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- 【書評】『リバー』他2冊
雑誌「ハルメク」の編集部員がおすすめする新刊情報を毎月お届けします。今月は、年齢や経験からにじみ出る人物像が丁寧に描かれ、その振る舞いに共感したり、考えさせられる小説「リバー」など3冊をご紹介します。
奥田英朗著『リバー』
表題の「リバー」とは渡良瀬川のこと。橋から見る美しい夕日のイメージが浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。しかしこの小説は、その渡良瀬川が流れる群馬県桐生市と栃木県足利市で起きた連続殺人事件に関わる人々の物語。
両市で10年前に起き、犯人が捕まっていない事件に状況も手口もそっくりな連続殺人が再び発生。10年前の事件で被害者になった娘の父親、犯人を検挙できないまま引退した元刑事、若手新聞記者など、特定の主人公は存在せず、登場人物たちはそれぞれの立場で事件の真相と犯人を追います。
暴力的なシーンはほとんどなく、年齢や経験からにじみ出る人物像が丁寧に描かれ、その振る舞いに共感したり、考えさせられたり。あっという間の656ページです。
大迫知信&おばあ著『おばあめしおばあと孫の、オモロイ関係。』
「懐かしいおばあちゃんの味」を紹介するレシピ本、ではありません。
物書きを目指すため、電力会社をやめて大学に入りなおす決心をした著者。不安でいっぱいの孫(=著者)に「ごはんくらい作ったる!」と、おばあちゃん(=おばあ)が申し出てくれて、女神に思えたのは一瞬……。おばあが作ってくれるごはんが想像を超えて独特だった!
写真と感想をブログ、SNSにつづるうちに話題になり、1冊にまとまったのが本書。
カレイの唐揚げやアジフライ、イカ天スナックを“貼り付けた”おにぎり、赤ウィンナー、チーズちくわで描いたとぼけた顔……。ビジュアルはインパクト大ですが、おいしそうだし、試してみようかなという気にもなります。
(編著)水野谷優、 (著)國井修、井本直歩子、林佐和美、加藤正寛、高木超『14歳からのSDGs――あなたが創る未来の地球』
「SDGs」……最近よく聞く言葉ですが、「環境保護の話でしょ」と思っていたら、さにあらず。
例えば「女(男)はこうあるべき」と決めつけられず、個性や能力を生かせる社会にすること、地震や津波、台風などの自然災害に強く、安心して住める街をつくることも、SDGsの目標と知ると、がぜん身近に思えてきます。
そんなSDGsのあらましを、平易な言葉と、臨場感あふれる解説で語ったのが本書。
「14歳からの」とありますが、大人が読んでも新しい発見が満載です。無意識に「こんなものかな」「仕方がない」と諦めていた古い価値観を見直すきっかけにも。
※この記事は2023年1月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
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