介護費用のプランを考える前に知っておきたいこと

2023年10月26日

【全4回】自分や夫の介護費用にどう備える?#1

介護費用のプランを考える前に知っておきたいこと

将来の介護費用が気になるハルメク世代は少なくないと思います。いくら準備すれば安心なのか悩ましいところですが、無理のないプランを立てるために、まずは介護費用準備の基本的な考え方と、要介護状態になるリスクがどの程度なのかについて知りましょう。

教えてくれた人は浅田里花(あさだ・りか)さん

教えてくれた人は浅田里花(あさだ・りか)さん

ファイナンシャルプランナー(FP)。大手証券会社、独立系FP会社を経て1993年に独立。日本のFPの草分け的存在。生活設計塾クルーのメンバーとして資産設計、保障設計、リタイア後の生活設計等のコンサルティングを行う他、新聞、雑誌、ウェブ等への原稿執筆やセミナー講師として活躍。東洋大学社会学部非常勤講師も務める。

最悪の事態を想定せず、老後資金の中で柔軟にやりくりを

最悪の事態を想定せず、老後資金の中で柔軟にやりくりを

将来の介護費用としていくらぐらい準備しておいたらいいのか、悩んでいる50代60代のハルメク世代は少なくないでしょう。介護費用は要介護度などにより異なりますが、自分や夫がどうなるかは、そのときにならないとわかりません。

だからといって、いかなる場合にも対応できるように最悪の事態を想定して資金準備を考えると、行き詰まりかねないので要注意。目標額が多額になり、「それは無理」と思考停止して何もできなくなる恐れがあるからです。

幸い重い介護状態にならず、結果的に費用があまりかからなかったというケースも考えられます。なので介護費用に特化して資金を準備するより、老後資金として貯めたまとまったお金の中で介護費用をやりくりした方が柔軟な対応ができます。

何にでも使えるお金を準備しておくことが、介護費用の一番の対策だということです。

このあたりの詳しい資金準備の方法については、第3回第4回でお伝えします。まず第1回と第2回では、介護費用の資金プランを考える前に知っておきたい、要介護状態になる可能性や公的介護保険の基本についてポイントをお話ししましょう。

「5人に1人が要介護状態になる」本当の内訳は

「5人に1人が要介護状態になる」本当の内訳は

では要介護状態になる可能性から。よく「5人に1人が要介護状態になる」と言われますが、実際にはどうでしょうか。

「5人に1人が要介護状態になる」本当の内訳は

上の図表は要介護状態になる可能性の割合を、年齢別に示したもの。総数とは、公的介護保険の要支援1から要介護5までの7段階の状態のいずれかになった人の割合です。

総数欄を見ると、70代までは要支援も含めて要介護状態になる人は10%未満です。80代以降になるとさすがに増えて、80〜84歳は18.6%、ここで約5人に1人という計算になります。85〜89歳は37.3%なので約3人に1人です。

ただし重い介護状態といわれる要介護3以上の割合を見ると、それほど多くないことがわかります。80〜84歳の場合、要介護3に該当するのは2.7%、要介護4は2.4%、要介護5は1.6%です。

可能性が低くても自分が該当しないとは限りませんが、心配し過ぎないことも一つの考え方。なるべく要介護状態になるのを遅らせることができるように、健康に留意した生活をすることも介護費用を減らす重要な対策でしょう。

次回は、介護費用を考える上で知っておきたい公的介護保険の基本や、知らないと損をする払い戻しの制度などについて取り上げましょう。

※この記事は、雑誌「ハルメク」2022年5月号を再編集しています。

■もっと知りたい■
第2回~~介護の自己負担は1〜3割。払い戻しの制度も
第3回~~介護費用の目安は1人600万円、どう準備すべき?
第4回~~将来の介護費用に備える、民間の介護保険の選び方は?

萬真知子
萬真知子

早稲田大学第一文学部卒業後、1987年日経ホーム出版社(現、日経BP社)に入社。月刊誌「日経マネー」に配属され編集記者に。1990年に退社後、フリーのマネーライターとなり、雑誌、ウェブを中心にマネー情報記事を執筆。金融機関等の顧客向けウェブサイトにも執筆。「ハルメク」の「知っ得!マネー学」を連載中

みんなの コメント
【限定コラボ】職人技が光る!ハルメク×マエノリのセーター誕生秘話

子どもに残すべきはお金?不動産?どちらがお得?

子に遺すべき資産は?

「現金」か「不動産」か…どっちが得?メリット・デメリットは?相続や親族間のトラブルに悩まされないためにしておくべき準備とは

2024.12.12
【PR】「渋滞の文字で……」トイレ事情あるある

突然の我慢できない尿意

実は多くのハルメク世代が悩んでいる「尿トラブル」…中には上手に対策をしている人も!気軽にできる対策って?

2024.12.10
【PR】個人情報の上手な管理・整理術とは

個人情報管理できてる?

銀行口座・保険・クレジットカードなど、「デジタルの情報」をきちんと管理できていますか?煩雑にしていると思わぬ落とし穴が…

2024.12.09
【PR】三井住友銀行アプリにシンプルモードが登場

お金の管理が簡単に!

三井住友銀行アプリに「シンプルモード」が新登場!スマホ操作が苦手な人でも簡単に使える便利機能が満載です!

2024.11.29
認知症セルフチェック

認知症セルフチェック

「もの忘れが増えた」「名前が思い出せない」という症状に心当たりがある方は要注意!それ、「認知機能のレベル低下」が原因かもしれません…

2024.11.22
思わず笑顔になるコミュニケーションロボット「ニコボ」

健気な姿がかわいい!

「思わず笑顔になる」と巷で話題の「永遠の2歳児・ニコボ」!ハルメク世代の2人に、ニコボとの生活にハマる理由をお聞きしました!

2024.11.22
デジタル資産の遺し方

生前親に●●聞き忘れると

老親の契約や登録しているサービス、これらを子が把握していないと将来ムダな出費や面倒なトラブルに発展する可能性が!特に見落としがちなのは…

2024.10.11
【PR】50代からの願いを叶える新しい資金調達術

50代~お金の増やし方

将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか?

2024.11.20
【PR】たった60日で英語が話せる!3つのコツ

60日で英語が話せる!

英語をマスターするのに「完璧」はいらない!初心者でも60日で英語が話せるようになる、驚きの3つのコツとは?

2024.08.29
認知症のリスクを確認してみませんか?

今なら無料でお試し!

将来、自分の認知機能が低下するリスクがあるか、簡単に予測できるサービスが誕生。今なら無料で先行利用できます!

2024.08.08
【PR】頼れる家族がいない……入院・入居どうする?

おひとり様の備えはOK?

この先「おひとり様」になったら意外な落とし穴がいっぱい…。そんな不安に備える、おひとり様専用お助けサービスが誕生!

2024.07.22
50代から1日1分!脳トレクイズで楽しく脳を活性化

50代から1日1分脳トレ

認知機能を衰えさせないためには、早い時期から「脳を活性化」させることが大切。脳トレ効果がグッとアップするコツって?

2024.12.04