親の入院・介護に備える!基本のき#10

【実例】親の住み替え・私たちはこれを選びました

【実例】親の住み替え・私たちはこれを選びました

更新日:2024年04月01日

公開日:2024年03月25日

【実例】親の住み替え・私たちはこれを選びました

将来の親の入院や介護に備える特集の最終回です。将来の親の住み替え方を考える後編では、実際に住み替えをした親世代の実例を紹介します。

教えてくれた人:岡本典子(おかもと・のりこ)さん

ファイナンシャル・プランナー。FPリフレッシュ代表。終のすみか探しコンサルタントとして活動。著書に『イザ!というとき困らないための 親の介護と自分の老後 ガイドブック』(ビジネス教育出版社)など。

【実例1】自宅をリフォームして暮らしの質が上がりました

岐阜県に暮らす髙橋雅美さん(取材当時65歳)は、築60年の家をリフォームしました。

ぎりぎりまで自宅で暮らすため、リフォームしました

ぎりぎりまで自宅で暮らすため、リフォームしました
髙橋さん(左)は長く時間を過ごす、1階部分のみにしぼってリフォームを行いました。

「当初、建て替えを考えていましたが、知識の豊富な大工さんに相談したら 『まだしっかりしているから、断熱性能と耐震性能を上げるリフォームで十分』とのこと。

ぎりぎりまで自宅で暮らすため、リフォームしました
左/靴の脱ぎ履きがしやすいよう、玄関には台を設置。右/古い窓は残し、断熱性能の高い窓を追加。

さらに、『同じ介護度でも、人により体の障害は違う。障害に合わせた設備でないと設置しても意味がない』という助言もあり、今すぐ使わない手すりなどは付けませんでした」

結果的に3000万円を予定していた工事費は600万円で済み、この先、必要になるかもしれない介護のお金を残せました。プロに相談できたことで暮らしの質が上がり、「おかげさまで快適です。この家もあと30年はもつかな」と話します。

ぎりぎりまで自宅で暮らすため、リフォームしました
段差をなくしたトイレ。車椅子生活では邪魔になることもある手すりはつけませんでした。

岡本さんのアドバイス

「腕のいい、住む人に合わせて提案できる素晴らしい大工さんですね。高額なリフォームを提案する事業者もいるので、事業者選びはしっかりと行いましょう。今後に備えてお金を残せたのもよかったと思います」

「なるべく自宅にいたい」を選んだ場合

いいところ

  • 住み慣れたところで生活できる
  • リフォームの場合、シニア向け住宅よりもお金がかからない

注意するところ

  • “在宅”は介護をする家族の負担が大きくなる
  • 緊急時の対応が遅れる場合もある

今できること

  • シニア向け住宅に住み替えるタイミングを決めて、家族に伝えておく
  • 最期まで自宅派なら、在宅介護を受けられる体制を整えておく
  • 必要になるときに備えてお金を使い過ぎない

【実例2】不動産を遺さないでと息子に言われ、サ高住に住み替え

東京のマンションを売却して、縁のある京都のサ高住に住み替えた佐藤洋子さん(仮名・取材当時71歳)。全国のシニア向け住宅の資料を集めて検討しました。

引っ越しは体力も気力も必要・早くに決めてよかった

【実例2】不動産を遺さないでと息子に言われ、サ高住に住み替え
部屋の広さは約25平方m。冷蔵庫や洗濯機など共用できるものは夫の部屋にのみ設置して、省スペース。

「分譲型も調べていましたが、『不動産を遺さないで』と息子に言われて」、月々の支払いを年金内でまかなえる賃貸物件で探すことに。その中で、今の住まいに出合いました。「見学に訪れたら、夫が周辺環境を気に入って即決。要介護5になっても住み替えの必要がないこともポイントでした」。

【実例2】不動産を遺さないでと息子に言われ、サ高住に住み替え
左/「“施設”っぽくない雰囲気も気に入りました」。右/介護度が上がっても部屋のお風呂で入浴できる仕様。

また、食事提供サービスもありますが、料理好きの佐藤さんは部屋のキッチンで自炊しています。これで月額費用を6万円弱も抑えられています。

67歳で住み替えた佐藤さんは、「引っ越しは、体力も気力も必要。早くに決められてよかった」と話します。

【実例2】不動産を遺さないでと息子に言われ、サ高住に住み替え
左/サ高住でも24時間介護職員が常駐。すぐに呼べます。右/夫は佐藤さんとは別の部屋に入居しています。

■佐藤さんが暮らすのは…【グランメゾン迎賓館 京都嵐山】

  • 初期費用/敷金18万円(家賃の2か月分)
  • 月額費用/20万277円(食費含む)+電気代
  • 住  所/京都府京都市右京区嵯峨天龍寺油掛町10-25
  • 電話番号/0120-389-165

※費用は2019年取材当時のもの。

岡本さんのアドバイス

「佐藤さんが選んだサ高住は要介護5まで対応しているようですが、介護度が上がると住み替えが必要な住宅もあります。事前に確認を。また、介護費は別途支払う必要があります。お金の準備をしておくといいでしょう」

「今より便利にしたい」を選んだ場合

いいところ

  • 【サ高住】入居時に必要な初期費用を抑えられる。安否確認サービスがついている
  • 【駅近マンション】病院や買い物に行くのに便利

注意するところ

  • 【サ高住】住宅ごとに受けられるサービスが異なり、介護度が上がったら住み続けられないところも
  • 【駅近マンション】介護度が上がったら家族の負担が大きくなり、住み替えが必要になることも

 今できること

  • 入居したいサ高住や駅近マンションの資料を集めたり、いくつか見学に行っておく
  • 現在暮らしている家を片づけておく
  • 介護度が上がってからの住み替えに備えて、お金を使い過ぎない

【実例3】自宅を売却して介護付き有料老人ホームに住み替え

施設に入居して、住まいと介護の不安が消えました

小川初子さん(取材当時84歳)は夫が定年退職した際、兵庫の自宅を売却して故郷・愛媛県松山市の介護付有料老人ホーム入居時自立型へ住み替えました。

【実例3】自宅を売却して介護付き有料老人ホームに住み替え
「ホームは共同生活と言いますが、私には他人の目がある方が、だらけ過ぎなくていいの」と小川さん。

「ここを選んだのは、1980年開設で歴史があるので信頼でき、“病院隣接”で安心だからです。料金は安くないですが、しっかりしたサービスには相応の支払いが必要ですから。入居して、これからの住まいと介護の不安が消えました」と話す小川さん。実際、8年前に夫が倒れたときも、施設の職員が迅速に対応して力になってくれました。

【実例3】自宅を売却して介護付き有料老人ホームに住み替え
左/夫を亡くしてからは、約50平方mの部屋に一人で暮らしています。右/家具は兵庫の家から持ち込み。

「今は心配ごとがない暮らし。好きなことを思い切り楽しめています」。趣味のフォークダンスを続けたり、兵庫へ遊びに行ったり、住むところは違っても、小川さんの毎日はこれまでと同様に充実しています。

【実例3】自宅を売却して介護付き有料老人ホームに住み替え
左/食事は食堂で。右/地域との交流も。

■小川さんが暮らすのは…【松山エデンの園】

  • 初期費用/1760万円~
  • 月額費用/13万7950円+水道光熱費
  • 住  所/愛媛県松山市祝谷6-1248
  • 電話番号/0120-459-165

※費用は2019年取材当時のもの。

岡本さんのアドバイス

「小川さんは安心を得られたとのこと。ご自身で納得できる選択をされたと思います。費用については、同じ法人が運営する系列ホームであっても、地域によって金額が異なるので、確認をするといいでしょう」

「施設に入って安心したい」を選んだ場合

いいところ

  • 常時介護が必要になると、介護居室へ移動するところが多いが、他の施設へ住み替える必要はない
  • 要介護になると、看取りまで手厚い介護を受けられるところがほとんど

 注意するところ

  • 入居時の初期費用が高額で、月額費用も高額であることが多い
  • 所有権ではなく、利用権の施設がほとんど

 今できること

  • 入居したい施設の情報を集めたり、見学に行っておく
  • 今暮らしている家を片づけておく
  • 必要なお金の準備をしておく

以上、全10回にわたり親の入院や介護に備える特集をお伝えしました。今から備えておけば、家族の安心につながります。

取材・文=井口桂介、大矢詠美(ともにハルメク編集部)、撮影=元木みゆき

※この記事は、雑誌「ハルメク」2019年12月号を再編集しています

雑誌「ハルメク」
雑誌「ハルメク」

女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値ある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど幅広い情報が満載。人気連載の「きくち体操」「きものリフォーム」も。年間定期購読誌で、自宅に直接配送します。雑誌ハルメクサイトはこちら