落語会体験記

落語自由自在20 ~第194回朝日名人会~

公開日:2020.01.31

落語が大好きなさいとうさんの落語体験記。今回は、「朝日名人会」に行ってきました。場所は、マリオンの11階にある有楽町朝日ホールです。

「紫檀楼古木」入船亭扇辰 上手さが光る秀逸な高座

朝日名人会

朝日名人会

「昔あって、今なくなった職業の一つにラオ屋があります」

ラオ屋??わかりません。ラオって何かしら??? 「昔はキセルで煙草を吸いましたので、」と、入船亭扇辰師匠の実演が始まります。扇子がキセルに見えるから、すごいです。

「吸い口と雁首は金が使ってありますが、真ん中はラオです。ラオスからきたので、ラオと言うらしいです」

漢字では羅宇と書いて、ラウ又はラオと読むそうで、扇辰師匠はラオと言っていました。

「竹ですね。どうです?私の落語はためになるでしょう? こういうのは三遊亭白鳥にはできません。(因みに白鳥師匠は「隅田川母子」や「豆腐屋ジョニー」等、ハチャメチャな新作落語で人気です)何も名前を出すことはありませんが……」で場内大拍手です。「電車でキセルと言うのは、ここからきているんです。つまり両端だけ金を使って、真ん中は使ってない、という訳です。でも、今は交通系電子カードSuicaやPASMOなので、それはできませんね。どうにかして裏技はないかと思いましたが、無理でした」

そして、噺に入ります。お清とご新造さんとの会話で物語は進んでいきます。登場するラオ屋のお爺さんは、江戸後期に実在した狂歌師だそうで、寄席で即席狂歌の高座を務めたこともあるそうです。扇辰師匠の上手さが光る秀逸な高座でした。

「芝浜」金原亭馬生

語りの部分はゆっくりゆったり、会話は歯切れよくテンポアップで、技ありの高座、お馴染の演目を堪能しました。
「芝浜」は、来月ハルメク落語会で聞くことになっています。演者によって其々演出の仕方が違いますので、夢丸師匠の「芝浜」は果たしてどんな「芝浜」になるのでしょうか?楽しみです。

「まめだ」三遊亭圓楽 大病も何のそのの熱演

「落語界は今前座が60名いて、待機前座が20名もいます。楽屋に入れない待機前座は、待機児童と一緒で大問題です」と笑わせます。実際、噺家志望者が急増しているそうです。

「二ツ目はひとくくりですが、真打がまた多いんで、若手真打、中堅真打、大御所、ご臨終と分かれます。人口分布と同じで、完全に逆ピラミッドなんです。間が抜けても困りますが、逆ピラミッドではねぇ」とボヤキながら、噺に入ります。

秋の落語「まめだ」は大阪道頓堀界隈に伝わる民話のような噺です。歌舞伎役者市川右三郎は門前の膏薬屋「本家びっくり膏」の息子で、母の作る膏薬を塗りながらトンボ返りの猛練習をつみ、やがていい役がつくようになります。まめだとは豆狸、サゲも綺麗で、メルヘンチックな噺でした。

圓楽師匠は、同じ年の同じ月の生まれで、あちらが私より9日お兄さんでしたので、若い頃からずっと聞いていました。大病をなさった後だけに、心配しましたが「まめだ」の熱演に、ほっといたしました。

「不思議の五圓」桂文珍 ブラックユーモアと表情が光る!

「久々の東京です。この前来たのは確か『桜を見る会』でした」で笑いを取ります。

「私は山口県民ではないので、すべて自費でした」に、またまた大笑い。「不思議の五圓」は「持参金」と言う題名で聞いたことがあります。途中、煙草を吸うシーンがあり「ここがラオです」と扇子を指さします。

扇辰師匠の噺が思い出され、場内どっと笑いが沸き起こります。噺自体はブラックユーモアですが、文珍師匠の表情が魅力的で、どんどんのめり込みます。

「不思議の五圓、いえ二十圓です」のサゲに、大笑いで幕となりました。文珍師匠をはじめ扇辰師匠・馬生師匠・圓楽師匠4人とも名人会に相応しい方たちでした。

 

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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