足りないって本当?60歳過ぎて年金で慌てない対策は
2023.11.152023年02月09日
大切な年金を受け取るために知っておきたい
年金の手続き方法を解説! 必要な書類とは?
年金を受け取るために必要な請求手続きの流れと提出書類、その提出先をご存じですか? 当記事では、年金請求書が送付されないパターンや、申請後いつから受け取ることができるのか、年金受給開始後の手続きなどをご紹介します。
年金の請求手続きの流れ
老齢基礎年金を受け取ることができるのは、原則としては65歳からです。しかし、65歳の受給開始年齢になったら、何もせずに自動的にもらえるものではありません。年金を受給するためには、年金を請求する手続きが必要です。ここでは、年金をきちんと受け取るための請求手続きの流れをご紹介します。
ステップ1:「年金請求書」を受け取る
65歳からの老齢基礎年金を受け取る権利がある被保険者には、老齢基礎年金の受給開始年齢の約3か月前になると、日本年金機構から、「年金請求書(事前送付用)」とリーフレット(「年金の請求手続きのご案内」)が送付されます。
年金請求書には基礎年金番号や氏名、生年月日、年金加入記録、住所などが記録されています。これとあわせて、請求手続きの方法が書かれたリーフレットに従って手続きを行います。
ステップ2:「年金請求書」に必要事項を記入する
送付された年金請求書の内容を確認し、必要事項を記入します。
ステップ3:必要書類を準備する
年金請求書とあわせて、受取先の金融機関の通帳、戸籍謄本など、必要書類も提出しなければなりません。案内に沿って、それらの書類を準備します。
ステップ4:「年金請求書」と必要書類を提出する
必要書類がすべて準備できたら、年金請求書と必要書類を市区役所や、日本年金機構が運営する窓口の「年金事務所」、全国社会保険労務士連合会が運営する「街角の年金相談センター」へ提出します。これで年金を請求する手続きが完了します。
年金を受け取るために必要な提出書類の確認
年金を受け取るために「年金請求書」とともに、主に以下のような必要書類を準備しなければなりません。
- 戸籍謄本や戸籍抄本(6か月以内のもの)
- 住民票(世帯全員分、6か月以内のもの)
- 受取先金融機関の通帳またはキャッシュカード(コピー可)
- 印鑑(認印可)
- 年金手帳
- 配偶者の所得証明書または年金証書
必要書類は、本人や配偶者、18歳未満の子どもがいる方など、状況により異なります。自分が用意しなければならない書類は、年金請求書と一緒に送付される案内でよく確認しましょう。
年金を受け取るために必要な書類の提出先
必要書類をすべて用意できたら、年金請求書とあわせて提出することになりますが、提出先は最後に加入していた年金により異なります。
国民年金だけに加入の場合
すべての加入期間が国民年金で第1号被保険者(※1)だった人は、市・区役所・町村役場にある国民年金の窓口に提出します。
(※1)第1号被保険者:日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者、農業・漁業者、学生および無職の人とその配偶者(厚生年金保険や共済組合等に加入しておらず、第3号被保険者でない人)
厚生年金や共済組合に加入(第3号被保険者)の場合
国民年金とあわせて厚生年金や共済組合等の加入期間がある人、国民年金の第3号被保険者(※2)に該当する人は、近くの年金事務所または「街角の年金相談センター」に提出します。
(※2)第3号被保険者:厚生年金保険や共済組合等に加入している会社員や公務員である第2号被保険者に扶養されている配偶者の人で、原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の人
確定拠出年金の場合
個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)などの私的年金を受け取る場合は、公的年金とは別の受給要件を満たし、請求手続きを行わなければなりません。ここで紹介する年金の受け取りの手続きは、公的年金と呼ばれる国民年金と厚生年金についてです。私的年金については、受給要件や請求方法が異なりますのでご注意ください。
なぜ? 年金請求書が送付されない人とは?
受給開始年齢である65歳の3か月前を過ぎても「年金請求書」が届かなかったら、不安になるかもしれません。年金請求書が届かない場合、どんな理由があるのでしょうか?
年金請求書が送られてこない理由
年金請求書が送付されるのは、年金を受給できる要件を満たした人が対象です。年金の受給資格とは、 保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上を満たすことです。日本年金機構が管理している年金記録でこの要件を満たしていない人には、年金請求書が送付されません。その場合「年金請求書」とは別に「年金に関するお知らせ」が送付されます。それで年金加入期間を確認し、合算対象期間に漏れがないかなどをお近くの年金事務所などに相談しましょう。
また何らかの理由で年金の住所変更がなされていない場合も、送付されないことがあります。この場合はお住いの市区町村の年金窓口や近くの年金事務所に相談に行きましょう。
申請後、年金はいつ受け取ることができる?
「年金請求書」を受け取り、必要書類と共に提出をした後、年金を実際に受け取るまでにはどんなプロセスを経ることになるのでしょうか?
ステップ1:「年金証書・年金決定通知書」を受け取る
年金請求書と必要書類を提出すると、その内容について審査されます。書類の不備などの問題がなければ、後日「年金証書・年金決定通知書」が日本年金機構から送られてきます。この「年金証書・年金決定通知書」に記載されている内容は、受給資格を取得した時点での内容となります。
ステップ2:「年金振込通知書」「年金支払通知書」を受け取る
「年金証書・年金決定通知書」が送付された後、しばらくするとまた日本年金機構から「年金振込通知書」と「年金支払通知書」が送付されます。これらの書類に、最初に受け取る金額や受取開始年月などが記載されています。
ステップ3:初回受け取り
年金の初回の受け取りは、ステップ1の「年金証書・年金決定通知書」が送付されてから、おおよそ50日後。最初に受け取る金額は、支払開始年月の分から、その前の受取月までの分(例:支払い開始が9月なら、その年の7月までの分)です。
ステップ4:定期受け取り
年金の支払いは、月や年に一度ではなく、2か月に一度行われます。2月、4月、6月、8月、10月、12月の年6回、偶数月の毎月15日に支払われます。15日が土曜日・日曜日、祝日のときは、直前の平日に支給されます。支払の対象となるのは、その前月と前々月分。例えば8月に支払われる年金は、6月と7月の2か月分ということです。
ただし、初めての受け取りや過去の分をさかのぼって受け取る場合などは、奇数月の受け取りになることもあります。
また定期受取期間中は、「年金振込通知書」と「年金支払通知書」が毎年6月頃に送付されます。
年金受給開始後にも手続きがあるの?
年金を定期的に受け取れるようになった後でも、各種の手続きがあります。これらを怠ると、年金の支給が一時的に差し止められることもあります。大切な年金を確実に受け取るためにも、これらの手続きを忘れずに行うようにしましょう。
年金受給開始後の手続きの流れ・方法1:「年金受給権者現況届(現況届)」の提出
年に1度、日本年金機構に提出するのが「年金受給権者現況届(現況届)」です。これは、年金を受給している人が健在で、引き続き年金を受け取る権利があるか確認するためのものです。毎年誕生月になると、日本年金機構から「年金受給権者現況届(現況届)」が届きますので、必要事項を記入して期日までに日本年金機構に送付します。
現況届には、住民票の添付またはマイナンバーの記入が必要で、マイナンバーカードまたは通知カードのコピーもあわせて提出することが必要です。
住民基本台帳ネットワークを活用して確認ができる方については、現況届は送付されず提出する必要もありません。
年金受給開始後の手続きの流れ・方法2:「生計維持確認届」の提出
老齢厚生年金の受取者で、厚生年金の被保険者期間が240か月以上の場合、その人の収入などで生計を維持している配偶者や子どもがいる場合は、年金が加算されて支払われます。これを「加給年金」と呼びます。配偶者または子どもが加給年金額の対象者となっている人は、「生計維持確認届」の提出も必要です。「生計維持確認届」の届出時期と提出期限は、現況届と同じです。
年金受給開始後の手続きの流れ・方法3:「障害状態確認届」の提出
障害年金を受けている方は、障害の程度を確認する「障害状態確認届」の提出が必要です。誕生月の3か月前の月末に、「障害状態確認届」が届くので、医師による診断書を添えて提出します。
特別支給の老齢厚生年金は、条件次第で60歳以上からもらえる
老齢厚生年金は下記の条件に当てはまれば、60歳から特別に受け取ることができる場合があります(特別支給の老齢厚生年金)。
- 男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと、女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること
- 厚生年金保険等に1年以上加入していたこと
- 60歳以上であること
なお、在職中の方は報酬によって年金額が支給停止となる場合があります。特別支給の老齢厚生年金を受け取る権利が発生する人には、受給開始年齢になる3か月前に、基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所および年金加入記録をあらかじめ印字された「年金請求書(事前送付用)」と年金の請求手続きのご案内が日本年金機構から送付されます。
受給開始年齢になってから、請求書と戸籍、住民票などを提出します。特別厚生年金の受給をしている場合も、65歳から受給できる、通常の老齢年金の請求手続きは必要です。
老齢年金の受給の繰り上げ・繰下げをしたいとき
老齢基礎年金・老齢厚生年金を65歳から受け取ることができる人が、65歳から早めて年金を受け取ることもできますし、66歳以降に繰り下げて受け取ることもできます。繰り上げ請求した場合は、その申し出月に応じた割合の額が減額となり、繰り下げ請求をした場合は、その申し出月に応じた割合の額が増額されることになります
繰り上げ・繰り下げをする場合は、年金事務所や年金相談センターで説明を受けて、手続きをしましょう。繰り下げ請求をした場合、年金を受け取るときは自分で受給手続きをする必要があります。
「障害年金」「遺族年金」の受け取る場合は、必要書類と手続き方法が異なります。年金を受け取るためには手続きが必要なことをご存じない人も意外と多いもの。必要書類や記入の準備などで不明なことがあれば、ぜひ近くの年金事務所や年金相談センターに相談しましょう。
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