女性の50代は離婚適齢期!?

前向きに“自分”を生きる女性たちの離婚の理由

公開日:2021.06.07

更新日:2023.05.12

50代女性の「離婚の理由」にはいろいろあります。女性の社会進出はもちろん、コロナ禍を経て生活スタイルはもとより、夫婦の在り方なども変化。そうした中で、離婚を考えたことのある女性たちの「離婚の理由」について一緒に考えてみましょう。

前向きに”自分”を生きる女性たちの離婚の理由
50代女性は離婚適齢期?!

女性の50代は、結婚生活の変革期

女性の50代は、結婚生活の変革期

2019年人口動態統計月報年計(概数)によると、1995年の初婚女性の平均年齢は26.3歳。そして2019年に同居20年以上の夫婦が離婚した件数は4万件以上となっています。

1995年に26歳で結婚した女性は、2019年には50歳を迎え、結婚生活は20年以上が経っている計算です。子育ても終わり、自分の時間も増えて「これからの人生をどう生きるか」と考えたとき、配偶者との関係について見直しを図ろうと思う人もいるでしょう。

そんな「結婚生活の変革期」を迎えた、50代の女性たちが考える「離婚したい理由」について見ていきましょう。

50代女性が離婚したい理由(環境面)

50代女性が離婚したい理由(環境面)

まずは、環境の変化という側面から離婚を考えてみましょう。妻であり、母であり、娘である自身を取り巻く環境は、年齢によって、またライフステージによっても変化していきます。

子どもが独立し、夫婦だけの生活になった

今まで子育てで忙しかったのに、気がつけば夫婦だけの生活に。結婚当初のような会話も、共通の話題もなくなり、お互いの存在が空気化していることに、ふと気づいて孤独を感じてしまうこともあるかもしれません。

老後の経済的な見通しが立った

離婚を考えたとき、お金に関する問題は避けては通れません。30代くらいで離婚を意識し、そこから準備を始めて50代で最低限の準備が整った時に、一人で生きていく覚悟と人生のリスタートについて考えることもあるでしょう。

2007年以降にスタートした「厚生年金の分割制度」もまた、そんな女性たちを後押しする要因の一つと言えそうです。その他、起業や出世なども女性の経済的な自立につながるタイミングになります。

厚生年金分割制度
2007年4月より認められるようになった、厚生年金の分割制度。会社員の夫に扶養されていた主婦が離婚したとしても、婚姻中に支払った厚生年金保険料に応じて、配偶者も年金がもらえるようになっています。

起業してフリーランスや経営者になり、事業が軌道に乗った
また、一方では仕事をスタートさせて、お金を貯めつつ自立後の生活のための備えをしてきた人もいるでしょう。
2020年版中小企業白書」によると、「フリーランス起業家」の7割が50歳未満の女性という結果になっています。

フリーランス起業家の年齢構成 出典:2020年版中小企業白書(中小企業庁)
フリーランス起業家の年齢構成
出典:2020年版中小企業白書(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/chusho/b1_3_3.html
起業した目的(フリーランス起業家) 出典:2020年版中小企業白書(中小企業庁)
起業した目的(フリーランス起業家)
出典:2020年版中小企業白書(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/chusho/b1_3_3.html

結婚後、子育てや介護などの理由で「仕事をしたいけれど、フルタイムで勤めに出るのは難しい」と、フリーランス(在宅ワーク)を選択、個人事業主として起業している人も多いようです。

子育てをしながら、コツコツとがんばってきた女性が50代になり、フリーランスとしてのキャリアを積んで、一人で生活できるだけの収入を得られるようになった。その時、離婚のタイミングを考え始めていると言えそうです。

出世して年収が上がり、退職金受け取り予定額が増えた
結婚や妊娠・出産を経てなお、正社員として仕事を続ける人も増えてきました。そうなると、管理職・役員などキャリアアップする選択肢も出てきます。

一般社団法人 日本経済団体連合は、2030年までには会員企業の女性役員の比率を30%まで増やすと発表しました。

これにより、多くの企業で女性の役員がますます増えていくことが予想されます。これまでキャリアを積んできている50代の中間管理職の女性であれば、昇進のチャンスを期待するのも自然な流れでしょう。

当然、役員になれば給料だけでなく、退職金受け取り予定額もアップします。これを機に、老後のライフプランを見直す女性も出てきそうです。

50代女性が離婚したい理由(性格の不一致)

50代女性が離婚したい理由(性格の不一致)

平成29年司法統計年報 3家事編によると、夫婦不和による調停の申立書の「離婚理由」では、異性問題やお金問題、精神的虐待など、さまざまな理由が挙げられています。

特に多いのは、夫・妻ともに「性格の不一致」。夫婦関係を続けていく上で、性格の合う・合わないは、年齢を問わず離婚の大きな原因の一つになっているようです。

夫婦間の小さな歪みやすれ違いは、長年の結婚生活によってどんどん蓄積されていきます。そして50代になり、夫の早期退職や定年、子どもの成人・就職・結婚といったライフイベントを一つのきっかけとして、「やはり性格が合わない」と離婚を決意する人もいるのではないでしょうか。

特にコロナ禍によって住環境が大きく様変わりし、これまでは気づかなかった。あるいは気づかないフリをしてきた「相容れない部分」が、より目立つようになってしまったことも。

では、「性格の不一致」にはどのようなものがあるのでしょうか。幅広い意味を持つ離婚理由について、もう少し具体的に見ていくこととしましょう。

お互いの価値観が乖離

例えばお金をコツコツ貯める倹約家の夫と、欲しいものにはお金に糸目をつけずに買ってしまう浪費家の妻が一つ屋根の下で暮らしていたらどうでしょう。お互いにかなりのストレスを感じて毎日喧嘩となり、やがて離婚となりそうです。

この場合はお金に対する考え方=貨幣価値が違うということになります。このように、金銭感覚や子どもの教育方針など、自分が基盤とする考え方が相手とは異なると思った時、その根本的な考え方の違いから「一緒に生きていくのは難しい」という結論に達します。

価値観の違いに年代は関係ありませんが、離婚を意識してはいるものの、「子どもが独立するまでは」と踏みとどまっていた人もいるでしょう。

そうして50代になり、夫婦二人の生活に立ち返って、改めて人生を歩み続けることを考えた時、これまでに感じてきたことや蓄積されたものが夫婦の問題として顕在化して、残りの人生を共に生きるのは難しいと感じ始めてしまうのかもしれません。

無関心な同居人になっている

初めは「相談し、わかり合いたい」と努力をしていた夫婦も、それぞれの主張をぶつけてケンカを繰り返すばかりの状態が続くと、「きっといつまで経ってもわかり合うことはできないだろう」との諦めから、相手に期待をしなくなり、気づけば共同生活者に。

一緒に暮らしてはいるけれど、お互いに関心がなく、食事も別、家にいる間は個々の部屋で過ごしているため顔を合わせない日もあるといった状態。

だんだんと一緒にいることに虚しさを感じるようになり、こうした「家庭内別居」の状態から、離婚を考えるに至ります。

離婚に対する思いはどこから生まれてくる?

離婚に対する思いはどこから生まれてくる?

50代女性が離婚したいと思う理由を、人生における環境の変化や、性格の不一致から考察しました。ではこうした離婚に対する思いは、どこから生まれてくるのでしょうか。

離婚理由は大別すると2種類。「これからの人生を考えて次のステップへ進もう」という決断と、「今の状態から抜け出したい」というものです。

特に女性は閉経などもあり、体調面でも大きな変化を感じることもあります。また、大震災やコロナ禍を経て「明日、生きているかわからない」という思いから、「後悔しない人生を過ごしたい」と人生をリセットしようと考える女性もいます。

今のままでいいのか、この先も夫と共に過ごしていけるのか?と改めて自分に問うてみた時、「離婚」という選択肢もあることを意識するのかもしれません。

離婚したい理由はあっても、離婚するかは別問題

離婚する理由はあっても「離婚」するかは別問題

今までは50代女性の「離婚したい理由」を見てきました。しかしその先にある「離婚」を決断するか、しないかはまた別の問題です。

そこには「離婚したい理由」よりも優先される、彼女たちの事情があります。ここで50代女性の「離婚へ踏み出す人」と、「離婚へ踏み出せない人」の事情の一例を挙げてみました。

離婚へ踏み出す人

  • 仕事をしていて経済的な基盤がある
  • 問題が起こっても夫を頼らず解決できる            
  • 夫がいるメリットより、いないメリットを優先して考える
  • 何事にも流されやすいからこそ、あえて決断して退路を断つ
  • 頼れる親や実家がある

離婚へ踏み出せない人

  • 実親や子どもと同居している
  • 子どもが成人(独立)していない
  • 精神的に自活・自立する覚悟がまだ持てない
  • 経済的に自立する準備が整っていない

家族の在り方や生き方が多様化し生活様式も一変した中では、さまざまな事情がある人も少なくありません。たとえ今すぐ離婚に踏み出す準備が整っていなくても、人生の岐路は自分自身で選択できると認識することが心の支えになります。

人生のイニシアティブは自分の手にある

人生のイニシアティブは自分の手にある

公益財団法人 ダイヤ高齢社会研究財団のアンケート調査によると、ある程度の年齢を重ねてからの熟年離婚は、男女ともに半数以上が「理解できるが、自分はしたいと思わない」という結果が出ています。

しかし同時に、女性の3割程度が「離婚したいと思う」、「したいと思うかもしれない」と思っているという結果も。

長年連れ添った夫婦は、男女ともに「離婚」したいと考えたことはあるが、その先の具体的な大変さを考えて踏みとどまる、我慢できる範疇だと納得するなど、相容れないことを良い意味でも悪い意味でも理解しあっている部分も。

一方、こんな良さもあると思えるところもあり、その先を踏み出すほどでもない、というところに落ち着く場合もあるでしょう。

離婚というのは結婚以上にパワーを要するものです。「離婚したい」と思った時、大変なことがあっても自由な未来を勝ち取りたいと思うか、我慢をして、なんとか残りの人生を平穏にやり過ごしたいと思うか。それぞれの選択によってその先の道は変わってくると言えます。

子育てが終わり、自分の時間が増えてきた50代も中盤になってくると、女性も「これからどう生きたいか?」、「自分にとって幸せとは、どういうカタチなのか?」を改めて考える時期になります。それが離婚を考える一つのきっかけとなり、人によっては実際に行動する場合も出てきます。

自分の人生という船の舵を握るのは自分だけ。それは本来、相手がいることによって変わることはありません。

離婚の文字が浮かんだら、そこに至った理由をまずは書き出してみましょう。そして多くの理由=課題の一つ一つの解決法について考え、その先の決断を選択すべきか、現状を変えることで少しずつ軌道修正をする選択をすべきか、答えが見えてくるのではないでしょうか。

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ハルメク365編集部

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