001:中田薫さん(59歳)

腰痛持ちの50歳主婦→踊る美尻ヨガ講師に。おもろく笑って同世代を元気づけたい

腰痛持ちの50歳主婦→踊る美尻ヨガ講師に。おもろく笑って同世代を元気づけたい

更新日:2025年03月11日

公開日:2024年12月16日

わたしリスタート中田薫さん

50代から新しい一歩を踏み出して、第二の人生を歩み始めた人たちを追う「わたしリスタート」。19歳から腰痛を抱えていたという中田薫さん。49歳でヨガに出合い、50歳でヨガ講師に。変わったのは体だけでなく生き方、心の在り方だと言います。

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中田薫さんのリスタート・ストーリー

長年の重い腰痛に苦しんでいた中田薫さんが、ヨガに出合ったのは50代目前。

ヨガの効果に感動した中田さんは、初心者だったにも関わらず、ヨガインストラクターを養成するスクールに50歳でに入学。

近所でのヨガサークル講師を経て、2017年、51歳のときに新大久保に「YOGA STUDIO SOL」をオープンした。

現在は、踊る美尻ヨガ講師として、流行の曲に合わせたダンスチャレンジ動画を投稿して話題に。明るくおもろい中田さんだが、30代、40代は専業主婦で母としての自分しかなく、苦しい時期があったのだそう。

ヨガを始めて、体も心も、生き方そのものが変わったという中田さんが、50代で変われた理由は?

19歳から腰痛持ち…痛い、ツライで諦めて

――ヨガに出会ったきっかけは?

49歳のとき、腰痛改善のために通っていた「からだファクトリー」でパンフレットを見つけて、本気でやってみようと思いました。

というのも、19歳で椎間板ヘルニアを患ってから30年以上、重い腰痛に悩み続けていたから。

元々、体を動かすのが好きだけれど、いつも不安で怖くて……。整体やカイロ、整形外科とさまざまな治療を試しましたが改善せず、どんどん自信を失い、諦める癖がついてしまっていたように思います。

なんとかしたくてストレッチを一年続けているうちに少しずつ改善に向かっていき、50歳で出合ったのがヨガでした。

――ただ習うのではなく、ヨガ講師になろうと思った理由は?

失神したこともあるほどの腰痛が改善したときに、心底、感動して。しかも、正しい姿勢や体の使い方を覚えたことで、ピーク時より10キロ近く痩せて、ボディラインがきれいになったんです。

もともと若い頃にスポーツインストラクターをしていたのもあり、私のような重い腰痛が少しでも軽くなるのであれば、みんなにも教えてあげたいなと。

それで、初心者なのに、最初からインストラクター養成講座に通うことにしました。

40代でPTSDに。回復のきっかけはエグザイル

――「あの過去があるから今がある」と思えることは?

PTSD(心的外傷後ストレス障害)になったこと。

40代前半、突然の事故でショッキングな場面に直面してしまい、数か月間、PTSDで苦しみました。食欲はなくなり、眠れない、一人でお風呂に入ることもできない状態で家に引きこもるように。自分ではどうしようもできず、夫や子どもたちにもたくさん迷惑をかけてしまいました。

そんなある日、ソファでぼーっとしていたら、エグザイルが汗を飛び散らせて、キラキラの笑顔で踊っているのがテレビに映ったんです。それを見た瞬間、同じ時代を生きる同じ人間。なのに、下を向き家族にすら笑顔を見せることができない自分。あまりのギャップに衝撃を受けたんです。

あっち側がいい!私も人に元気を与える存在になりたい。そう強く思うようになりました。

――講師になるための費用はいくらかかりましたか?

6か月の養成コースで約 50万円、支払いました。

私が通ったのは「YMCメディカルトレナーズスクール 」というトレーナー育成用の学校です。週3回通って、半年間で2級が取得できるコース。決して安くはなかったのですが、これからの自分のための初期投資だと思って、勇気を出しました。

体についてきちんと学べば、私以外の誰かの役に立てる!と思いましたし、ゆくゆくはそれを自分の仕事に繋げようとも思っていました。

――今までの経験で役立ったことはありますか?

推し活!

40代は、エグザイルからK-POPまで、男性ダンスグループにハマり、いわゆる「ヲタク」。夫は自営業で忙しく3人の育児は基本ワンオペ、認知症になった義母の介護と大忙しでしたが、隙を見つけては全国を飛び回って推し活をしていました(笑)

人間、好きなこと、やりたいことのためには工夫するし、がんばれるもの。インストラクター講習は週3日もあったのですが、推し活で鍛えた時間管理術で乗り切りました。 

――「チャレンジするなら今だ」と思ったタイミングは?

踏ん切りがつかないときは、あえて逃げ場をなくすのも手です。

私の場合、まったくの未経験なのに50歳からヨガ講師になれたのは、勢いでスクール代を振り込んじゃったから。教室を始めるときも、自宅の一角ではなく使用料を支払ってスタジオを借りました。

元を取りたい主婦根性があるので(笑)、勢いで支払ってしまった費用は必ず回収する!という気負いが、やりきる、そして続ける力になりました。

――家族や周囲の反応はどうでしたか? 

好きなことをして元気でいてくれたらいい、っていう感じです。

抗うつ剤を飲んでもお風呂にも入れないようなメンタルだったときは、家庭もお通夜のような雰囲気になってしまったので。私にはパワフルでゲラゲラ笑っていてほしいみたい。

娘の友達もインスタを見て「あなたの母ちゃん、ヤバい!!」って評判みたいです(笑)

教室を開始直後にコロナで赤字経営に…

新大久保にあるヨガ教室「YOGA STUDIO SOL」でのレッスン風景

――失敗やミスから学んだことは?

現実から逃げずに、対策を練ること。

学校に通っている頃から、周囲の友人たちから教室を早く開いてという声があがり、流れで地元のレンタルスタジオでヨガサークルを始めました。その後、縁あって、推し活で通っていた新大久保で知り合った方から一室をお借りすることができ、教室をオープン。

ですが、ビジネス経験ゼロで始めたヨガ教室は閑古鳥。自分の甘さを思い知らされました。雑誌に広告を打っても何をしても生徒は増えず、コロナ禍が追い打ちをかけ、スタジオは閉鎖。家賃の支払いが続き、赤字経営が続きました。

このままではいけない、と頭を切り替えました。

世の中には私より若くてキレイな講師も、体のやわらかい講師もいる。だとしたら自分の「売り」はなんだろう。そこで長年の下半身太りを解消して「美尻」になろうと決意。

市販のブーツが入らないほどの太い足や平たいお尻がずっとコンプレックスの私の体が50代でも変われば、経験談をもって教えることができる。コロナ禍でガラ空きのスタジオでひとり、54歳から本格的なボディメイクを始めたんです。

トレーニングを続けていくと身体が進化していく。すると心も強くなっていく感覚がしました。自分に自信を取り戻していくような気持ちでしたね。

(左)2022年→(左)2024年。2年かけて全身がスッキリ、美尻に変化した中田さんのビフォーアフター

――チャレンジをして得た最大の教訓は?

“真剣と深刻は違う”ということ。

真剣さがないと人生は楽しめないけれど、深刻になる必要はないって気付かされました。と同時に、笑い声のないところに成功はない、とも思います。

そもそも、楽しみたくて始めたチャレンジのはず。真剣に楽しむことが成功への近道なんだと思います。

――あなたの座右の銘は?

自分が一番でいい。

PTSDになり、家族には心配も迷惑もたくさんかけましたが、癒やしていく過程で、まず自分を大切にして満たしてあげないと周囲も幸せにできないことを身をもって学びました。

――自信をなくしたときや、スランプから抜け出したいときの特効薬は?

ヨガと出合ってからの推しは、お釈迦様。

ヨガはただのエクササイズではなくて仏教にも通じています。メンタルが強くはないと自覚しているため、仏教の本を読んでいいなと思った言葉はメモして見直す習慣がつきました。大愚和尚のYouTubeも好きでよく見ています。

ヨガも効果大。例えば朝。どんなに寒くても、真っ先に窓を開けてバンザイ!胸を開いて手を上げて新鮮な空気を吸い込むと、活力が湧いてきます。ヨガの基本は呼吸法。マスターすると自律神経が整い、心身ともにイキイキと元気になります。

おばちゃんの心と体を解放して、もっと楽しく!

――自分の性格で、一番自慢できるところは?

小さな頃からずっと褒められてきた、オモロい!ところでしょう(笑)

集客のために始めたインスタグラムがバズったのも、クセ強めのおばキャラとして顔芸を駆使したダンスを披露してから。芸人系ヨガインストラクターと名乗り、楽しんだもん勝ち!とばかりに踊っていたら「見ているだけで楽しい」「笑って元気が出た」など、同世代の女性たちからの反響が届くようになりました。

今ではレッスン後に、ほぼ毎回生徒さんから「踊りたい!」と催促されます。生徒さんの平均年齢は55歳。そのおばたちが目をキラキラさせてね。

ヨガで心身を整えた後に、思いっきり振り切って踊るので帰りはみんな汗だくでヨガで整ったのどこ~???ってなるけど(笑)、笑顔なのでヨシ!としています。

――がんばった自分へのご褒美は? 

バリ島に行くこと。

インストラクター資格を取得した後、もっと本格的に学ぶためにバリ島ヨガ短期留学をしたんです。費用はそれなりにかかったけれど、貴重な体験ができました。

“神々の住む島”と称されるだけあって、バリ島の人たちが大切に守ってきた寺院や沐浴場など自然と調和した素晴らしい場所を訪れると、涙が自然と流れて、心身がデトックスされます。

――これから挑戦したいことは?

もっとたくさんの人に私を知ってもらうこと。

腰痛改善やボディメイクのクラス、マインド面も同時にサポートするような総合コーチングメニューなど、私がお役に立てるのならばどんどん積極的にやっていきたいです!

そして世のおばたちに、自由に楽しく、積極的に生きるパワーを届けること。

私が母として主婦として「こうあらねば」「こうあるべき」と自分で自分を縛り付けていた頃のように、がんじがらめになっている大人の女性って多いと思うんです。そんな女性たちに、心も体もスッキリ軽くなって、自分自身を取り戻してほしい。自分まだまだできるじゃんって思ってほしい。

現実的な問題も引き受けながら、自分ができるヨガレッスンを届けていく時期に入ったと思っています。

58歳、ビキニで記念撮影(撮影=フォトグラファー 松本 武志)

50代のリスタートに必要な3つの備え

夫のテリトリーで生きてきた主婦にとって、いきなり変わろうするのは、失敗や挫折もしやすいし、負担も大きいもの。ちょっとずつ、一歩ずつを繰り返して慣れていく時間が必要です。

1.一人行動に慣れる

チャレンジするときは、基本は一人。専業主婦歴が長く子連れに慣れてしまい一人が苦手だった私は、まず一人マックから始めました(笑)。そこから、カフェでお茶、ランチ、旅に出る……と、実生活の中でできることから徐々に一人で行動することに慣れていきました。

2.すぐやるクセをつける

悩んだり考えたりするより、まず「行動」してみる。やってみないとわからないし、やった後で改善していくのがいちばん早い。成功する人って、まずは行動しているんですよね。なので、今すぐやってみる。小さなチャレンジを続けると心のハードルも下がります。

3.コンプレックスを味方にする

50歳を過ぎていても体は変わる。長年の腰痛と下半身デブを解消しようと、意を決して地道な筋トレを続けたことで「美尻に変われた」という私だけのストーリーができました。行動をすれば後から自信がついてくる。個性があると本当の仲間が見つけやすくなる気がします。

取材・文=時津木春 写真=日高奈々子 企画・構成=長倉志乃(HALMEK up編集部)


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HALMEK up編集部
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