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年金暮らしに朗報の「支援給付金」制度を使うには?
年金暮らしに朗報の「支援給付金」制度を使うには?
公開日:2021年02月09日
給付金で増税分をカバーできる人も
2019年の消費税率引き上げにより、年金生活者の家計費の負担は目安として夫婦二人の世帯で月3000円程度、一人暮らしの世帯で月2000円程度増えたと考えられます(※1)。限られた年金収入をやりくりする中での負担増は頭の痛いところです。
そこで国の施策として打ち出されたのが「年金生活者支援給付金」。みなさんの多くが受給している老後の年金である「老齢年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金)」および「障害年金」「遺族年金」の受給者のうち、一定の要件を満たしている人に支給されます。
年金生活者支援給付金のうち、老齢年金を受給している人が対象になるのが「老齢年金生活者支援給付金」(以下、給付金)です。給付金の基準額は月5030円、年額にすると約6万円で、消費税率アップによる負担増をある程度カバーできそうな金額です。しかも給付金は期間限定の措置ではなく、要件を満たす限りもらい続けられます。

支給要件は次の3つで、すべて満たす必要があります。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
- 〈1〉前年の公的年金等の収入金額(ただし遺族年金等の非課税収入は含まれない)と〈2〉前年のその他の所得(〈1〉以外の給与所得や利子所得など)の合計額が、老齢基礎年金の満額相当以下(2020年8月以降は77万9900円以下※2)であること
- 同じ世帯の全員が市区町村民税(住民税)非課税であること(夫婦で暮らしているなら、夫も妻も住民税非課税が要件)
給付金の額は前述の通り月5030円が基準ですが、年金保険料を納付した(支払った)期間や保険料を免除された期間により増減します。
※1=2019年総務省統計局「家計調査」の「高齢無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)」を基に試算。高齢無職世帯のうち高齢夫婦無職世帯とは夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの世帯のこと、高齢単身無職世帯とは60歳以上の一人暮らしの世帯のこと。
※2=2021年度以降は老齢基礎年金の満額相当額の変動に応じて支給要件の金額も変わる。
収入要件が少しオーバーしても、救済措置があります

もう一つ、「補足的老齢年金生活者支援給付金」(以下、補足的給付金)があります。これは、前述の給付金の2の要件を少し超過してしまった人の救済措置のようなものです。
例えば年金収入等が77万円の人は給付金の要件を満たし、給付金約6万円をもらうと収入は83万円になります。一方、年金収入等が80万円の人は給付金の要件から外れるために収入は80万円。前者より3万円も収入が低くなってしまいます。
この収入の逆転現象を調整するために設けられたのが、補足的給付金です。前述の1と3の要件を満たし、2の年金収入等が87万9900円以下(※3)ならもらえます。ただし、あくまで逆転現象の調整額なので、給付金の額は年金収入等が高くなるにつれて、月5030円から徐々に減っていきます。
※3=2021年度以降は老齢基礎年金の満額相当額の変動に応じて支給要件の金額も変わる。
遺族厚生年金を受給して収入要件オーバーの人も可能性が
「でも私の年金額は87万9900円を超えているから、給付金も補足的給付金ももらえない」。そう思ってため息をついている人もいるかもしれません。ですが既に夫が亡くなり、もらっている年金が「自分の老齢基礎年金+遺族厚生年金」という人の場合は、年金収入等が87万9900円を超えていても、給付金や補足的給付金をもらえる可能性があります。
というのは、遺族厚生年金は非課税収入のため、前年の公的年金等の収入金額には含まれないからです。なので前年の公的年金等の収入は自分の老齢基礎年金(※4)だけになります。老齢基礎年金は満額もらっても給付金の支給要件を満たすので、他に一定額を超える所得がなければ、給付金か補足的給付金がもらえます。
ただし現役世代の子どもと同居している場合は、支給要件3の「同一世帯の全員が住民税非課税」から外れて対象外になるケースが多いでしょう。
※4=厚生年金に加入していた人は老齢厚生年金も支給される。
給付金および補足的給付金をもらうには手続きが必要です。手続きの方法は老齢基礎年金の受給開始の時期により異なりますが、日本年金機構から上のような手続きの案内が郵送されるので、忘れずに請求してください。なお、添付書類は不要です。
支給要件を満たすと、請求手続きの翌月分から給付金の支給が始まり、年金とともに、偶数月に2か月分ずつ年金と同じ口座に振り込まれます。なお、すでに受け取っている場合、2年目以降の手続きは原則不要です。

望月厚子(もちづき・あつこ)
社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー。大手生命保険会社を経て独立。望月FP社会保険労務士事務所所長。年金事務所で相談員を務めるなど年金や労働等の相談業務、新聞・雑誌等への執筆、各種セミナー講師として活躍。厚生労働省社会保障審議会年金部会・専門委員会委員や成年後見人も務める。
※この記事は、「ハルメク」2019年10月号に掲載した記事を再編集しています。
取材・文=萬真知子
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