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- 娘よ、ごめんね。母の初産はつらかったのです
妊活をしていた次女が妊娠。息子には「お母さんもとうとうばあさんか」と言われながらも、初孫との対面を楽しみにする栗原さん。母娘、二人三脚で出産を迎えられると思いきや、訪れた早めの陣痛。そのとき栗原さんが思い出したのは、自身のつらい初産でした。
妊活をしていた次女の臨月
次女の妊娠をお伝えした前回「娘の出産と、我が家の天袋事情」から3か月。
ついに娘が臨月を迎え、産休に入りました。
いよいよ私の出番がやってきたという感じでしょうか……。
娘が産休に入り、産婦人科の定期検診は、娘の夫に代わって私が同行するようになりました。
10か月に入って2週目の検診のとき、医師から、まだ全然お産の兆候はなく、このままいくとお産が大変になるかもしれないと脅かされてしまいました。そして私は医師から、毎日30分程度の散歩に娘を連れ出すようにと言われたのです。
次の日から、近くのショッピングモールに娘と出掛け、1階から3階までウィンドウショッピングをするでもなく、ただブラブラとショッピングモールの中を歩きました。娘は娘で、インターネットで調べた陣痛を促進する効果のあるハーブティーなどを買って、毎日飲んでいるようでした。
その甲斐があってのことなのか……
それから数日後の夕方、娘から、「お腹が痛くて、お腹の張りも定期的にあるみたい」というLINEのメッセージが来ました。まだ時期も早いし、まさかと思い、「前兆かしら、よかったじゃない」と、私はそんな軽い感じで返事をしました。私自身も初産のときは予定日より遅れたし、何と言っても、まだ予定日より2週間近く早かったので、娘の陣痛も何回か繰り返される前陣痛だと思って、のんきに構えていました。
翌日の早朝、私は娘からの電話で起こされました。昨夜から本格的な陣痛が来ているみたいだと言うのです。娘の夫は、会社の大切な鍵を預かっていて、一度会社に行かないといけないとのことで、私にすぐに来てほしいということでした。私は、慌てずなるべくゆっくり支度をして、娘の家に向かいました。娘の家に着くと、娘の夫が青ざめた顔で私を待ちわびていました。その顔はまるで、「お母さん何してたんだ、遅いじゃないか」とでも言っているようでした。娘も腰が痛くてつらそうにしていたので、これは、いよいよ本当にお産が始まったのかもしれないと、そのとき思いました。
娘の夫には、「そう簡単には生まれないから、安心してゆっくり会社に行ってきて大丈夫よ」と言って、私は娘を連れて病院に向かいました。
私のつらかった初産の思い出……
私は自分の経験から、お産というのは、なるべく病院の陣痛室での待ち時間が、短いほうが楽なのではないかと考えていました。なぜなら、私は第一子である長女の出産のとき、早く入院しすぎてしまい、入院から出産まで3日間もかかってしまい、とてもつらい経験をしたからです。当時は、今のように優しい看護師さんはまだ少なく、どちらかというと、怖い看護師さんのほうが多かったような気がします。夜はたった一人の陣痛室で電気は全部消され、真っ暗な中で一人陣痛に耐えました。
今では考えられないことですが、なかなか子宮口が開かず、だんだん量を増やしていった陣痛促進剤の影響で、陣痛のたびに胃が押し上げられるのか、ものすごい吐き気と尾底骨が砕けそうなほどの痛みに、ベッドの柵にしがみついて耐えました。
少し腰のあたりをさすってほしいと看護師さんにお願いしても、「あなた一人が患者じゃないんだから」と言われてしまい、絶望的な気持ちになったのを、今でも鮮明に覚えています。
主人が心配して様子を見に来ても、「今御主人が来たけど、今御主人の顔を見ると気が緩んでよくないから、帰ってもらったから」などと、それなら聞かないほうがよかったと思うことまで言われ、死にたくなるほどの恐怖と孤独感に襲われました。
出産後は、陣痛促進剤の影響なのか、顔中にシミが出てしまい、陣痛促進剤の点滴を受けた腕は、直径10㎝以上の青あざが残ってしまいました。今考えると、私もこのとき生まれてきた長女も、よく何事もなく無事だったものだと思います。当然精神的にもよいはずはなく、マタニティーブルーも強く出てしまい、不安定な日々が続きました。
そんな経験から、陣痛室に長居は無用と考えてしまい、娘が陣痛室にいる時間がなるべく短くて済むようにと、ついつい娘を迎えに行くとき、ゆっくりゆっくりと無駄に時間をかけて支度をしてしまったのです。
娘の夫の青ざめた顔と、娘のつらそうな姿を見たときに、もっと一瞬で支度をして、大慌てで迎えに行けばよかったと、後悔しました。
それにしても、母娘といえども出産は全然違うものなのだと、改めて認識しました。そして、このあと、驚きの今どきの出産が始まり、感動の初孫との対面となりました。
次回に続きます。
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