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2024.03.272020年03月16日
一度はしておきたい その8
ずっと見たかった神楽を堪能する
「死ぬまでにやっておきたい事にチャレンジしたい」と話す好奇心旺盛なとし古さん。今回は娘さんと見た「広島神楽」について語ります。
今回は神楽を初体験!
私が最初に「神楽(かぐら)」という言葉を耳にしたのは、子どもの頃に父から聞いた「天岩戸説話」だったように思います。
天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸(あまのいわと)と呼ばれる洞窟にお隠れになったため、世の中が真っ暗になった。困った八百万(やおよろず)の神々が相談して、天岩戸の前でさまざまな事を行って大神の岩戸からのお出ましを願ったが、効果がなかった。ところが、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が乱舞したところ、大歓声が起こり、それに興味を示されてお出ましになったというストーリーでした。
この乱舞こそが神楽の起源だといわれています。西日本は神楽が盛んだそうで、富山から広島に住むようになって、神楽という言葉を再び聞くようになりました。
私は、住んでいる地域にある小さな神社の祭事齋行(さいじさいこう)のお手伝いをさせていただいており、例大祭の折りに「神楽奉納」があるのですが、そのときは裏方で動き回っているので神楽をちゃんと観たことがありませんでした。一度はちゃんと見てみたいと思っていました。
正月に帰省した娘を誘ってみたら、娘も乗り気に。娘は高校を卒業すると、広島を離れてしまったので、「広島神楽」を観たことがありません。そこで、広島県の北部の山あいの里に神楽鑑賞のできる温泉があるので、予約を入れ、1泊して神楽と温泉をたっぷり堪能することにしました。「小高い丘に響く囃子の音、勇壮華麗な神楽がいい、のんびり岩陰の露天風呂」(宿主の言葉)という感じの温泉宿でした。
室町時代の念仏踊りが舞台芸能になったのが「歌舞伎(かぶき)」といわれ、神楽の派手な演出は歌舞伎の影響が多分にあるとか。これは温泉の敷地内にある神楽資料館の展示物の受け売りですが……。太古の昔から踊りで喜怒哀楽を表現し、発散してきた人間のエネルギーを感じる、迫力に満ちた神楽の舞台でした。
さて、舞台が終了すると、神楽の衣装を試着させてもらえる時間がありました。観客の半数ぐらいが希望し、私も、もちろんチャレンジしてみました。刺繍いっぱいのきらびやかな衣装を肩から掛けてくださったのですが、思わずよろけそうになる重さでした。この重い衣装を身にまとって軽やかに舞うのは、やはり男性にしかできないと思いました。
神楽団員は皆、別に職業を持っている方々です。神楽では食べていけない、だけど伝統芸能は絶やしたくない、という熱い思いを持っています。小中学生だけで構成する神楽団も多くあり、伝統芸能の継承に期待しているそうです。