草笛光子さん「80歳も90歳も面白がって生きる」
2023.10.272021年06月13日
特集|岸惠子さんに学ぶ。「自分らしく生きる」心得
岸惠子さん「自分に向き合う孤独な時間を楽しむ」
女優・作家として表現し続ける岸惠子(きし・けいこ)さんの言葉に「人生を自分らしく生きる心得」を学ぶ特集第3話。老いると悲惨でわびしい姿で描かれることが多い世間に憤りを感じると話す岸さん。では、すがすがしい老いの捉え方と孤独の受け止め方とは。
人生終盤、夕暮れに虹がかかるような輝きがあってもいい
――42年間に及ぶパリ生活を経て、近年は日本に拠点を置く岸惠子さん。一人舞台では、ベストセラー『わりなき恋』の朗読劇の他、小説に負けずとも劣らないほどドラマチックな自身の半生を語ります。(雑誌ハルメク2019年3月号インタビューより)
2019年5月、また一人で舞台に立ちます。前半は『わりなき恋』の朗読劇をさわりだけして、後半はトークショーをするつもりです。私自身がすでに立派な高齢者ですけど、今、日本には高齢者がすごく多いでしょう。それなのにテレビも雑誌も、老いゆく人の描き方があまりにも悲惨でわびしくて、私は憤りを感じていたんです。「そんなことばかりじゃないよ」と。
人生の終盤に、夕暮れに虹がかかるような輝きがあってもいいんじゃないか? そう思って書き始めたのが、成熟した男女の恋愛小説『わりなき恋』でした。丸4年かけて心血注いで書いた物語ですから、今度の朗読劇では凝縮して届けたいですね。
一人の舞台は、大変なエネルギーを使います。最初の2年は、自分で脚色した『わりなき恋』の一人芝居をやりましたが、衣装替えが6回で、水を飲む暇もなくステージを動き回っていたら、心臓に故障が出てしまって。...