【55歳ユミの場合】会話は盛り上がったけど…

【9】セカンドパートナーの沼!ラブホテル街での揉め事と反応する体

【9】セカンドパートナーの沼!ラブホテル街での揉め事と反応する体

更新日:2025年03月20日

公開日:2024年12月21日

那須野 / PIXTA

55歳ユミの恋愛ルポ第9話。最近耳にすることが増えた「セカンドパートナー」という関係。不倫とは違うと言いつつ…ハマってしまう人も多い。「既婚者マッチングアプリ」で出会った2人目の男性から、2軒目に連れてこられた先はラブホテル街だった。

前回までのあらすじ

前回までのあらすじ

前回の話はコチラから。ユミ(55歳)の恋愛談を紹介しよう。姉にコンプレックスを抱きながら育ったせいで、自己肯定感が低い性格となってしまったユミ。

バブル崩壊後に会社で出会った夫と結婚したものの……妊娠中に浮気され、心を閉ざしながらも母親業にいそしむ日々が続いていた。

夫と喧嘩したことをキッカケに始めた「既婚者マッチングアプリ」。2人目に会った男性とバブル世代の話題で盛り上がりいい雰囲気に。2軒目にとタクシーで連れてこられた先は……ラブホテル街だった。

もっと一緒にいて、あなたを知りたい

 那須野 / PIXTA

「今日はそんなつもりじゃないからと言ったら、『そういう意味じゃなくて、静かなところで話したいだけだから』と言うんです。だったら静かなバーとかあるでしょ?

『いいじゃない、もっと一緒にいてあなたを知りたいんだ』と抱きしめられた。一瞬、力が抜けたところをすかさずキスしてきたんです。びっくりしたけど、こういうなし崩しなやり方は嫌だなと思った」

ラブホテルの方向へ彼女を抱きかかえるようにして連れていこうとする彼に、ユミさんは抵抗した。

「そのとき、行き交う若いカップルが『なんだ、あのオッサンとオバサンは』と笑ったのが聞こえて、頭がカーッとなって……。『いいよね?今さら抵抗する年でもないでしょ』とダイスケさんまで言う。さっきまでと態度が激変した彼に失望して、思わず突き飛ばして逃げました」

夫の前では女優になる

 Ushico / PIXTA

走りながらタクシーを拾って自宅に戻った。夫がリビングでテレビをつけたまま居眠りをしていたので、そうっと自室に入って着替えてからリビングに戻った。

「帰ってたのかと夫に言われて、『うん。ごめんね、今日は』と言いつつ、キッチンでわざわざ余り物で軽く食事をするふりをしていたんです。すると夫は『夕飯食べてないのか?』って。パートの私だって、ちょっとは会社に期待されているのよと言うと、夫はそうかと一言。何を考えているのかはわからなかったけど」

反応した、女としての体

 EKAKI / PIXTA

男性にホテルに誘われたのは初めてだった。ちっともロマンティックではなかったし、さばけてない女だと思われたかもしれないが、その晩、落ち着いて考えるとホテルに誘われたこと自体は思ったより不愉快ではなかった。

女として見て、自分を欲しいと思われたのだ。ただ、私は「そんな安い女じゃないところ」を見せなければならなかったのだと、彼女は自分に言い訳した。

「そんなことを考えながらお風呂に入ろうとしたら、下着が少し濡れていたんです。自分でも驚きました。キスされて揉めて、あげく怒って帰ってきたのに私の体は何に興奮したんだろうか……。もう更年期で閉経しかけているし、私、女じゃなくなったとも思ったりしていたんですが、体も心もまだ女なんだと再認識しました」

セックス目的でしか価値がないの?

お風呂から上がって既婚者マッチングアプリを開いてみると、ダイスケさんからブロックされているのがわかった。

「結局、そういうことか、と思いしらされました。年齢的にセックス目的の男性なんてもう近づいてこないかなと考えていたけど、そんなことはないみたいで……。相手も同世代のほうが誘いやすいのかもしれない。

セックス目的の男とずっと仲良くやり取りしていて勝手にときめいていたなんて、人を見る目が本当にないなと自分を笑うしかありませんでした」

亀山早苗
亀山早苗

東京生まれ。明治大学卒業後、フリーランスのライターとして雑誌記事、書籍の執筆を手がける。おもな著書に『不倫の恋で苦しむ男たち』『復活不倫』『人はなぜ不倫をするのか』など。最新刊は小説『人生の秋に恋に落ちたら』。歌舞伎や落語が大好き、くまモンの熱烈ファンでもある。