持ち家か賃貸かを選ぶ分かれ目
住まいのダウンサイジング【前編】年をとれば終の棲家が金食い虫になる?
住まいのダウンサイジング【前編】年をとれば終の棲家が金食い虫になる?
公開日:2026年03月29日
人生最大の買い物、49歳で広いマンションを購入

49歳の冬に私は人生最大の買い物をしました。親が介護施設に入ったことで売却した実家の荷物を置くため、独身には広すぎるメゾネットマンションの購入です。
逗子の海を見おろす丘の上に建ち、斜行エレベーターや住民専用プールまで完備した高級物件は天国のような住まい。年老いて本当に天国に行く日までは終の棲家になるのだと、初めて一国一城の主になった喜びでいっぱいでした。

しかし世間知らずに圧しかかってきたのは維持費の問題。築年数は経っているのに年40万円の固定資産税に加えて、マンションの管理費、修繕積立金、駐車場代で月8万円もかかるのです。
楽観的な私は、がんばって働けば大丈夫だと仕事の量を増やしましたが、加齢に伴いだんだんと身体がついていかなくなります。
疲労が重なったある日、足腰の痛みで歩くことが困難になって整形外科を受診すると、脊柱管狭窄症だと告げられました。50歳以上の人にみられる病気です。

厚生労働省の発表によると、日本人女性の平均寿命は87歳前後で、世界トップクラスだそうですが、独身の高齢女性がいつまで自立していられるのだろう……と、急に未来が怖くなりました。病気と戦いつつ、いつか高齢者施設に入るための費用を準備しなくてはなりません。
マンションの高額維持費から脱するには?

折しもマンションでは大規模修繕に向けて修繕積立金の大幅アップを検討しており、金食い虫の不動産は売却しようと決心しました。
いっそのこと60代で隠居しようかと、ネットで見つけた那須のサービス付き高齢者向け住宅を見学に行ったのですが、新幹線の駅からはバスがなく、タクシーで5000円の距離。雄大な自然に囲まれた立地は素晴らしくとも、入居者たちは私よりずっと年上で、コミュニティのなか孤立することは目に見えています。
そうしているうちに不動産会社に託した逗子のマンションの売却が決まったので、急いで小さめの中古マンションを買おうと物件を探しました。しかし何年住めるか自信がなく、資産価値が下がれば売却が難しくなります。
賃貸マンションに移住を決めたポイント

残る手段は賃貸物件。自然に恵まれて交通の便が良く、脊柱管狭窄症でも歩きやすい平坦な地形で、そこそこ都会で……の条件にマッチしたのは小田原でした。若い頃から何度も観光して土地勘があったので、不動産会社での物件探しはスムーズに運び、60代後半の年齢でも問題なしです。
家賃は生活費の1/3以下で、電車が6路線乗り入れた小田原駅まで徒歩10分。市役所、警察署、大型スーパーも徒歩10分圏内で、その近くにはヘリポートを備えた市立総合医療センターが開院します。

ただし大きな問題は住居の広さが1/3に縮小するダウンサイジング。大型家具は持ってこられないばかりか、商売道具だった大量の服だって入る場所がありません。1か月後に迫った引っ越しに向けてどう計画を実行するか、悪戦苦闘の日々が始まりました。
次回は引っ越しのハプニングとダウンサイジングのメリットについてお話しします。




