大切な思い出の品を捨てずにリメイク

リメイクで気付いた、本当に気に入った物を選ぶ大切さ

公開日:2020.08.13

C型肝炎を克服して21日後に脳出血になったharumatiさん。STAY HOME期間を利用して、大切な物のリメイクに取り組んでいます。物を大切に長く活かしていくためには、購入するときに本当に気に入ったものを選ぶことがポイントのようです。

新型コロナウィルスパンデミックの中で

脳出血発症から約3年半の時をかけて、1.ボランティア活動 2.娘母子とのプチ同居 3.旅行、という病前の3本柱の生活への復帰を、第103回ピースボート「オセアニア一周クルーズ」への参加をもって、ようやく果たしました。

これからは、量や質の変化はあるとしても、夫の支援を受けながら、病前に近いリタイア生活を楽しむことができると、喜んだのもつかの間。6年間続けてきた大学生の漁業体験コーディネーターとしてのボランティア活動も、8年間続けてきた夏休みの娘母子とのプチ同居も、何もかもがかなわない事態が私を待っていました。言わずもがな、それは、新型コロナウィルスのパンデミックによってです。

3年半の時を掛けて、ようやく取り戻した私の生活。それを根底から覆すコロナ禍によって、今年の夏はこれまでとはまったく違う生活を送っています。

玄関隅の傘立てには、毎年娘が使っていた私の日傘、孫たちの雨傘2本がポツンと。現れない主を待っているかのようです。

玄関隅の傘立てには、去年の夏、娘が使っていた日傘や孫たちの雨傘がそのままに
玄関隅の傘立てには、去年の夏、娘が使っていた日傘や孫たちの雨傘がそのままに

 

「物」に向かうときに大切にしたいこと

特別な大きな行事だけではなく、日常の買い物も、サークル活動も、友人との会食も、定例の図書館通いも、すべてに自粛が呼びかけられるようになり、私たちに残されたものはといえば、自宅で過ごす膨大な時間。これを活かさない手はないとばかりに、夫と私は、長年気にしつつも手つかずになっていた、クローゼットの大改造に取り組み始めました。

体の不自由な私が、できるだけ家族の手を煩わさずに自立した生活ができるようにというのが、このクローゼット改造のそもそもの目的でした。が、これに取り組む中で多くの気付きがありました。その一つが、「本当に気に入った物を選ぶ」ことの大切さです。気に入っているからこそ捨てられない、捨てられないからこそ活かそうとする、活かそうとするから工夫が生まれる。何と素晴らしい循環でしょうか!

 

捨てることができず、何十年もしてから活かされたもの

34年前にこの家を買いました。どのぐらいの収入があれば、どういうレベルの家を維持していけるのか、まったく見当が付かなかった、当時まだ30代の私たちは、背伸びをしなくていいように、地代の安い田舎で新築の戸建ての家を買いました。

引っ越したらすぐに、目隠しのためのカーテンが必要です。まだショッピングモールなどは多くなかった時代。小さなカーテン専門店でリバティプリントのモダンでありながらシックなカーテンを見つけました。当時の私たちにとっては結構高価なものでしたが、奮発して購入。6畳の和室にじゅうたんを敷いたリビングと、襖を外してつなげた6畳のダイニングキッチンの、掃き出し窓に掛けました。同じカーテンを掛けることで、1部屋のリビングダイニングとしてのまとまりが生まれ、素敵な雰囲気になったことを、今でもはっきりと思い出すことができます。

その3年後、リビングダイニングとしてのまとまりをより高めるために、二部屋いっぱいにサンルームを増築しました。サンルームにはブラインドを付けたので、掃き出し窓に掛けたカーテンはいらなくなってしまいました。3年しか使っていない、しかもお気に入りのカーテン。当然捨てられるものではありません。そして、何年もたった去年になって突然、サンルームの天井に掛けるサンーシェードにすることを思い立ったのです。それを掛けることによって、陽差しのきついサンルームが、夏休みに体験入学のために帰ってくる孫たちの勉強部屋になりました。

30年近く捨てられずにおいていたカーテンが、去年サンルームのサンシェードとして生まれ変わった
30年近く捨てられずにおいていたカーテンが、去年サンルームのサンシェードとして生まれ変わった

何年もたって活かすことになったもう一つのもの。それは、25年ほど前のベッドカバー兼包布です。ブライダルの第一人者・桂由美デザインの物で、これもまた、私たちにはぜいたくな買い物でしたが、気に入ってしまったので、大切に使って一生ものにしようと決心して購入しました。

ところが、いかんせん、我が家の寝室は日当たりがよく、数年で日焼けした包布は、生地が薄くなり、破れ始めたのです。破れた包布は、もうどうしようもなく、かといって捨てられず、長い間「再考用」の紙袋に入れられ、押し入れに片付けられたままになっていました。

8年ほど前、知人を通して、まったく偶然に「裂き織」の先生に出会いました。裂き織には、古いシーツがぴったりだと聞いて、ひらめきました。初心者には大物過ぎるけれど、何とかがんばってベッドライナーにしようと。先生にやり方を教えていただいて、包布を細く裂いてボール状に丸めておきます。そこまでの準備が整ったら、先生のところに通って、織機を貸していただいてひたすら織る。体験教室でコースターしか織ったことがなかったのに、こんな大物を延べ3日間で織り上げたのには先生もびっくり。お気に入りの布の魔力でしょうか。今そのベッドライナーは、ログハウスのベッドルームで活用中です。

日当たりのいい寝室で日焼けして破れてしまった包布は、裂き織でベッドライナーに生まれ変わった
日当たりのいい寝室で日焼けして破れてしまった包布は、裂き織でベッドライナーに生まれ変わった
ベッドライナーはログハウスで活用
ベッドライナーはログハウスで活用

 

古い物を活かして創った究極の作品

4年前、夫の友人から、喉から手が出るような話が持ち上がりました。江戸時代に建てられた貸し家を、もう使えないから壊すというのです。さらに、夫が古い物を好きなことをよく知るその友人は、「よかったら、古材を使ってください」と、声を掛けてくれたのです。

ショベルカーで何もかもを一緒に壊し、ゴミとして処分するのが普通の昨今にあって、請け負ってくれた業者さんは、きれいに選り分けて、使える木材を友人宅の庭に運び込むことまでしてくれたのです。

江戸時代の大工さんの文字や墨の入った古材を、2トンのユニックをレンタルして、友人ご夫妻・息子・私たち総出で三重県のログハウスまで運びました。

自分と家族のためだけに建てたつもりのログハウスでしたが、親戚や友人もたくさん訪れてくれるようになり、ボランティア活動の拠点となってからは、夫の趣味の道具や古い物を置きっぱなしとは、いかなくなってしまっていました。そこで、自分の好きな物を置きっ放しにできるように、建築確認申請不要の床面積10㎡のアトリエを建てたいというのが、その頃の夫の夢になっていたのです。

夫が、アトリエを創るための部材を創っている間、基礎を打つのを、まだ体が不自由でなかった私も手伝いました。壁は漆喰。古材と漆喰は、相性抜群なのです。途中に私の入院で3ヶ月あまりの休みが入りましたが、建て始めて半年で、古材と漆喰のアトリエが出来上がりました。

こうして、捨てられようとしていた江戸時代の材木が、お気に入りの新しい作品に生まれ変わったのです。

「古い物を活かして創る」究極の作品 ログハウスの庭に建てた夫のアトリエ
「古い物を活かして創る」究極の作品 ログハウスの庭に建てた夫のアトリエ

 

梅雨も明けて、元気の出る夏がやってきました。次回は、真夏の太陽にエネルギーもらいながら、 50歳を過ぎてから始めた英語会話について書いてみようと思います。

harumati

45歳~66歳までC型肝炎と共生。2016年奇蹟とも思える完治から、今度は脳出血に襲われ右半身麻痺の大きな後遺症が残り身体障害者に。同居する息子と夫に家事を任せての暮らしにピリオドを打ち、2021年11月「介護付き有料老人ホーム」に夫と入居。「小さな暮らし」で「豊かな生活」を創り出そうと模索中です。

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