教授が勧める!仕事で「幸福な生活」を目指す考え方
2023.05.312022年12月14日
50代からの人生を充実させる「セカ活」特集#1
セカ活とは?50代からの心を満たすコトの見つけ方
さまざまな人生の転機が訪れる50代。充実した人生を送るために、自分にとって心が動くことは何か考えてみませんか?人生を模索する40〜60代の女性200人以上に話を聞いてきた増田早希さんに、今求められている「セカ活」について話を伺いました。
話を伺った人
増田早希さん(ますだ・さき 写真右)
株式会社セカミ―代表取締役。200人以上の女性にインタビューを行い「セカ活」の必要性を感じ起業。ワークショップ「セカミー LIFE Re:DESGIN CAMP」を主宰している。
春原由紀さん(すのはら・ゆき 写真左)
公認心理師、武蔵野大学名誉教授。長年、原宿カウンセリングセンターで臨床心理士として活動。家族関係の心理臨床的支援を数多く行う。
50代からのセカンドライフを考える「セカ活」とは?
50代に入ると子育てが一段落し、仕事も役職定年を迎えるなど、目が回るほど忙しかった日々も落ち着き、自分のことを振り返る時間ができたという方も多いのではないでしょうか?
「そういったタイミングを迎え、心の空白を感じているアラフィフ女性たちは多いです」と話すのは、40~60代の女性が今後やりたいことを探す「セカ活」を提唱し、行動するまでを支援するサービスを提供している「セカミ―」代表の増田早希さんです。
「『セカ活』とは、子育てや家事などが一段落した女性たちがセカンドライフに、何をして生きていくと幸せかを考える活動です。就活、婚活、終活などと同じように、アラフィフという人生の節目にセカンドライフを見直す機会を持ち、共有し合うことが文化として根付いてほしいと考え、そう名付けました」
なぜ「セカ活」は必要なの?
では、人生の第二ステージを考える「セカ活」は、なぜ必要なのでしょうか?
増田さんによると、自分のことを振り返る時間ができても気持ちと行動を切り替えるきっかけがないために、何となく人生に納得感がないままモヤモヤと過ごしているという人も多いそう。
40年以上にわたり、臨床心理士、公認心理師として悩みを抱える女性のカウンセリングに携わってきた春原由紀さんはこう語ります。
「現状に対する不満やモヤモヤとした感情に巻き込まれて、心がふさいでしまう人も少なくありません。流れていく日常の中で、自分は何をどうしたいのかを立ち止まって考え、一人で抱え込まないことが大切です。
また、家族における役割の変化が訪れていることに気付いていない方もいます。そうすると、子どもは独立しているのに子どもに強く要求してしまい、反発されて親子の関係がうまくいかなくなることがあります。子離れのためにも、役割の変化の中で自分を満たす方法を見つけた方がいいでしょう」
また、主婦だけでなく仕事をしてきた人にも「セカ活」は必要だと増田さんは言います。
「今、時代は生き方の転換点に来ていると思います。これまでは終身雇用が当たり前でしたが、これからは個の時代として社会側の論理やルールが変化し、前例のない中で『自分軸』で生きることを求められることに。これまで雇用されている者としての役割を担ってきたのに、『私はどうすればいいの?』と戸惑う人が増えていくでしょう。話を伺う中で、キャリアを積んできた方の葛藤を感じることがあります」
セカ活を始めた人の5つの活躍パターン
セカ活に取り組み、心を満たすことを見つけた人は、どのように活躍しているのでしょうか?
「大きく5つのパターンに分けられます」と増田さん。「何かを学びたい!」という意欲で大学に入り直したり、センスを生かして新たな仕事を始めるなど、活躍の仕方は多岐にわたります。
活躍のパターン
- A:資格を活用する
- B:習う側から教える側に切り替える
- C:センスを生かして、手作り品を販売したり開業する
- D:地域のリーダーとして活躍をする
- E:その他:大学やスクール、留学で学び直しをする、移住、投資家、ベンチャーへの転職をする
「必ずしもキャリアではなくてもいいと思います。私に大事なものはこれなんだ!ということが見つかるといいですね」(増田さん)
「自分の時間を好きなことに使っているか、自覚することが大切です。『パートとして働く』ことでももちろんいいですし、自分では大したことがないと思っていても、他者から見たら『スゴイ』ということもありますよ」(春原さん)
自分軸を持つ3つのステップ
自分のことはさて置き、例えば家族のような他者を中心に(=他人軸で)生きてきた人は、どうやって自分軸を持つようにすればいいのでしょうか? 増田さんと春原さんが「セカ活」として伝えている、自分軸を持つステップを教えてもらいました。
1:普段と違うことをして小さく日常を壊してみる
新しい道を歩いてみたり、過去の知人に連絡してみたりなど、まずは日常の行動を変えてみる。食べたものや人に言われたことば、その日の感情などの記録をつけてみても◎。
2:得意かも、好きかもと思うことを見つけ取捨選択する
いろいろなことにトライして広げたら、違うと思ったことをやめていく。始めた習い事を何となく続けてしまう人は多いので、やめることも視野に入れてトライしてみる。
3:SNSを始めて”好き”を発信する、資格を取る
セカ活がうまくいっている人は、得意・好きということが広がり結果として稼げたという人も。好きで続ければ機会は来るものと思って、SNSで発信したり、関連する資格取得をしたりするのも手です。
「やりたいこと」がなくてもOK!自分の空間を持つことから始める
とはいえ余裕や時間がなかったり、そもそもやりたいことはないという方もいらっしゃるでしょう。そういった方に、増田さんがおすすめするのは「自分の部屋を持つこと」です。
「子どものための子ども部屋、お父さんのための書斎があったとしても、お母さん部屋と呼べる部屋がないご家庭がほとんどだと思います。部屋は用意するのが大変だとしても、一人で過ごせるような空間やコーナーをぜひ作ってみてください」
増田さんが出会ってきた女性たちの中でも、部屋を持ったり自分用の机を購入したりと、学びのために少額でもいいのでお金を使うことが、自分の時間をどう使いたいかを考えるきっかけになっている人が少なくないと言います。
「人のためにかけてきた時間と期待を、自分のためにかけてあげることも『セカ活』の一つですよ」
セカ活仲間を作ると驚くほど変化が生まれていく
増田さんと春原さんが、現在取り組んでいるのが、グループワークでセカ活に取り組む活動です。「『自分のやりたいことがわからない』という悩みに対して、自分なりの答えを見つけ一歩踏み出すまで伴走しています」と増田さん。
グループワークを行う1か月集中プログラムの受講料は安いとは言えない価格ですが、2022年2月にモニター価格で実施した第1期には、定員6名の枠に、50~60代の女性6人が集まりました。
「自分の過去や夫婦・家族関係、仕事などの面から、いろいろな問題を共有しながら整理していきます。グループワークでは同年代の女性同士で集まっているので、他人の話も自分のことのように感じるようです。自分には『何もない』と思っていても、人からの問いや評価を受けると、実は『ある』ことに気付けるんです。最終日には対外的な発表会を実施し、参加者の6人がこれからの自分についてプレゼンしました。みなさん、自分に対する捉え方が変わり、自信に満ちた声で今後のプランを発表されていました」と増田さん。
また、カウンセラーの春原さんも「1対1のカウンセリングとはまた違う展開があり、グループで悩みを共有しそれぞれが自分の道を選んでいく中で、驚くほどのスピードで変化していくのを感じました」
『今の自分』にふとモヤモヤとした感情を抱いたときが、「セカ活」の取り組み時です。
次回も続けて、「50代のこれからの人生」を考える一助となる話を特集としてお届けします。
セカミー LIFE Re:DESIGN CAMPとは
"セカ活"に特化した1か月集中プログラムです。200人以上の40~60代女性にお話を伺う中で、多くの方が口にされていた「自分のやりたいことがわからない」という悩みに対して、自分なりの答えを見つけ一歩踏み出すところまでメンターが伴走します。詳しくはホームページをご確認ください。https://secome.jp/lrc/
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取材・文=竹上久恵(ハルメクWEB編集部)