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- 【書評】『パンダはどこにいる?』他2冊
雑誌「ハルメク」の編集部員がおすすめする新刊情報を毎月お届けします。今月は、臨済宗円覚寺派管長で、花園大学総長でもある横田南嶺さん著書の主人公のパンダをモチーフとしたメッセージ性のある絵本など3冊をご紹介します。
文:横田南嶺 絵:横山由馨著『パンダはどこにいる?』
上野動物園のパンダ「シャンシャン」は2023年2月21日に中国へ帰国しましたが、本書はパンダが見たくて動物園の行列に並ぶパンダの話の絵本。まわりの人から「あなたはパンダなんだから」と言われて、行列から押し出されてがっかりしてしまいます。
それからパンダになるための修行を始めるパンダ。つまり主人公のパンダは自分のことがパンダとわかっていないのです。
著者は、臨済宗円覚寺派管長で、花園大学総長でもある横田南嶺(よこた・なんれい)さん。あとがきで横田さんは、人は誰でも仏の心、慈しみ、思いやりの心を持っているのに、外に仏を求めてしまうという趣旨のことを語っています。外にパンダを求めたパンダはその後、どうなるのでしょうか。
暦生活・清絢著『日本を味わう366日の旬のもの図鑑』
この本はまるで絵日記のよう。1日ごとに366日分、旬の食材や行事食について写真と文章でつづられています。ちなみに今この原稿を書いている2月8日の食材は「大福」。2月8日と12月8日は事八日という行事日で、地方によっては針供養を行い、大福を送る風習があるのだそうです。
どのページをめくっても写真が実に美しく、眺めているだけでも満たされてきます。
本の帯で料理研究家の土井善晴(どい・よしはる)さんが「人間と自然が交わって溶けあって一つになるとき きれいだなあと思う おいしいなあと思う」と書いていますが、まさにその通り。きれいだなあ、おいしいなあ。極上の気分が味わえます。
横森理香著『これから30年をゴキゲンに生きる。』
長引くコロナ禍で経済はリーマン・ショック後と同じような状況になり、ロシアによるウクライナ軍事侵攻など不安を掻き立てる出来事が立て続けに起こっています。何をよりどころにすればいいのかと途方に暮れてしまう日もあります。
でも、本書の著者、横森理香(よこもり・りか)さんは「自分の幸せは自分で作るしかない」ときっぱりと言います。病気も不況も乗り越えて、これからも自分らしく生きていくための極意を軽妙に語ってくれます。
中でも心に響くのが著者の祖母・タミさんが残した“啖呵”の数々。「自分を受け入れてくれちゃぁくれんもんを、受け入れる必要はねぇ!」など、的確で明快な言葉が、生きる力を与えてくれます。
※この記事は2023年4月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
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