「種種雑多な世界」水木うららさん
2024.11.302024年07月31日
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座第8期第4回
「ゆっくり息をする」前場勢津子さん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。参加者の作品から山本さんが選んだエッセーをご紹介します。第8期4回目のテーマは「あれ?」。前場勢津子さんの作品「ゆっくり息をする」と山本さんの講評です。
ゆっくり息をする
なんだか疲れていた昼下がり。ぼんやりと、本棚から1冊のエッセイをひきぬく。女性エッセイストのもので、こんな1行が目にとまった。
「予定が立て込みすぎると、気持ちに余裕がなくなるし、体にも不調が出てしまう。できれば予定は1日1つ」
「そうなんだね。」
みんなとは言わずとも多くの人がそうだったのか。心の底にしまいこんでいたものが、少しずつ溶けていっている。それが嬉しくて気持ちが上向きになっていくのがわかった。
この頃妙に疲れる。しっかり睡眠をとっているつもりだが、起床時「あ~もう起きる時間か~。」と、ため息まじりの心の声が口から出ている。そして、「今日の予定は?」と自問。出かける予定がないとわかるとほっとしたりして……。
こんなことってなかったのに……。
50代では1日に2つ以上の予定を入れて、それを成し遂げたことの充実感を勝手に味わっていた。
ところが60代になった頃から1つだけの予定でも毎日出かけるとなると頭も身体もひへいしてしまうことを無言で納得。十分納得していたつもりが、70代の今、すっかり忘れている。嫌になるほど思いしらされることがある。
認めたくなかった老化。
逆らわず、ゆっくり息をして、予定は1日1つ。
山本ふみこさんからひとこと
これを読んで、わたし自身が前向きな心持ちになりました。
呼吸が深くなり、ゆったりしたのです。エッセイスト「前場勢津子」のチカラによって。
お礼を申します。
書くとき、そっと静かに(押しつけがましいのはいけません)、読み手の気持ちを察して、包む、という神経を働かせてみようではありませんか。
通信制 山本ふみこさんのエッセー講座とは
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
現在、次回9期のご参加者を募集しています。(抽選制)
詳しくは雑誌「ハルメク」9月号、またはハルメク365イベント予約ページをご覧ください。
ハルメク365イベント予約ページはこちら
■エッセー作品一覧■