公開日:2021/08/10
更新日:2022/05/10
ファッションデザイナー・横森美奈子さんが50代からのおしゃれのコツをアドバイスする連載企画。今回のテーマは、ヘアスタイルです。「何を着てもイマイチ決まらない」のは、年齢や服のせい? 横森さんは「実は『服より髪!』が原因」と断言します。
昨年、65歳で退職したのをきっかけに、新しいことにチャレンジしようと読者モデルに応募したという川城美喜子さん。「年齢のせいなのか、背が低いせいなのか、ここ数年、何を着ても似合わない気がするんです」と、おしゃれの悩みを打ち明けます。
そんな川城さんに対して、「何を着てもしっくりこないのは、年齢のせいでも、身長のせいでも、ましてや服のせいでもありません」と横森さん。ズバリ、「問題なのは、髪です!」と指摘します。
■挑戦した人
読者モデル:川城美喜子さん(66歳)
「パッと見たときの人の印象は、『顔』とその額縁である『髪』で決まります。川城さんの場合、顔の周りを四角くとりまくヘアが顔と頭を大きく見せ、全体のバランスを悪くしています」と横森さん。
さらに濃いローズ系の昔色リップも顔色を悪く見せ、メイクにも“時差”があると分析します。これに対して「髪型もメイクも20年くらいずっと同じ……」と川城さん。美容院に行くのは年2~3回だそう。
「年を重ねて、実は服よりも変えにくいのが髪型とメイク。“私は長年この髪とメイクで、これでいいの”と、なぜか思考停止になりがちです。でも、それではいくら服をがんばって選んでも、今風のおしゃれは成立しません。服のデザイナーである私が『服より髪!』と言うのですから(笑)、本当です」(横森さん)
そこで今回は、川城さんの服はそのままに、髪とメイクを大胆にアレンジ。「髪型だけで、こんなに印象が変わるなんて!すぐに美容院に行きたいです」と、川城さんも驚きを隠せない様子です。
「川城さんのヘアスタイルはきちんとしていますが、顔も髪も四角く大きく見え、全身で見たときのバランスが損なのは、横から見ると顕著です」と横森さん。
メイクも昔風で、これでは今の服とギャップが出ても仕方ありません。
そこで、ヘアを外はねにし、前髪ウィッグを装着。気にしていた四角い輪郭が、全然気にならなくなりました!
額を斜めに横切る前髪は、顔やせ効果アリ。リップの色もコーラル系で一気に明るい表情に。
さらに、フルウィッグにして、カラーのシミュレーションをチェック。髪を変える前と見比べると、スタイルまで違って見える気がします。
明るいカラーの場合、白髪が伸びてきたときに明るい髪色の方が目立たないというメリットもあります。
続いては、黒をベースにしたファッションで変身していきます。
まずは川城さんのいつものスタイルをチェックしてみましょう。
四角い頭と足元まで黒っぽいコーディネートで、全体に重たい印象です。
服も靴も変えていないのに、髪をアレンジしただけで全身のバランスに軽やかさが出ました。「『服より髪!』は本当ですね」と川城さん。
インナーとパンツを白でつなげると、縦長ラインが出現しました。足元も明るくして、すっきりスタイルアップ。川城さんも自信にあふれたこの表情に!
ここからは応用編。髪型&コーディネートを同時に変えていきます。お出掛け前に、鏡で全身をチェックするのをお忘れなく!
「パンツは外出自粛期間中に母の着物をリフォームしたものです」と川城さん。思い入れのある洋服ですが、おしゃれに見せるのが難しいというのがお悩みです。
いつものスタイルだと、頭と上半身は四角く、下半身は黒い靴で重たく見えています。
ネックレスで縦長ラインと色をプラスし、ベージュの靴と“足首見せ”で、着やせ効果もばっちりです。
自らの変身ぶりに驚く川城さん。普段、全身鏡を見ることがないそうですが、「ありえません! ヘアもコーディネートも全身で見るのが鉄則です」と横森さん。
「脚が太いのでスカートは苦手」と川城さん。左の白のロングスカートは去年買ったもののまだ着ていないそう。
右のストライプのパンツはお出掛け用だそうですが、カジュアルなシャツ&スニーカーでは、清潔感はあっても、おしゃれ感は……?
そんな川城さんに、横森さんは「髪が変われば、服もどんどん積極的に楽しめますよ」と話します。
スッキリした髪型に変えて、パンツに透け感のあるシックな色のニットを合わせると、女性らしい着こなしに。存在感のあるロングネックレスで、華やかさと着やせ効果をプラスしました。足元の抜け感でさらにおしゃれ度がアップします。
白のロングスカートは、上下とも白にしてすっきりと。ワンピースのようなエレガントなスタイルになりました。
さらにウィッグで明るい髪色にすると、より軽やかになります。横森さんは「髪の色も全体のコーディネートの一部です!」と強調します。
「何を着ても似合わない」と感じている人は、服よりも髪型が原因かもしれません。自分に似合う髪型がわからない人は、同年代の人のヘアカタログを参照したり、美容師さんに相談したりするのもおすすめです。
構成=五十嵐香奈(編集部) 撮影=日高奈々子 ヘアメイク=木村三喜
※この記事は雑誌「ハルメク」2020年9月号に掲載された内容を再編集しています。
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