【55歳ユミの場合】何でも話せる心地よさ

【10】セカンドパートナーの沼!ついに出会えた運命の男性!?

【10】セカンドパートナーの沼!ついに出会えた運命の男性!?

更新日:2025年03月22日

公開日:2024年12月28日

マハロ / PIXTA

55歳ユミの恋愛ルポ第10話。最近耳にすることが増えた「セカンドパートナー」という関係。不倫とは違うと言いつつ…ハマってしまう人も多い。「既婚者マッチングアプリ」での出会いでトラブルもありつつ、やっと気が合うカズトと出会うことができたが…。

前回までのあらすじ

前回までのあらすじ
那須野 / PIXTA

前回の話はコチラから。ユミ(55歳)の恋愛談を紹介しよう。姉にコンプレックスを抱きながら育ったせいで、自己肯定感が低い性格となってしまったユミ。

バブル崩壊後に会社で出会った夫と結婚したものの……妊娠中に浮気され、心を閉ざしながらも母親業にいそしむ日々が続いていた。

夫と喧嘩したことをキッカケに始めた「既婚者マッチングアプリ」。2人目に会った男性と意気投合したと思ったのも束の間……ラブホテルに連れ込まれかけ、逃げるとアプリではブロックされていた。

「次も会いたい」と思える人には出会えない

ラブホテル街でのトラブルがあった後も、既婚者マッチングアプリで3人ほどの男性と会ったが、やはり「2回目も会いたい」と強く思えるほどの人はいなかった。

パート仲間のハルカさんからは、「私は例の人とうまくいってるわよ。あなたはアプリ始めたの?」と聞かれたが、「やってみたいと思いながら、なんだかんだと忙しくてまだなのよ」と嘘をつき通した。

既婚者マッチングアプリなんかに日々、気持ちと時間を奪われていると思われたくなかったからだ。

やっと出会えた!今までとは違う男性

そんなダラダラとアプリを続けている中で、カズトさんというサラリーマンと知り合った。会ってみると、今までの男性とは違う“何か”があった。

「どう言ったらいいんでしょう?とにかくとっても気楽なんです、彼と話していると。といっても、彼が単なる話のうまいお調子者というわけでもない。あ、夫にもずっと話せなかった親や姉とのわだかまりのある関係を、カズトにだけは話せましたね。人の心を開くのがうまいし、彼自身が非常にオープンなんだと思います」

同い年の彼とは、やはり若い頃の話から共通項が見えてきた。そういえば今の天皇皇后が結婚したとき、友達に誘われて婚礼パレードに行ったとユミさんが言うと、「僕は会社の窓からあのパレードを見ていたんだ」とカズトさんは言った。「え、私もあの近くに勤めていたんだけど、と近くのレストランの話などで盛り上がって」

セックスレスは、体が寂しいんじゃなくて心が寂しい

「結婚生活の話も彼とは隠さずできましたね。彼は『うちなんて、何年も完全セックスレスだよ』って。うちもレスなのという話から、『セックスレスっていうのは、体が寂しいんじゃなくて心が寂しいんだよね!』という彼の一言にすごく共感したり。オレたち、話が合うよねと言われて大きく頷きました」

月に数回、会うようになった。彼は週末が休みではない仕事だったので、ふたりは平日によく会った。なぜか動物園や美術展に行ったこともある。まるで独身男女のデートのようだった。

3か月ほどそんな清らかな関係が続いた後、彼に「オレたち、すごくいい関係だと思うけど、本音を言ってもいい?」と急に聞かれた。
 
「このままでもいいけど、本当はもっとユミのことを知りたい。心も体も全部。だんだん気持ちが抑えられなくなってきて困っていると。苦笑いしていました。自分の気持ちが燃え上がっているんだって。『こんなふうに恋をするなんて思ってもみなかった』と。

正直、うれしかったです。私も生まれて初めて、この人がほしいという気持ちになっていました。独り占めしたいとも思ったけど、重すぎる女になってはいけないとも感じていました。だから『一度だけ、試しにそういう関係になってみる?』と私から軽く言ってみたんです」
 
その瞬間、彼の顔がパァっと輝いた。こんなに素敵な笑顔を見ることができるなら、彼の望みは何でも叶えたいと彼女は思った。

亀山早苗
亀山早苗

東京生まれ。明治大学卒業後、フリーランスのライターとして雑誌記事、書籍の執筆を手がける。おもな著書に『不倫の恋で苦しむ男たち』『復活不倫』『人はなぜ不倫をするのか』など。最新刊は小説『人生の秋に恋に落ちたら』。歌舞伎や落語が大好き、くまモンの熱烈ファンでもある。