山本ふみこさんのエッセー講座 第9期#1
2024.10.312023年04月25日
青木奈緖さんが選んだエッセー作品の紹介とQ&A動画
青木奈緖さんのエッセー講座5期第6回参加者の作品
「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。大切な思い出を形に残すべく取り組む参加者たちの作品から、青木さんが選んだ2つのエッセーをご紹介します。
青木奈緖さんが選んだ2つのエッセー
「青木奈緖さんのエッセー講座」参加者による家族のエッセーです。クリックすると、作品と青木さんの講評をお読みいただけます。
「家族って」横山ひろみさん
私達夫婦には孫が3人います。その中で……
「チェス」ふじいみつこさん
不思議な夢を見た。10年程前に……
エッセーに関する質問・お悩みに動画で回答
エッセイストの青木奈緒さんを講師に、半年間でエッセーの書き方を学ぶ通信制エッセー講座。
このエッセー講座のテーマは「家族」。日本各地からご参加いただいた30名の皆さんが毎月1本、家族との大切な思い出をエッセーの形に残すべく取り組んでいます。
参加者ひとり一人がエッセーを書くうちに直面する悩みや疑問は、実は、書く人にとって共通する学びの宝庫です。ハルメクでは、月1回青木さんが参加者の質問に回答する動画を制作。現在の参加者が生き生きと学べるように、また、どなたでもご覧になって学びを生かせるように公開していきます。
第5期最終回となる今回の動画では、参加者の皆さんと過ごした全6回の総評と、「書き続けていくこと」についてお話を伺いました。
書くことは、自分と向き合うこと。気長にゆっくりと向き合いましょう
青木さん:6回を振り返ると、皆さんずいぶん作品を書きなれて、上達なさっていると思いました。その変化をご自身で感じ取れているといいなと思うのですが、自分ではなかなか分かりにくいことでもあります。
ひとつのエッセー、物語を書くということは、細かな作業です。
あちらこちらに目を向け、全体を見渡し、どう整えていくか考えなければなりません。
たとえば、原稿用紙の書き方、使い方もありますが、これは一度覚えてしまえばいいことですよね。けれど、「自分にとって書くということは、どういうことなのか」については、分かるようになるまで時間が必要になります。
ピアノを例にすると、鍵盤をひとつ押せば音は出ますし、簡単な曲なら弾ける人もいるでしょう。でも、その「弾ける」で、そのまま全員がピアニストになるかと言われたら全く違いますよね。
それと同じように、書くことは誰にでもできる。ただ、それを「好きだと思う人」「得手だと思う人」になるかどうかも全く別の問題です。
参加者の皆さんの中には、この6回を通じて「私は書くことがあまり向いていないかも」と思った方もいるかもしれません。誰しも全てに向いていることがある、と私は思えませんし、そうでなくていいとも思っています。
書くということが自分にとって、どういう意味があるのか。そう迷われる方は、まず「好きなのか」「心の中の重荷になっているのか」を比較してみてください。
洗濯をするより書く方が好きだわ、アイロンがけをするより原稿用紙に向かいたいわ、とか何でもいいです。
ご自身にとって、自分の体のどのあたりに「書くこと」があるかを考えてみると、より具体的になります。
私の祖母・幸田文は、曾祖父の幸田露伴が他界してから物書きを始めました。
曾祖父を照らし合わせ、「ものを書くということ」はどういうことなのか、祖母はこう話しています。
「父(幸田露伴)の偉さは何かと言えば、長くしつこくやったことという感じがします。文章を書く場合に、そのことが助けになっているとしたら、嫌なことってなんだろうと思います。本当の嫌なことというのは、最も望んでいることではないのかしら。最も好きなことではないのかしら。あるいは、最もせねばならぬ運命にあることではないかしら、という気がしてくるのです」
ちょっと禅問答みたいではありますが、私も同じように思います。
私は正直な話、書くことは大変だったり苦しかったり、時には面倒だったりします。
でも、10のうち、面白くなったり忙しかったり大変だったりする9があっても、「いやなことばかりではないな」と思える1の望みがあったらいいのではないでしょうか。それが好きということで、続けられる理由なのかもしれません。
けれど、全6回の講座でそのことを振り返るのは難しいです。
迷う方は一度比較をしてみて、気長に「書くこと」と付き合ってみてください。
不思議なほど筆が乗って絶好調なとき、原稿用紙も見たくないとき、色んなことがあると思いますが、続けていれば、自然と作品が溜まっていきます。その作品を月日が経ったときに読み返してみてください。
書いたという達成感で、そのことを書いた記憶はあっても、詳細を忘れている場合が殆どです。過去の自分と今の自分までの道のりを振り返る機会はそう多くはないですが、書き溜めていた作品が自身の杭となって「こんなことを私は考えていたんだ」と辿ることができます。
自分の文章のスタイルを求める方がいたとしたら、自分の文章に違和感がなくなるまで続けてみてください。
文章は徐々にしか上達できません。劇的な変化が起こることはないので、焦らずに表現と向き合っていきましょう。
参加者の皆さんには、ゆっくりと息長く、書くことを身近に感じてもらえたらなぁと思っています。
青木奈緒さんの今月の朗読作品
動画では、さらに詳しいお話や、青木さんの朗読もお楽しみいただけます。朗読するのは、時を経ても色褪せない温かな記憶を鮮やかに描いた作品「チェス」(ふじいみつこさん作)です。
エッセイスト・青木奈緖さんのプロフィール
1963(昭和38)年、東京生まれ。文豪・幸田露伴を曽祖父に、作家・幸田文を祖母に、随筆家・青木玉を母に持ち、自身もエッセイストとして活躍。著書に『幸田家のきもの』(講談社刊)、『幸田家のことば』(小学館刊)他。
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。講座の受講期間は半年間。
2023年3月からは、第6期がスタートしました(受講募集期間は終了しています)。5月からは、青木先生が選んだ作品と解説動画をハルメク365でお楽しみいただけます(毎月25日更新予定)。
■もっと知りたい■