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- 【書評】「生」の尊さを感じる本他3冊
雑誌「ハルメク」の編集部員がおすすめする新刊情報を毎月お届けします。今月は、誰にでも訪れる「死」を前にしたときに、「今」をどう生きていくのか、終末ケアを受ける患者たちの言葉や表情に死生観を揺さぶれる本など3冊をご紹介します。
『「その日」の前に Right,before I die』
![アンドルー・ジョージ(著)、鈴木晶(訳) ONDORI 刊 2420円](https://halmek.co.jp/media/uploads/0f635ce58aa18ab7088e30f81f08f2481584071891.3958.jpg)
ONDORI 刊 2420円
誰にでも訪れる「その日」を前にした市井の人々のリアルな記録として終末ケアを受ける患者20人の肖像写真とインタビュー原稿、患者直筆の手紙からなる本書。世界各国16万人が訪れた展覧会を一冊にまとめたものです。
「診断を下されたとき、私は薬を飲むのをやめた。死にたかったから」と話す人もいれば、「最初に病名を聞いたとき、闘おうと思った。負けるものか」と話す人もいます。死を見つめることで浮かび上がってくるのは「生」の尊さ。生きている「今」をどう捉え、どう過ごすか、自分自身に問いかけずにいられません。毅然と自分の運命を受け止めた強く優しい表情と言葉の数々に死生観が揺さぶられます。
『美しい「歳時記」の植物図鑑 身近な園芸植物で俳句がひろがる!』
![石田郷子(監修)、「歳時記」植物図鑑編集委員会(編) 山川出版社刊 1980円](https://halmek.co.jp/media/uploads/1d811dd3022a17985391c9af25b60e231584071929.4486.jpg)
山川出版社刊 1980円
「歳時記」とは、俳句の季語を集めて季節ごとに分類・整理し、解説や例句を載せたもの。本書は、パラパラめくって季節ごとの花・植物の図鑑として楽しめるのはもちろん、俳句で名前だけを聞いたことがある植物のビジュアルを調べるという使い方もできます。
意外と身近で目にしている植物も。私が引かれたのは、「一人静」と「二人静」というセンリョウ科の多年草。白い可憐な花穂が付きます。本書によると白い花を「静御前」に例えて名付けられたとか。室生犀星は「君が名か一人静といひにけり」と詠んでいます。ちなみにクリスマスのイメージが強いシクラメンは春の花です。
『にちにいまし ちょっといい明日をつくる琉球料理と沖縄の言葉』
![山本彩香 文藝春秋刊 1595円](https://halmek.co.jp/media/uploads/0e7e7a3ff822c75a4c9f53f2036ccacd1584071970.8548.jpg)
文藝春秋刊 1595円
予約が取れない名店と評判だった「琉球料理乃山本彩香」を閉じ、その後も琉球料理を伝え続けている山本彩香(やまもとあやか)さん。本書は、84歳の著者が、琉球料理の知恵とレシピ、黄金言葉(沖縄のことわざ)を織り込みながら、人生を豊かに生きる術を綴った一冊です。
表題の「にちにいまし」は「似ているけれど、さらによい」という意味。「伝統とは、ただ伝えるだけでなく、基本をしっかり守りながら、時代に合わせて変化していくこと。時代に合わないものはなくなってしまうから」と話す山本さんを支え続けた言葉です。昨日よりよく、明日はもう少しよく。食べること、生きることの支えになる知恵や言葉にきっと出合えます。
※この記事は2020年4月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
※雑誌「ハルメク」は定期購読誌です。書店ではお買い求めいただけません。詳しくは雑誌ハルメクのサイトをご確認ください。
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