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- お気に入りの地・パースでの足止めと最大のハプニング
2016年、C型肝炎を克服してわずか21日後に脳出血になったharumatiさん。生活の3本の柱の一つという「旅」に復帰するために選んだのは、約2か月間のクルーズ旅行でした。今回は、オーストラリアでの旅行記とハプニングについてつづります。
3月らしい陽ざしの中を、田舎から田舎へドライブ
パプアニューギニアのラバウルを最後に、南半球にお別れして、コロナウィルス騒ぎ真っただ中の日本に帰国したのが2月16日。
それから2週間。春の陽気を感じさせる3月を迎えました。乗っていた船は違えども、やはり船旅帰りと言うことで、少々肩身の狭い思い。友達と会うのも、デパートやショッピングモールへ出掛けるのも遠慮するとして、この素晴らしい季節の中で何をしたら……と考えて決行したのが、わが家のある田舎から「セツブンソウの群生」が見られるという田舎へのドライブ。滋賀県と岐阜県の境にある伊吹山の麓まで出かけました。
春の陽ざしを浴びた、優しいお顔のお地蔵様の足元に見つけたセツブンソウ。山道をさらに登ると見事な群生が。暖かすぎた2月にちょっと長けすぎたフキノトウも。
独特の辛みがある伊吹大根を薬味に、優しく軽い食感の伊吹そばを、群生地のすぐそばのおそば屋さんで食し、半生の伊吹そばを息子へのお土産に求めました。その後、道の駅に立ち寄り、血圧を下げる効果で最近注目を集めるようになったキクイモと、長け過ぎていないフキノトウを買って、「明日のランチは、天ぷらそば春の香りで決まり!」と、コロナウィルスのコの字も忘れて過ごした楽しい1日でした。
気に入ったフリーマントル……でも、何かが起こっている
さて、船旅に話を戻して……2019年12月22日、神戸港を出港したオーシャンドリーム号は、針路を南西にとり、中国の厦門、フィリピンのセブ島、そしてインドネシアのバリ島と、アジアを巡り、順調にオーストラリアに向けて、赤道を越えてどんどん南下して行きます。
神戸出港から18日目の2020年1月8日、オーストラリア西岸、最初の寄港地フリーマントル(パース)に到着しました。初めて踏むオーストラリアの大地、初めて吹かれるオーストラリアの風。何とおおらかで、爽やかな気配に満ち満ちているのでしょう!
フリーマントルでの停泊は、1月8日14時から翌9日の17時(帰船リミット15時)まで。全員の入国審査を終えて、上陸許可が降りるや否や、まずは近場からと、観光局が用意してくれた、無料シャトルバスに乗って市の中心部へ。ビクトリア王朝時代の街並みや石畳、大きく枝を広げて木陰を作る木々の間を縫って、世界遺産「フリーマントル刑務所」まで、歩いて、歩いて、歩いて。
翌日は、朝から、西オーストラリア州の州都であるパースに向かうべく、フリーマントル駅へ。フリーマントルでは、人々もおおらかで爽やか。杖をついて歩いていても少しも不安を感じません。人口密度が低いこともあってか、回りをおもんぱかるゆとりがあるのです。駅員さんもとても親切。こちらの事情に合わせて、一番お得な切符やその買い方を教えてくれました。
電車に乗って約30分。パースに到着。歩いて、歩いて、歩いて……スワン川の船着き場へ。
オーストラリアに来たからにはまずオーストラリア固有種の動物を見てみようと、対岸にあるパース動物園へ。健常な人の10分の1の速さでしか歩けないので、帰船リミットの15時がどんどん迫ってきました。どういう訳かタクシーは1台も走っていないし、タクシー乗り場もありません。歩いて、歩いて、歩いて、パース駅に戻り、逆コースで着岸地にたどり着くと、やっとの思いで15時ちょうどにオーシャンドリーム号に乗り込みました。
その日は疲れ果ててグッスリ眠り、1月10日朝起きて、カーテンを開けて外を見てびっくり。外の景色が変わっていません。つまり、港に着岸したままなのです。何が何だかさっぱりわかりません。動かない足を引きずってあんなに必死に帰ってきたのに、出港していないの??? その内、船内アナウンスがあって、「出港準備ができ次第出港しますので、しばらくお待ちください」結局その日は、船外にも出られず出港待ち。
翌1月11日朝、…やっぱり着岸したまま。さすがにちょっと詳しいアナウンスが。「港湾当局より防水扉の修理を指示され、今修理をしています。修理が終わり次第出港するので、下船する人は16時までに帰船してください」
前日の、何も知らされず、下船もできなかったというひどい対応に腹立たしさを覚えながらも、フリーマントル(パース)が、気に入った私たちは、喜んで下船することに。今度は歩き過ぎないように気を付けないとと、再び電車に乗り、パース駅で降りると、デパートがあるショッピングモールに行き、40パーセントオフの夏用ワンピースを買いました。「あなたには、○○というわけで、これが似合うと思うけど」と、店員さんが親身になってくれるのが心地いい。
モールのテラスには、おしゃれで座り心地のいいソファが至る所に置かれていて、水の出る広場で遊ぶ子どもたちを眺めたり、そこでDJが流す音楽を楽しんだり。その後、前々日も行った、クリームとフルーツたっぷりのワッフルが食べられる店にまた行くと、感激したことには、「また来てくれたの!」と店のマスターが私たちのことを覚えてく
れていたのです。そして翌1月12日朝…見える景色は変わらず。その日のアナウンスは「今日は、必ず出航しますので18時までに帰船してください」とのこと。何しろフリーマントルが大のお気に入りになってしまっていた私たち。
この日は、2本のルートを巡回している無料バスを使って遊んでみることにしました。まずは、レッドルートでお土産屋さんが立ち並ぶカプチーノ通りへ。ここで夫の長年の夢、カウボーイハットを値切って購入。ウサギの毛で作られ、ワニ皮のリボンが巻かれたもので、夏でも冬でもOK。旅の間中被ることになりました。孫たちのお土産に、オーストラリア固有種の動物のぬいぐるみを同じ店で購入。旅の間中船室の窓際に置き、旅の仲間の気分を楽しみました。
フリーマントルの最後は、ブルールートでビーチへ。おおらかに、爽やかに水と戯れる親子の姿を見ながら、おしゃれなパブでフィッシュ&チップスと、地ビールをいただき、ブルールートとレッドルートの無料バスを乗り継いで船に戻りました。いよいよ3日遅れの出航です。
第103回ピースボートクルーズ最大のハプニング
フリーマントル出航後は、「なぜこんなことになったのか」という話題で、船内は持ち切りでした。さまざまなうわさが飛び交いました。そしてようやく説明会が開かれたのは、1月19日。
それは、フリーマントルに続いて、アデレード、メルボルンと寄港した翌日でした。名付けて「航路変更のお知らせ」。いつの間にかジャパングレイスの副社長が船に乗り込んでいました。船長もいつの間にか、神戸出港の時紹介された人物とは変わっていました。
そこで発表された新しいルートとは、ニュージーランドへは行かず、予定されていたニュージーランドの2つの港、リトルトン(クライストチャーチ)とオークランドに代えて、ブリスベン(オーストラリア)、ポートビラ(バヌアツ)に寄港するというものでした。
理由を端的に言うならば、ニュージーランドの港湾当局の許可が簡単には下りず、予定通りに帰国できなくなることが懸念されるから、と言うことでした。
当然ながら、船内は、大炎上。乗客の大半が、オーストラリアとニュージーランドの両方に行けるからこそこのクルーズを選んだのですから。翌日も朝から乗客の声を聞く場を設けるとしてこの日の説明会は幕引きとなりました。
ニュージーランドへ行けないならと途中下船する人や、ブリスベンから飛行機に乗り換えてニュージーランドへ向かう人も出る中で、飛行機が無理だからと船旅を選んだ私たち。そのまま乗り続けるしかありません。ニュージーランドへの思いを残したまま訪れたブリスベン、バヌアツは、どんなところだったのでしょうか?
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