知られざる花粉の健康効果!花粉症と戦う花粉とは?

花粉症対策にいい“食べられる花粉”があるって本当?

公開日:2024.02.29

花粉症の人にとって花粉は、つらいアレルギー症状を引き起こす厄介な存在。でも、花粉の中には花粉症にいいとされるものもあります。その一つが、ミツバチの作る「花粉荷」。花粉荷の働きについて、ミツバチ産品に詳しい医学博士・福島忍さんに聞きました。

“食べられる花粉”!?栄養豊富な「花粉荷」とは

花粉荷

花粉症は、植物の花粉によって引き起こされるアレルギー症状です。花粉は本来、人体にとって無害ですが、体が花粉を害のある異物だと判断すると、免疫反応の一種であるアレルギー反応が起こります。

そのため、花粉症対策では、花粉にできるだけ触れない、吸い込まないのが基本。ただし、花粉から作られるものの中には、花粉症にいいとされるものもあります。その一つが、ミツバチが作る「花粉荷(かふんか)」です。

「花粉荷とは、ミツバチが体の表面に付いた花粉と花の蜜を練り合わせ、団子のように丸めたもの。働き蜂は、この団子状の花粉を後ろ脚の先に付けて巣に持ち帰り(写真上)、食料として大切に保管します」(福島さん)

はちみつがエネルギー源となる糖質が多いのに対し、花粉荷はタンパク質やアミノ酸、ビタミン、脂質、ミネラルといった栄養素をバランスよく含みます。

花粉荷
花粉荷(写真提供:山田養蜂場)

「栄養素をバランスよく取れる花粉荷は、働き蜂の貴重な栄養源。また、働き蜂は花粉荷を材料にしてローヤルゼリーを作り出すので、花粉荷は完全栄養食と呼ばれるローヤルゼリーの元とも言えます」(福島さん)

そんな栄養豊富な花粉荷は、「ビーポーレン」「花粉だんご」などの呼び名でも販売されていて、人も手軽に食べることができます。自然由来のやさしい甘さがあり、そのまま食べてもよいですし、はちみつやバターと混ぜてパンに塗ったり、ヨーグルトに混ぜてもOKです。

解明されてきた花粉荷の健康効果!花粉症対策にも

解明されてきた花粉荷の健康効果!花粉症対策にも


実は花粉の栄養効果については、古くから人間も注目していたそう。福島さんによると、最近は花粉由来の花粉荷についても科学的な研究がなされ、花粉荷が持ついろいろな健康効果が明らかになってきました。その一つが、花粉症への効果です。

「花粉が花粉症にいいと聞くとびっくりするかもしれませんが、そもそも花粉には、花粉症の原因になりやすいものと、なりにくいものがあります。

花粉症の原因になりやすいのは、風で運ばれる『風媒花』の比較的小さな花粉。一方で、ミツバチなどの虫に運ばれる『虫媒花』の花粉は、風に飛ばされにくい形状で比較的大きいので花粉症の原因になりにくいとされます。花粉荷に使われる花粉は虫媒花ですから、花粉症などのアレルギーを起こすリスクは極めて低いのです」(福島さん)

では、花粉荷はどのようにして花粉症に働きかけるのでしょうか。

「花粉荷には、抗炎症作用と抗アレルギー作用があることがわかってきていて、これらの作用が花粉症の症状緩和につながるのではと考えられています。実際に、花粉荷を含む健康食品を花粉飛散前から取ることで、花粉症治療薬の使用量を減らすことができたという報告がなされているんですよ」(福島さん)

特に注目される花粉も

中でも研究者の間で注目されているのが、シスタスという花の花粉で作られる花粉荷です。

「シスタスはスペイン原産の植物で、花粉が多く取れることからミツバチが好んで訪れます。シスタスの花粉荷には、アレルギー症状を引き起こす抗体ができるのを抑えたという報告がある成分が含まれる他、前立腺肥大を抑える働きなども期待されています」(福島さん)

国土が広く、自然豊かなスペインでは、シスタスの花粉荷が安定して収穫できます。そのため、日本でもスペインからシスタス花粉荷が1年を通して手に入るのだとか。

つらい花粉シーズンを乗り切るために、自然由来の“食べられる花粉”にも注目したいですね!

お話を伺ったのは:福島忍(ふくしま・しのぶ)さん

山田養蜂場 健康科学研究所 学術情報担当。医学博士。入社以来、最先端の研究学術情報を集約・発信する業務に従事する他、10年間、全国各地の大学との共同研究や自社の臨床研究などにも携わり、ミツバチ産品の効果を明らかにしてきた。

取材協力:山田養蜂場健康科学研究所


 

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