シニア投資コンサルの50代60代からの資産運用#5
豪華さには要注意!手を出してはいけない二大危険投資
豪華さには要注意!手を出してはいけない二大危険投資
更新日:2023年09月25日
公開日:2023年08月16日
豪華なパンフレットや広告には要注意!

50代60代をターゲットにした商品やサービスの提案資料やパンフレット、広告などは、金融機関もかなり力を入れて作成しています。非常に見た目が良く立派なので、商品やサービスが素晴らしいものに感じられるでしょう。
しかし、よく考えてみてください。広告やパンフレットにお金をかけられるのは、それだけ儲かるからです。
金融機関がコストをかければかけるほど、そのコストはお客様が払う手数料などに転嫁されていきます。もちろん必ずしも高い費用を負担する商品やサービスばかりではありませんが、取引金額が大きいほど、費用をかけても会社として利益が出ることに不思議はありません。
大切なのは「自分が納得できる適切なコストの範囲内か」ということです。広告やパンフレットの高級感に惑わされて「費用が高くても仕方ない」と思い込んでしまわないように注意してください。
では、50代60代をターゲットにした「安易に手を出してはいけない商品・サービス」にはどんなものがあるでしょうか。典型的なものを2つ紹介します。
やってはいけない代表的な資産運用1「ファンドラップ」

ファンドラップとは、顧客の資産運用についての希望や考え方をもとに、複数のファンド(投資信託)を組み合わせて資産を配分し、運用・管理を行う金融サービスのことです。
簡単にいうと、金融機関の専門家がお任せで適切に運用してくれるサービス……なのですが、実態はそううまくはいきません。
まず運用にかかるコストが年間2〜3%と高く、運用効率が悪いです。また、ファンドラップに組み込まれている投資信託を見ると、期待リターンよりもコストの方が高くなって「逆ざや」現象が起きてしまっているケースもあります。
「うまくいっている」という状況であっても、実はリスクの割に手元には大したリターンが残らず、場合によってはジワジワと資産が減っていたということになりやすいのがファンドラップです。
このカラクリは、二重コストの構造にあります。ファンドラップにはいくつかの投資信託が組み込まれていますが、ファンドラップそのものにかかる手数料と、中に組み込まれている投資信託一つ一つにかかる手数料が、両方ともかかっているわけです。
私はこの高コスト構造が日本のファンドラップ最大の欠陥だと思いますし、金融庁も指摘しています。
もし、長期分散投資で投資信託を利用するなら、二重にコストがかかっている「ファンドラップ」ではなく「バランス型投資信託」や「ロボアドバイザー」で十分だというのが私の考えです。
やってはいけない代表的な資産運用2「EB債」

「ファンドラップ」と並んで、50代60代が手を出してはいけない金融商品の代表格が、仕組債の一種である「EB債」です。仕組債の種類は多種多様ですが、ここでは個別銘柄に連動して条件(利率や償還日、元本価格など)が変わるEB債について解説します。
もともとトラブルの多い商品でしたが、2022年に金融庁からの指導もあり、多
くの金融機関では販売停止、もしくは一部の顧客に対する限定的な販売となりました。
これは、商品性の問題ではなく、販売する側の提案方法と姿勢が一番大きな問題で、顧客に正しく仕組みやリスクを理解してもらわないまま購入させていたことが原因だと私は考えています。
とにかく仕組みが複雑なので、ここでの詳細な説明は割愛しますが、まさにその「複雑さ」こそが、買ってはいけない理由です。

そもそも金融商品取引法は、投資家保護のため、顧客の知識、経験、財産、目的に照らして不適当な勧誘を禁じています。これを「適合性の原則」といいます。金融機関は、顧客が理解できないものはすすめてはいけないと法律で決められているのです。
それにもかかわらず、EB債など仕組債の販売額は増えています。
当然、トラブルも増えています。裁判によらない紛争解決(ADR)を図る機関「証券・金融商品あっせん相談センター(フィンマック)」が2021年1月〜2022年3月に扱った事案146件のうち、仕組債は最多の48件と、全体の3分の1を占めました。そして48件の半数以上は70代以上の高齢者による投資だといいます。
こうした状況を重く見た金融庁は2022年5月、資産運用業界向けに公表したリポートで、EB債は一般の株式・債券と比べて見劣りしており、「株式に代えてEB債を購入する意義はほとんどない」と結論付けています。
ファンドラップ、EB債の他にも、おすすめできない金融商品・サービスはいくつかあります。
豪華なパンフレットや、よく目にする広告、担当者の巧みなセールスに惑わされず、安易に手を出してしまわないように注意してください。
他にもある!危険な商品リスト
- テーマ型投資信託
→流行を後追いしているだけで、購入する頃にはピークを過ぎて下がり目 - 新興国通貨建て債券
→高金利だが極めてハイリスク、為替手数料もばかにならない - 変額個人年金保険・外貨建て生命保険
→保険なのに運用リスク、為替リスクにさらされる - 毎月分配型投資信託
→元本を取り崩して分配金を払う「タコ足配当」が多発 - 優遇金利キャンペーン
→割高な商品の抱き合わせで結局金利より手数料が高くつく
西崎努(にしざき・つとむ)さんプロフィール

リーファス株式会社 代表取締役社長。
2007年にSMBC日興証券に入社、CFP資格も保有する全国トップセールスとして活躍し、シンガポール・ロンドンでの海外研修も経験。帰国後はIPOや公募増資等の引受業務に従事する。2017年に独立し、リーファス株式会社を設立。金融商品の仕組みはもちろん、運用実務、大手銀行や証券会社の販売手法まで熟知したアドバイスが好評。
『60歳を過ぎたらやってはいけない資産運用』
金融機関に相談する前に、必ず読んで欲しい一冊。「本当にこれでいいのか」「そんなにうまい話があるのか」疑問や不安を感じたことはありませんか? 銀行や証券会社のおすすめ商品には裏がある。大手証券会社出身の著者が、要注意の金融商品・金融サービスを徹底解説!





