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「死ぬまでにやっておきたい事にチャレンジしたい」と話す好奇心旺盛なとし古さん。今回は「瑞龍寺の拝観」について語ります。
子どもの頃に行った「瑞龍寺」をもう1度見たい!
友人が大学時代の研究室仲間との親睦旅行で「瑞龍寺」を見てきたと話してくれました。瑞龍寺は、加賀前田家二代当主前田利長の菩提寺で、富山県の高岡市にあります。
この高岡市は、私の故郷。人口14.5万人の古い町です。すでに両親はおらず、兄弟もなく、叔父叔母も他界しています。 私と同様年老いたいとこたちがその家族、子ども・孫・曽孫と暮らしています。
年に一度は帰省して菩提寺に墓参しますが、慌ただしい帰省で親類を訪ねることもなくなり、住職に一年分のご挨拶をしてお経を上げていただいて、帰広するのが常です。
それだけの帰郷ですが、友人から「瑞龍寺」と聞いて、またまた望郷の念に駆られました。
瑞龍寺は、子供の頃(小学校低学年時代)に祖父母に連れられてよく遊びに行った寺です。だから、「一度は見る」ではなく、「最後にもう一度見ておきたい」お寺なのです。
70年ぶりに、富山県唯一の国宝・瑞龍寺へ!
秀吉の朋友・前田利家の嫡男・利長には子がなかったので、30歳以上年の離れた異母弟の利常を三代目の当主としました。利常はそれをいたく感謝して、二代目当主の菩提寺として大寺を建立し、前田家が手厚く保護したとされています。
利長は高岡に築城し、高岡市の基礎を造ったので市民にとって忘れられない人物です。瑞龍寺は富山県唯一の国宝となっています。
2019年の酷暑は後期高齢者の私には耐えられず、そうこうしていると台風15号や19号の襲来で2019年の墓参は10月になってしまいました。
首都圏に住む娘は、台風被害で北陸新幹線が利用できず、空路で富山に行き、高岡に着いた私をレンタカーでピックアップしてくれました。墓参を済ませ、父の句碑のある公園でひとときを過ごしたあと、瑞龍寺へ向かいました。
かれこれ70年前の記憶にある瑞龍寺は今も美しく荘厳なたたずまいでしたが、観光客が多いのに驚きました。社務所で拝観料を支払うシステムになっていたことにもビックリ。
子供の頃は、どこからでも自由に入ることができて、静かな回廊を走り回っていました。法堂では祖父たちがお帳場のような拵えの側で火鉢を囲んで、時には餅を焼き、茶をすすりながら報恩講仲間と談笑していました。今、その部屋は拝観記念のグッズ売り場となっていました。
その反対側の奥の部屋で、子供の頃の私は寝転んでお寺の裏の城端線を走る列車の音を聞いていたものでしたが、今はお抹茶の接待場所となっていて入れませんでした。
前ご住職夫婦と古い知り合いでしたので訪ねてみようと思いましたが、そのお住まいは跡形もなく、観光バスの駐車場になっていました。
利長公の墓所周辺も一変
もうひとつ見ておきたかったのは、利長公の墓所。瑞龍寺から少し離れたところにあり、幼い頃は母と訪れ、中学生の時は友だちと来たことがあります。お寺から続く何もない田んぼの中の一本道(八丁道)の先にあって、墓所の前で友達と遊んだものでした。大名個人の墓としては全国最大級らしく、国の史跡として指定を受けていました。
驚いたことに、墓所への八丁道は綺麗な石畳に変わり、墓所の周囲も一変していました。石を投げて遊んでいた外堀は埋められ、大きな中堀のみになっていて、周囲は鬱蒼と樹木が生い茂り、荘厳な墓所としての雰囲気は満点でした。
今回の帰郷で「懐かしい」瑞龍寺と利長公墓所を訪ね、すっかり「浦島太郎」気分に浸りました。2020年の墓参帰郷の際にも長年訪ねていない場所を「(最後に)もう一度訪ねたい」。さて、どこにしようかな。
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