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素敵なバラの庭づくりは、冬の剪定と誘引が決め手

公開日:2020/01/20

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バラ栽培のコツや花に囲まれた暮らしを発信するブログが人気のバラ愛好家・奥野多佳子さん。5月に奥野さんの庭は、たくさんのバラの香りで満たされますが、そのためには寒い時期の剪定と誘引がポイントなのだそう。さて、どのようにするのでしょうか?

素敵なバラの庭づくり

作品「カラー」

作品「カラー」
作品「カラー」

バラのお話をする前に、今回の作品「カラー」をご紹介します。
カラーって フォルムがとても美しくて大好きな花です。
手に持ちきれないほどのカラーの花束が欲しいな~……

そんなカラーを一本一本立体的に、花びらは内側と外側の布を別々に染め、エッジに細い針金を入れて花びらの細やかなカーブを表現しました。また、サテンも使って質感を変えています。

作品「カラー」

1mほどの茎を筒状にして中に綿を入れるのが大変でしたが、ギュッと茎を束ねて……半立体的なレリーフ作品です。横幅170cmもある大きな、そして重たい作品なので、移動が大変! でもお正月にはリビングによく掛けています。

剪定って難しい……?

バラ

さて、今回は、バラの剪定と誘引のお話です。
バラを育てている仲間が集まると、「バラの剪定って難しいね!」……とよく話題に出るのですが、私もバラを育て始めた頃は迷いながら剪定していたことを思い出します。

剪定って、元気できれいな花をたくさん咲かせるために枝を切ることです。剪定しなくてもバラは育ちますが、どんどん伸びて見上げるところでしか咲かなくなって、花数も減ってくるので剪定は必要なのです。

バラ

剪定は、花後の剪定、秋バラを咲かせるための夏剪定などがありますが、バラの活動が休眠状態になる冬剪定が、5月に花を咲かせるために一番重要です。私はお正月が明けてすぐに始めて2月末までには終わらせるように、毎年どんなに寒い日でも庭に出て脚立に乗るので、寒さに強くなりました(笑)

 

バラ

剪定って……いろいろ考え出すと難しいのですが、シンプルに考えると、株が持っている養分を少しの花芽で分けて一つの花を大きくするか(強剪定)、たくさんの花芽で分けてそれほど大きな花でなくても花数を増やすか(中剪定・弱剪定)……ということかなって思います。

 

剪定するとき

剪定するときは、剪定ばさみ、麻ひも、麻ひもで結びにくい場所は枝に優しい「バラ用やわらかバンド」(DAIM ローズシリーズズタイル)という黒いゴムにワイヤーを通したものも使っています。太い枝を切るときにノコギリも必要です。そして……トゲから手を守るための皮手袋は必需品。

どこを切るか……それが問題!

いちばん悩ましいのが、どの枝を切るのか……枝のどこを切るのか……です。
バラは、樹形で大まかに「木立性」と「つる性」に分けられます。
  
「木立性」のバラの基本的な剪定

バラの基本的な剪定

1.太い枝を残す
よく鉛筆くらいの太さの枝を残して細い枝は切る、といわれていますが、私は細い枝でも樹形のバランスを考えて残すこともあります。

2.古い枝は切る
枯れた枝や2年以上たった枝はチェックして切る。

3.花が咲く枝を残す
この見極めが難しいですが、枝の太さや色合いで見ていきます。

4.花芽の上を切る
切ったところから新しい枝が伸びるので、外へ外へと枝が向かうように、外側にあるプツっと出ている赤い花芽の5mmほど上を切ります。迷ったときは、より下の方の外側の花芽を探して切ります。

5.迷ったら
半分ほどの高さに揃えて切ることでも、株は更新されるのでOKです。

バラの基本的な剪定

ブッシュローズといわれる木立性のバラの剪定はこんな感じです。中剪定をした後の茶色い部分が剪定後の姿です。全体の2/3ほどの高さになります。赤のラインで切ると強剪定で、枝は全体の半分ほどの高さになります。元気なバラなら、どの剪定でもよく咲いてくれますが、年数を経たバラや調子の悪いバラをどう剪定するか……これが悩ましいですね。

ラブリーメイアン
ラブリーメイアンの剪定

これはラブリーメイアンです。今も蕾(つぼみ)が付いていますが、遅咲きでピンクの花が枝垂れるように咲くかわいいバラです。剪定するときは、まずバラを完全に休眠させるために葉を全部もぎ取って、そして一本一本枝を確かめながら細い枝は切り、半分ほどの高さにしています。今年はかなり強く剪定したつもり……。

ラブリーメイアン
5月にはこんなかわいい花を咲かせます

バラの剪定は、系統や樹形や性質などを考えると、ひと言で言えないことが山ほどあって複雑! いくらセオリーがあっても、そこは自分で知識を得て判断しないといけないので、みんなが難しいと思うのもそんなところかもしれません。

バラ

でも 最終的に自分がどんなふうに咲かせたいのか……で、剪定が決まってきます。
知識と経験……あとは「カン」でバチッとハサミを入れますが、時々、間違って切っちゃった!……ということも多々あり??……でも、すぐに忘れるようにしてるんです(必ず咲くので……笑)

つるバラの誘引は、横へ横へ

「つる性」のバラ

「つる性」のバラの基本的な剪定

つるバラは、花後に出た新しいシュート(枝)に次の年花芽がつくので、いかにたくさんのシュートを出させるかがポイントです。私は花後の6月に古い枝を、株元近くで剪定します。よく3年たった枝は花芽が付きにくい……といわれていますが、株元から、1年目の枝……2年目の枝……と確認しながら切ることもあります。ですから冬剪定は、誘引のことなど考えて切るのと、古い枝の整理と枝先をカットする剪定になります。

「つる性」のバラ

つるバラの誘引方法

剪定したつるバラは、次にアーチや壁面やオベリスクなどに誘引します。

つるバラを誘引するやり方

これは裏庭のコンスタンススプライです。イングリッシュローズ(ER)ですが、私はつるバラとして仕立てているので、2019年6月に古い枝を剪定しています。ERの第1号の品種ですが、他のERに比べてシュートがよく伸び、つるバラの性質の方が強いみたい……。

バラ

細い枝でグニャグニャと絡まるので剪定は少し大変かもしれませんが、花が美しい!……コロコロとした大輪のカップ咲きで、素敵な雰囲気のバラなのです。

つるバラを誘引するやり方

まず誘引を解いて、全ての枝を下ろし(左)、葉っぱをもぎ取っておきます(右)。そして、枝を脚立にのせて安定させ、誘引する左方向、右方向、下方向の3つのグループに分けて、古い枝や枝先10cmほど剪定します。

つるバラは枝先に花が咲くので、上方向は必ず咲いてくれますが、花が少ない下方向にも枝を誘引して花を持ってきます(笑)。

つるバラを誘引するやり方

剪定した枝を横や上へと伸ばして、壁に張ったワイヤーに麻ひもでくくりつけていきます。

つるバラを誘引するやり方

この壁面はビスを打ち込めないのでワイヤーをトユからトユへ……そして左の小さな窓をぐるっと囲ってつなげています。案外目立たないのですが、誘引したバラが強風などでぐらつかないようしっかり止めないといけません。ワイヤーは20番のステンレスのワイヤーを使っています。

つるバラを誘引するやり方

左の窓の横に置いている鉢植えのつるバラ、まだ2年目のシティオブヨークも、少し剪定して誘引しました。2つがコラボすると、ピンクと白で優しい雰囲気の風景になります。

誘引は、どの枝をどこへ持っていくか……それが重要です。バラの性質によってもいろいろ違いますが、縦より横に誘引する方がお日さまがよく当たるので、シュートの出もよくなります。なるべく斜め上か、横方向へ誘引するようにします。

つるバラで風景を作ります

ガーデン

我が家はつるバラが多いのですが、誘引するこの時期になると上ばかり見上げるので首が痛くなります(笑)。脚立に乗って誘引するときは、時々下りて全体を見る……そしてまた脚立に乗って誘引……また下りて全体を見る……の繰り返し?一人二役で大忙しです。でもこうして、全体のバランスや、隣のバラとの重なりなどを確認して誘引していきます。

バラ

実は、私は誘引が大好きです。それは、つるバラで自分の思い描く風景を作ることができるからです。

色や形や香り……バラを組み合わせる方法は数限りないのですが 何をポイントにするか……どんな色合いにするか……いろいろ挑戦できて、裸木のバラが並ぶ殺風景な庭を見ながら、5月の風景を想像して誘引することはとても楽しいことです。

バラ

バラは一つ一つの花ももちろん美しいのですが、それらが組み合わさって織りなす華やかな風景は本当に魅力的です。そこには木立ちバラにはない、つるバラの醍醐味があります。

バラの剪定や誘引は難しいと私も感じますが、少しセオリーと違っても必ずバラは咲いてくれます。むしろ セオリーより自分でそのバラに合った剪定を見つけ出すことが大事なのかもしれません。剪定も誘引も、失敗があるから毎年挑戦できるのです。

さぁ~……冷たい風が吹いていますが、庭に出て剪定しましょう! 
一人黙々と……5月を夢見て……。


次回は「バラのケーキを作りましょう!」を、2月20日頃にお届けします。

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奥野多佳子

1952(昭和27)年、兵庫県生まれ、大阪府在住のバラ愛好家。82年にタペストリー制作を始め、2000年に陶芸、04年に庭づくりを始める。豊中市美術協会会員。兵庫県立美術館で解説ボランティアに参加。ブログ「Soleilの庭あそび…布あそび♪」は人気です。

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