庭に変化を!バラと相性抜群のおすすめ庭木(裏庭編)
2023.01.152023年02月06日
早春の庭を楽しむなら
2月の庭を彩るクリスマスローズの育て方・楽しみ方
バラを育てて20年、バラ栽培のコツや自作の庭、花に囲まれた暮らしを発信するバラ愛好家・奥野多佳子さん。今回は、冬から早春の庭を彩る華やかなクリスマスローズについて、種類や育て方、楽しみ方をご紹介。素敵なファブリック作品も披露します。
今月の作品「聞こえる?」
ひょっとすると草むらには天使がいるかもしれない……。
天使たちは葉っぱやお花でキャッキャッと遊び、クスクスッとお話をしているかもしれない……
そうふっと思って作った作品です。
天使がタンポポやどくだみの花を揺らしたり、葉っぱをすべり台にしたり、お昼寝したり……いろんな様子を想像するだけでも楽しくて。一気に作れました。
布を染め、布の間に綿を入れて縫っているので、ふんわりした優しい雰囲気の作品になりました。
早春の庭の救世主で、手間いらずの優等生
クリスマスローズは、寒い冬から春にかけてひっそりと咲く、花の少ない冬の庭を彩ってくれる救世主です。その可憐な姿から“冬の貴婦人”と呼ばれています。
以前何かで読んだことがあるんですが、昔イエス・キリストが生まれた夜に貧しい羊飼いの娘が何かお誕生の贈り物をしたいけれど何もないので泣いていると、それをかわいそうに思った天使がそっと雪の降り積もる地面に触れると、そこから美しい白い花が咲いたということです。
娘はそれを摘んで贈り物にしたそうですが、それがクリスマスローズ……という何ともロマンティックなお話で、クリスマスローズを見ると今でも思い出します。
このお話からも、クリスマスローズ(ヘレボルス)はもともとクリスマスの頃(冬)に咲くバラのような美しい花として、原種の白いニゲルのことを呼んでいました。
でも最近は2~3月頃に咲き始めるものが多くなりました。それらは原種などを交配して作り出されたさまざまな品種(ガーデンハイブリッド)で、よくお店で販売されているものです。今では原種のものから交配されたものまで総称してクリスマスローズと呼ばれています。
クリスマスローズは花が美しいことも人気の理由の一つですが、育てやすいこともあります。手間をかけなくてもよく咲いてくれる優秀な宿根草……花が終わると常緑なので、グランドカバーの役割もしてくれます。
もう20年ほど前から育てている我が家のクリスマスローズと、その楽しみ方をご紹介します。
我が庭の8種類のクリスマスローズたち
1:原種系の二ゲル
大輪のニゲルです。
冬12月になると蕾(つぼみ)がすっと首を持ち上げてニゲルは咲き始めます。黄色いシベとのコントラストがきれいで、何とも頼りなさげです。
少し低い位置で咲くので、大株になると地面を覆うようでそれは見事です。でも二ゲルは夏の蒸し暑さに弱く、大きな株でも夏に消えてしまうことがありました。原種系は夏の育て方に要注意ですね。
2:ガーデン・ハイブリッド
今一番お店に並んでいるものです。その咲き方(シングル・ダブル・セミダブル)や花色、花の形、花の模様が本当に種類も多く、魅力的なものがいっぱいです。
このハイブリッドは原種に比べると暑さに強いものや少し横向き加減で咲くものなど、品種改良され育てやすく、丈夫にもなってきました。
3:シングル
花びらが一重で、とてもシンプル。クリスマスローズには実は花びらがないそうです。花びらのように見えるのはがく片で、もともとの花びらは、退化して蜜腺となって雄しべの外側に並んでいるのだそうです。
クリスマスローズが散らないのは花びらじゃないから、とわかると何だか納得しますね。
4:ダブル
花びらが八重で豪華! ダブルが出始めた10年以上前は希少で、ひと鉢1万円ほどしたのでなかなか手が出ませんでしたが、今は買いやすくなっていろんな種類が楽しめるようになりました。
このダブルは少し横を向いて咲くので、濃いあずき色にアイボリーのシベのかわいい表情がよく見えます。
黒色のダブル。うつむいて咲いて、なかなか顔が見えず神秘的です。
5:スポット
花に斑点が入るものです。
6:ブロッチ
斑点が固まって入るもので、色のコントラストが美しい!
7:ピコティ
花に縁取りが入ったもので、これは縁取りが細いので糸ピコティ。幅が広いものは帯ピコティと呼ばれています。ちょっとドレスを着ているような感じがします。
8:ベイン
花にスジが入ったもので、これはベインのダブルです。花びらがヒラヒラ……とても優雅。
ガーデン・ハイブリッドは2月中旬に咲き始めますが、まだ他の草花たちは眠りから覚めた頃なので、庭はクリスマスローズの一人舞台です。賑やかに鮮やかに、クリスマスローズは1~2か月間咲き続けます。
おととしは鉢植えのクリスマスローズがあふれるようにきれいに咲いてくれて(左下の白い花)、5月のバラの季節まで切れずにいました。バラとクリスマスローズが一緒に咲くってなかなかないので、うれしくなりましたが、予想通り翌年の花数は少なかったです……。
クリスマスローズの育て方
<庭に植えるとき>
明るい半日陰が適しています。特に夏の日差しが避けられる落葉樹の木陰などが最適です。
<鉢植え>
夏以外は日当たりのいい場所に置いて、6月頃からは明るい半日陰に移動させるのがベストです。また、過湿を嫌うので、夏の水やりは要注意。私は乾かし気味にしています。とにかく気を付けるのは夏!です。
<肥料>
秋に1度、鉢植えは秋と2月(花前)に2~3回あげています。
<鉢の植え替え>
毎年がベストですが、私は秋から冬にかけて2~3年に1度くらいしかしていません。その時に株分けをすることもあります(あまり細かく分けないでたっぷり咲かせる方が素敵です)。
<古葉取り>
唯一しっかりお世話するのが古葉取りです。秋に新芽が展開し始めたら、古い葉を根元から切り取ります。花前の1~2月にも固くなった古い葉を切っておくと花が咲いたときにきれいだし、花後の新しい葉も出やすくなります。
クリスマスローズの生け方・楽しみ方
◆切って生ける
庭でうつむいて咲くクリスマスローズは、切って生けるとまた違う表情を見ることができて楽しめます。
花を切るときは2番目の花が咲いてシベがパラパラと落ちた後切る方が、早めに切って生けるより花が長持ちします。
そして、もっと長持ちさせるには「湯あげ」が効果的です。
湯あげは、切ったクリスマスローズの束を新聞紙でくるみ、コップに熱湯を2~3cm入れ、その中に1~2分茎をつけます。その後、新聞紙が半分くらい浸かるほどのたっぷりのお水の中に1~2時間入れて置けば水あげ完了です。
ちょっと手間と時間がかかるので、私は余裕のある時にしています。また、私はシベのある花の雰囲気が好きなので早めに切ることもあります。
◆ドライにする
切って葉っぱを取って束ねて吊るしておくだけです。花は白っぽいものより濃い色の方が、きれいにドライになるように思います。
◆浮かべる
茎を短く切ってお水に浮かべます。上を向くお花の表情が見られるので、クリスマスローズのかわいさ再発見です!
今クリスマスローズは、迷うほどいろいろな品種が出てきて大人気ですが、庭植えでも鉢植えでもどちらでも育てやすく、私は手間いらず……というのが一番うれしい!
早春の貴婦人、ぜひ手に取ってお気に入りを見つけてくださいね。
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