移り変わりを直接的に表現しているものは何か、それは茶室の床に生けられた花です。
信楽焼の筒花入れ、とさみずきの葉と太神楽、初嵐という椿です。
私の稽古場の床の花です。いい感じだと思いませんか? 心が落ち着きます。
初めての茶会に行かれる時の持ち物
持ち物は、扇子、ふくさ、懐紙があれば大丈夫です。
茶席には正客といわれる人が必ずおられます。茶会における最上位の客です。茶道にも精通している方です。ですから、正客のなさることをよく見ていて同じようにすればいいのです。
お菓子の取り方
私も最初はこのお菓子どう取るの?とか、お茶椀を回して飲むの?とか不安でいっぱいでした。本当に前の方のなさるのをまねたことを思い出します。
お菓子は菓子器にのって回ってきます。隣りの方にお先の礼をして、自分の膝前に懐紙をおいて、一つ黒文字(箸)でお菓子を取ります。そして、黒文字を懐紙の右角で拭い、菓子器を次の方に回します。
11月でしたので猪子餅です。無病息災、子孫繫栄の意味があります。
お茶のいただき方
大寄せのお茶会では、薄茶をいただきます。お茶が自分に運ばれたら、自分の居住まいを正して、茶わんを手に取り、次の客との間に置いてお先にの礼をします。次に茶わんを自分のひざ前に置いて、亭主にいただきますの礼をします。茶わんを押しいただいて、正面をよけるように、手前に2度回してお茶をいただきます。
茶わんの正面というのは、絵付けのあるところなどです。幾口かでお茶を飲み、飲み終わったら飲み口を左から右に指でぬぐい、その指を懐紙でぬぐいます。
最後は、茶わんを2回向こうに回して畳のヘリ外に置きます。「けっこうなお点前で」とは言わなくていいのです。亭主との会話は正客の役目だからです。
機会があれば、ぜひ茶会にお出掛けください。
どうかこの非現実的な空間での雰囲気は、そこにはもてなしと思いやりの心があります。美しい掛け物、花、道具、そして、美味しいお茶をという心と所作があります。また、招かれた客も感謝して一服のお茶をいただくのです。心が通じたときに喜びがあります。
もっともっと茶道は奥深いものです。まだまだ精進せねばと思ってます。少しでも茶道を近くに感じていただけたら幸いです。
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