5%の希少性乳がんに罹患。その時どうした?
【乳がん闘病記】おひとりさま漫画家「希少がん」胸の再建をしなかった理由
【乳がん闘病記】おひとりさま漫画家「希少がん」胸の再建をしなかった理由
更新日:2026年02月23日
公開日:2026年02月18日
乳がん闘病体験談を語ってくれたのは?
・名前:ナヲコさん
・年代・家族構成:56歳 おひとり様
・職業:漫画家 「50代おひとり様、5%の希少乳がんになりました」作者
・属性:2023年に乳がん(浸潤性小葉がん)を経験。片方の乳房を摘出し再建せず
50代おひとり様。健康にだけは自信があった
闘病コミックエッセイ「50代おひとり様、5%の希少乳がんになりました」が話題となった漫画家のナヲコさん。SNSで偶然目にした友人の投稿がきっかけで、セルフチェックをして感じた胸の違和感。そこから、乳がん全体の5%という希少がん「浸潤性小葉がん」の闘病生活へ。
50代女性にとって、乳がんは他人事ではないと思う病気。がん発見から現在の暮らしまでの軌跡を、編集部のインタビューを通じて語っていただきました。
【ハルメクアップ編集部(以後、編集部)】ご自身の体の変化に気付いたきっかけについて教えていただけますか?
忙しい毎日の中で、つい自分の体のことって後回しにしがちですが、私が病気に気付いたきっかけは、偶然の出来事でした。ある日、SNSを眺めていると、友人が胸の良性腫瘍の手術をしたという投稿が目に留まったのです。
その投稿がなければ、自分の体を意識的にチェックすることはなかったかもしれません。友人の報告に促されるように、私も自分の胸を確かめてみました。すると、そこには今まで感じたことのない違和感があって……。この小さな気付きが、私を病院へと向かわせる大きな一歩となったんです。
全体の5%の希少がん。他のみんなと同じでいいのに…
【編集部】病院での検査や診断は、どのように進みましたか?
クリニックでの診察から検査までは、驚くほど淡々と進みました。先生や技師さん、看護師さんたちがとても丁寧に接してくださったおかげで、不安で心が大きく揺れるような瞬間は特にありませんでした。
しかし、診断名を聞いたとき、私はこれまでの人生の中で一番の衝撃を受けました。告げられた病名は「浸潤性小葉がん」。そして、それが乳がん全体のわずか5%しかいない希少なタイプだと聞いたのです。
その瞬間、最初に頭に浮かんだのは、「他のみんなと同じでいいのに」という、あまりにも正直な気持ちでした。「なぜ自分だけが、この珍しいがんなのだろうか」と。
「胸の再建はしない」迷いなく決めた、私らしい選択
【編集部】希少がんと診断された後、治療方針はどのように決めたのですか?
治療方針を決める過程で、私が主体的にやったことは、実は「病院選び」くらいだったと思います。最初に検査を受けたクリニックの先生が推薦してくださる先生がいる病院だったことが決め手として大きかったです。それ以外の治療内容については、基本的に標準治療に沿って進めていきました。片方の胸も切除しました。
【編集部】手術で失った胸を再建する方法もあったかと思います。その点については、どのようにお考えでしたか?
治療の選択肢の中には、手術で失う胸を再建するという道もありました。しかし、私にはその気持ちが最初から全くなく、現在もありません。
なぜそこまで徹底して再建に興味がなかったのか、自分でも理由はよくわかりません。もしかしたら「自分の女性らしさ」というものに、あまり関心がなかったのかもしれないです。
むしろ、手術で切除した側の体は、傷の痛みはあってもどこか「楽」だとさえ感じています。残っている側の胸のほうが邪魔だな、と思ってしまうことすらあるくらいです。
この感覚は、私がこれまで「おひとりさま」で居続けていることとも、実はどこかで繋がっているのかもしれません。そして何より、「手術は悪いところを取り除くための1回でいい!」という思いが、私の中には強くありました。
病気で変わった生活。今も続く、ホルモン療法との付き合い
【編集部】術後の生活には、どのような変化がありましたか?
術後の生活は、以前とは大きく変わりました。体調維持を目的として食生活の改善と減量に取り組んだ結果、体が軽くなり、以前は面倒だと感じていたことにも億劫さを感じることが減りました。
減量で服のサイズがワンサイズ下がったことで、自分が心から楽しいと思える服を選べる機会も、少し増えたように思います。がんというと重大な病気のイメージですが、今の私は「がんになる以前より健康的になったかもしれない」と感じることさえあります。
【編集部】治療を続ける中での苦労を感じた点は?
もちろん、すべてが順調というわけではありません。手術の跡の周辺は、今でも痛むことがあります。大きく切除したのだから仕方がない、と受け止めています。
また、現在もホルモン療法を続けているため、薬の副作用とは常に隣り合わせです。本来であれば更年期世代としてエストロゲンを補充したい年齢なのに、それを抑える薬を飲んでいるため、関節痛や抜け毛、指のこわばりといった症状は、実年齢以上に強く感じます。
まさに、以前描いた漫画の終盤の状況が、今もそのまま続いている感覚です。
心の余裕があってこそ。「健康」と向き合う難しさ
【編集部】心身の健康を維持するために、意識されていることはありますか?
2025年の前半頃までは、栄養バランスの取れた食事や散歩を心掛けていました。しかし、後半からは高齢の母の支援で多忙になり、正直なところ、自分の健康に注意を払ったり工夫をしたりする余裕がほとんどなくなってしまいました。
意識的に休暇を取ってストレスを溜めすぎないようにはしていますが、なかなか追いつきません。「健康への対策というのは、ある程度、心に余裕がないと難しいものなのだな」と、今、改めて実感しています。
50代のあなたへ。とにかく「検診に行って」ください
【編集部】最後に、同世代の女性たちに伝えたいメッセージがあればお聞かせください。
私はあまり物事を思い詰めるタイプではなく、手術への恐怖心も少なかったり、胸がなくなることも気にしなかったり、その点ではあまりみなさんの参考にはならないかもしれません。でも、そんな私だからこそ、たった一つ、強く伝えたいことがあります。
それは、とにかく「検診に行ってほしい」ということです。これに尽きます。
私の経験から強く感じたのは、早期発見であればあるほど、対処の方法は増えるということです。検診を受けて、もし何も見つからなかったら、それはそれで最高の知らせです。検診を受けて損をすることは何一つありません。だから、どうかためらわずに足を運んでほしいのです。
病気は暮らしを変えましたが、その変化の中に新しい健康や楽しみを見出すこともできました。私の歩みは、まず自分自身の体を知ることから始まる、その確かな一歩の大切さを教えてくれているのかもしれませんね。
※この記事は個人の体験談に基づくものです。症状や治療法には個人差があるため、医療に関する判断は必ず専門の医療機関にご相談ください。
取材・文=鳥居 史(Halmek up編集部)
【漫画紹介】50代おひとり様、5%の希少乳がんになりました
ナヲコ (著) KADOKAWA刊
「体力はそこそこあるし」健康診断をおろそかにしていた漫画家が、ある日胸のしこりに気付き……5%の希少乳がんになり、自分なりの向き合い方を描いた乳がん治療体験コミックエッセイ。急に始まった治療・入院を通して考えたお金のこと、体のこととは? 気付きや学びをコミックエッセイで丁寧に振り返ります。








