いつか王子様が…の夢に年齢制限はある?
60を過ぎてからの恋愛【後編】人生の降り口は別々でも共に生きる覚悟
60を過ぎてからの恋愛【後編】人生の降り口は別々でも共に生きる覚悟
公開日:2026年04月26日
シニアの事実婚で発覚するジェネレーションギャップは、年齢差があるほど開きが大きいのに…。口喧嘩しながら出かけたクルーズ旅行で想定外の大発見は、王子様が身近にいたことでした。
大人の恋愛のジェネレーションギャップ

大人すぎる同士の恋愛。前期高齢者と後期高齢者のカップルが事実婚を始めてそろそろ2年になります。必ず付きまとうのはジェネレーションギャップ。一回りの差は想像以上に開きがあり、ファッション、食事、音楽などの好みがズレているし、テレビを見ていても興味を持つ対象が一致しません。
新しいことを覚えるのが億劫になった彼は「面倒くさい」「忘れた」が口癖になり、スマホの操作などは何度教えても振り出しに戻るのです。
やっと画面が表示されて静かになったと思えば、うつらうつらと居眠りをしてる……。おじいちゃんなんだねと笑って見守ればいいものを、「なんで寝てるのよ!」と怒鳴り散らしてしまう自分は眉間にシワが寄ったおばあちゃんです。

どうしてカトちゃんを支える綾菜さんみたいに優しくなれないんだろう。私は他人と暮らすことに向いていないのかな……と自己嫌悪が増すばかり。それでも翌日になれば、ほがらかに接してくれる彼には心をほぐされていました。
クルーズ旅行でわかった彼の王子様度

家にこもってるだけじゃダメ! 体が動くうちに人生をもっと楽しみたいという彼の夢に寄り添って、4月に10日間のクルーズ旅行に行ってきました。
初めて乗ったMSCベリッシマは、全長が東京タワーの高さとほぼ同じというイタリアの巨大客船。乗客定員は約5,600名で、満室だった客層の8割は高齢者でした。

スタッフは大半が外国人で、会話は基本的に英語なのですが、とたんに頼もしくなった彼。現役時代は1年じゅう海外を回る仕事をしていたので、水を得た魚のごとくオールラウンドに振舞えるのです。
レディーファーストのエスコート、がんばりすぎずに着こなすドレスコード、レストランやバーのスタッフとのウィットに富んだ会話。あれっ、私ってシンデレラになったの!?と驚かされる瞬間が沢山あります。

周りを見渡すと白髪の王子様にエスコートされるマダムがいっぱい。
車いすに乗った奥様と手をつないでダンスするご主人。おそろいのシューズでウォーキングトラックを早歩きするご夫婦。印象的だったのはエレガントナイトのバーカウンターで、90代とお見受けする奥様が真っ赤なマニュキュアでご主人と手を重ねているシーンでした。
来てほしくない未来を笑い飛ばそう
カジュアルな白い服装で集うホワイトナイトでは、他のカップルが「お写真を撮りましょう」と声をかけてくれて、スワロフスキーの階段で記念撮影ができました。
私たちも何組かのカップルのお写真を撮り、船の専属カメラマンを超える自然な笑顔を引き出せたと自負しております。

船旅が最終日に近づく頃、彼から「来年もう1回、この船に乗らない? 日本一周がいいな」との提案。
「僕は来年どうなってるかわからないし、あんた誰?と言うかもしれないけどさ」
「ディナーの後で、まだ晩御飯を食べてないと言うかもね」
来てほしくない未来を笑い合いながら、次はキャビン番号も指定しようと、さっそく専用デスクに予約に行きました。

下船して帰りの電車、まるで人生の降り口を惜しむように、私たちは別々の駅で降ります。
2人で10日間も一緒にいたのは初めてでしたが、あっという間で楽しかった! ……とはいえ現実に戻れば、この先も相変わらず私が喧嘩を吹っかけて、彼がしょぼんと黙るプチバトルは繰り返すでしょう。大人の恋愛はそんな毎日でいいのです。
シンデレラストーリーに年齢制限はない

思い起こせば初めて居酒屋のカウンターで出会ったとき、彼は私の会計を持ってくれたのですが、年金生活者のおじいさんに負担をかけてしまったと誤解したことが笑い話になっています。
「プリティウーマン」のリチャード・ギアには似ても似つかなくても、人は見かけで判断しちゃいけないのですね。子どもの頃からの夢だったシンデレラストーリーは年齢制限がなく叶うことを知りました。
お互いの戸籍は独身のままですが、もう次の恋愛に走ろうとは思いません。この人が最後と決めて、とことん寄り添うことが余生の課題だと確信しています。




