村上祥子さん「おせちは買って手作りをプラスが正解」
2021.11.052021年10月12日
料理人だった父が教えてくれた食の金言
マンガ家生活57年!里中満智子さんの活力は食事から
少女漫画「アリエスの乙女たち」や歴史大作「天上の虹」などを世に送り出してきたマンガ家の里中満智子さん。73歳の今も現役マンガ家、さらに大学教授や日本漫画家協会理事長としても活躍しています。そんな里中さんの活力の元は、ずばり「おいしいもの」。
父の人生から教わった食事の心得
高校生のとき「ピアの肖像」で講談社新人漫画賞を受賞し、以来マンガ家生活を続けてきた里中さん。1960~70年代の少女漫画全盛期の時代の連載を、リアルタイムで読んでいた方も多いのではないでしょうか。
今も多忙なマンガ家生活を送る里中さんですが、食事にはこだわりが。それは、料亭の跡取り息子だったお父さまの影響でした。
「父から『食事というものは栄養価が高く、消化がいいものが一番。砂糖は体に良くないから避けた方がいい』と教えられてきたので、毎日の食事はそのあたりにこだわっています。
父は第二次世界大戦中ベトナムで、日本軍の病院の炊事係として従軍していました。現地の人から南国フルーツを大量に仕入れて、傷ついた将校たちに食べさせていたそうなんです。味が濃いから栄養もあって将校たちは回復するんですが、『こんなに食事がおいしいなら退院したくない』と言われたらしいです」
日本に帰国したお父さまは、まだ日本では珍しかった時代にマンゴーやドリアンを母に食べさせたくて、一緒にタイや香港に旅行したそう。また、里中さん自身も小さい頃からお父さまに料理を教わり、デビューして大阪から一人で上京した16歳の頃には、自炊ができるほどに。料理の腕前も、食材を選ぶ舌も、お父さま譲りです。
「おいしいもの」に出合うと幸せ!
里中さんの守備範囲は和食・洋食にとどまらず、香辛料のきいたエスニック料理やアジア料理にも及びます。家族で海外旅行に出掛けた際には、露店からレストランまで現地のさまざまな食文化に触れるのを楽しんでいました。
「食に対してはどん欲。これまで見たことがないような食材でも『食べてみたい!』と好奇心が勝ります。おいしいものに出合えたら、幸せ。それだけで免疫力がアップ(笑)。
今は、東京で世界各国の料理が食べられる時代。リーズナブルでおいしいお店があるのがうれしいですね。私も70代ですから、おいしいものを知らないままの人生よりは絶対知っておきたい、と。食い意地が張っているんですね」と里中さんは笑います。
ただ空腹を満たすだけでなく、好奇心も満たすような食事が、今もマンガを描き続ける里中さんの原動力です。
食事にこだわる里中家のお正月とは
里中さんは、お母さまと妹さんと同じマンションの別の部屋で暮らしていて、毎日の食事は一緒に食べているそう。妹さんは料理上手で、「今年95歳の母が健康でいられるのは、バランスのとれた食事を『おいしい』と食べているからかもしれません」と里中さんは話します。
特に、お正月は力が入ります。「おせちは妹が一品一品手作りしてくれて。おかしら付きの鯛の塩焼き、こうなご入りの紅白なます、関西風のお雑煮も。私の好物の数の子はガラスの器に山盛りに。お酒は家族揃ってダメなんですが、この日ばかりはワインを少しいただきます」
実は、元日はお父さまの命日でもあるそう。「食卓に父の席を用意するんです。父のお膳には、父母が旅行したいろんな国で買った思い出の小皿におせちを分けて。最後は母が食べるんですよ。『パパの食事はママの食事』と言って、夫婦仲が良かったですからね」
お父さまを思い、今いる家族が元気で新年を迎えたことを祝う食卓です。
里中満智子
1948年大阪生まれ。マンガ家、(公社)日本漫画家協会理事長。高校2年生で「ピアの肖像」第1回講談社新人漫画賞受賞。代表作「アリエスの乙女たち」「あすなろ坂」「狩人の星座」、連載が2015年まで32年にわたった「天上の虹」他多数。
撮影=中西裕人 スタイリング=綾部恵美子 ヘアメイク=後田睦子 取材・文=小林さやか(ハルメク 健康と暮らし編集部)
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