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- 人生相談:空き家になった実家の片付けが進まない…
読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、73歳女性の「空き家になって5年がたつ夫の実家。遠方なのもあり、気持ちが実家の片付けに向かない…」という相談に生活研究家・消費生活アドバイザーの阿部絢子さんが回答します。
73歳女性の「夫の実家の片付け」についての相談
夫の両親がなくなって5年がたちます。
遠方にある夫の実家には誰も住んでいません。そのため、5年前までのゴミが手つかずのまま、現在に至ります。
私たち夫婦もいい年なので、そろそろ実家の片付けをしないと!とは思っているのですが、どうも気持ちが実家の片付けに向きません。片付けに気持ちが向く方法などあれば教えてほしいです。
(73歳女性・hideさん)
実家の片付けは主導権を握る人がカギ
実家を片付けるに当たっては、いろいろと考えさせられることが多いものです。特に、実家に、両親が暮らしている時は、たとえどんなに実家が荒れ放題になっていようと、親が暮らしている以上、なかなか子どもたちには手出しができないものです。
手が出せないと思っている一方で、やはり親には快適で、楽しく暮らしてほしいという気持ちもあり、手を出すべきか、出さざるべきかと、気持ちは揺れ動くことでしょう。
親子関係をよくして、親の気持ちに添いながら、時間の許す限り片付けを手伝い、進めることが、最も理想的な実家の片付け、と言えるわけですが、ここに、親子の年齢差を加えると、できること、できないことも、ハッキリしてくるのではないでしょうか。
片付け作業は、家族のなかに主導権を握る人がいて、その人の意見を中心に、物事が進められるのが一般的です。
例えば、夫の実家ならば、夫が暮らした家、夫の両親が暮らしている家、あるいは夫の義きょうだいが引き継いで暮らしている家、ということになりますから、夫が主体にならない限り、片付けなどは一向に進まず、それは現在の夫の状況次第によって、実家の片付けが決まっていくことになるのです。
言い換えると、夫が動かない以上、妻は、考えても仕方がない、ということです。
阿部さんの回答:楽しみをプラス!ついでに片付けを
さて、今回のご相談は、実家が遠方にあるので、足が向かなくなったそうですが、片付けだけに行こうとすると、やはり、億劫になります。
そこで、足の向く方法として、片付けだけではない、楽しみをプラスしてはいかがでしょうか。現在の自分たちが実行している楽しみ、これを実家のある場所でも、見つけるというわけです。
例えば、美術や歴史などが好きなら、博物館や美術館を訪ねる、名所旧跡を巡る、その近くで開催されている展示会に行ってみる、古民家を訪ねたり、泊まったりするなども、いいかもしれません。
または、食べることに興味があれば、食の集まりを見つける、実家の土地の名産を見つける、その土地にしかない食べ物を探してみる、これまで入ることが出来なかった有名店で食を楽しんでみる、といったことなどどうでしょうか。
そして、実家から遠ざかってしまうと、その町のことも忘れがちになるものです。夫が育った町とはいえ、昨今では、ずいぶんと様変わりをしています。じっくりと、数日かけて町歩きをするのもおすすめです。意外に知らなかった町の顔が見えて、町の歴史などもわかり、懐かしく思えるかもしれません。
最後のプラスは、足が遠のいたことで、昔は付き合いのあった友人や親戚なども、すっかりご無沙汰となっているはずです。夫の親しかった人を訪ねて、旧交を温めてみるのも、いいかもしれません。
実家が遠方で遠のいていた足も、楽しみを見つけてみると、足が向いて、通うことになるかもしれません。ぜひ、自分たちの楽しみ優先で、まずは足を運び、気が向いたら、片付けをしてみてはいかがでしょうか。
回答者プロフィール:阿部絢子さん
あべ・あやこ 1945年、新潟県生まれ。生活研究家(消費生活アドバイザー)・薬剤師。家事全般や食品の安全性の専門家として活躍。薬剤師の資格を持ち、今も現役で働いている。
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