下肢静脈瘤が確実に改善する、医療機関の選び方と正しい治療法・心得

下肢静脈瘤が確実に改善する、医療機関の選び方と正しい治療法・心得

公開日:2025年03月16日

下肢静脈瘤の見た目が気になる、むくみなどの症状がつらい、セルフケアで症状が軽くならない……。そんな場合は医療機関での治療を検討しましょう。下肢静脈瘤に悩む人の医療機関の選び方や、治療の種類について紹介します。

教えてくれた人:齋藤陽(さいとう・あきら)さん
 

教えてくれた人:齋藤陽(さいとう・あきら)さん

東京・品川区の目黒外科院長。日本大学医学部卒業。同大第二外科、国立病院機構災害医療センター心臓血管外科などを経て、2017年に下肢静脈瘤を専門に治療する目黒外科を開院。外科専門医、脈管専門医。著書に『専門医が教える 世界一わかりやすい下肢静脈瘤の治療と予防』(医学通信社刊)。

下肢静脈瘤の治療の正しい受け方、3つの心得

下肢静脈瘤の治療の正しい受け方、3つの心得

いつ治療を受けたらいいのか、受診したけれど納得のいく説明が得られなかった……。下肢静脈瘤の治療を数多く手掛けている目黒外科院長の齋藤陽さんのところには、そんな悩みを抱えて来院する患者さんも少なくないそうです。

「治療を受ける際は十分な説明を受け、患者さんご自身が納得することが大前提。病院選びはとても重要です」と齋藤さんは強調します。

下肢静脈瘤の治療を受けるときの3つの心得

下肢静脈瘤の治療を受けるときの3つの心得

1.    十分な説明を受け、納得してから治療を受ける
2.    超音波検査で静脈に逆流があったかどうか、必ず確認する
3.    命に関わる病気ではないので、急がなくていい(うっ滞性皮膚炎は別)


本当に治療が必要な状態なのか、見極めるために行われるのが超音波検査。脚の静脈の逆流を防ぐ“弁”が働かなくなると、血液が逆流して脚にたまるようになります。超音波検査では、この逆流があるかどうかがわかります。

「血管が太くなっていても、血液の逆流がなければ治療は必要ありません。超音波検査を受けた後、『逆流はありますか?』と医師にぜひ聞いてみてください」と齋藤さん。

また治療を急ぐ必要があるのは、 うっ滞性皮膚炎を起こしている場合だけ。「下肢静脈瘤は命に関わる病気ではありませんから、急がなくてもいい。医師とよく話し、治療法についての情報もしっかり入手しましょう。治療はそれからでも間に合います」と齋藤さんは話します。

日帰り手術ができる血管内治療が主流

日帰り手術ができる血管内治療が主流

治療法は下肢静脈瘤のタイプによって違ってきます。現在、主流になっているのが、カテーテルと呼ばれる細い管を脚の静脈に挿入して治療する血管内治療。これには「血管内焼灼術」と「血管内塞栓術」があり、主に伏在型静脈瘤(ふくざいがた・じょうみゃくりゅう)が対象となります。皮膚を切らないので傷が残らず、日帰り手術ができます。

医師とよく話し、自分の症状にあった治療法を選びましょう

血管内治療「血管内塞栓術(けっかんないそくせんじゅつ)」(グルー治療)

 

血管内治療「血管内塞栓術(けっかんないかんせんじゅつ)」(グルー治療)


逆流を起こしている静脈にカテーテルを入れ、医療用接着剤を注入して血管内を塞ぐ。グルーは“糊”という意味。主な対象は伏在型静脈瘤

血管内治療「血管内塞栓術(けっかんないかんせんじゅつ)」(グルー治療)

費用の目安:片脚あたり5万円強
所要時間:片脚あたり30分程度

血管内治療「血管内焼灼術(けっかんないしょうしゃくじゅつ)」

血管内治療「血管内焼灼術(けっかんないしょうしゃくじゅつ)」

カテーテルの先から出る熱で患部の静脈を焼き固める。レーザーか高周波を用いる。術後は約1カ月間弾性ストッキングを着用。主な対象は伏在型静脈瘤

血管内焼灼術

費用の目安:片脚あたり4万円前後
所要時間:片脚あたり30~40分

「硬化療法(こうかりょうほう)」

硬化療法(こうかりょうほう)

硬化剤という薬剤を注射で注入し、包帯で圧迫して患部を閉塞させる。複数回の治療が必要なことも。主な対象はクモの巣状静脈瘤網目状静脈瘤(あみめじょう・じょうみゃくりゅう)

硬化療法

費用の目安:1回約6000円
所要時間:10~15分

*治療費は3割負担の目安。初診料や検査費用などは含まれない。
(治療費は医療機関によって異なります)

血管内焼灼術は、静脈瘤のある場所をレーザーなどで焼く方法。患部の血管が閉鎖して血液が下に逆流しなくなり、血管のボコボコやむくみなどの症状が解消されます。

血管内塞栓術は、静脈瘤のある血管に医療用接着剤を注入して血管内を塞ぐ方法。「グルー治療」とも呼ばれ、2020年から健康保険が利くようになりました。血管内焼灼術では治療時に局所麻酔をして、術後の一定期間、弾性ストッキングを着用する必要がありますが、グルー治療ではその必要がないという利点があります。

「ただし、グルー治療だけで治せる静脈瘤は限られるため、現状では9割以上の患者さんに血管内焼灼術が用いられています」(齋藤さん)

また症状がなく、見た目だけが問題のクモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤に対しては、注射で薬剤を注入して血管を閉塞させる「硬化療法」が行われます。

これらの治療法はすべて健康保険が利きます。

齋藤さんは「病院や治療法を正しく選べば、下肢静脈瘤は確実に治療できます」と話します。「年齢だから仕方ない」「どこの病院に行けばいいかわからない」と放っておかず、適切なケアを心がけましょう。


取材・文=佐田節子、イラストレーション=堀川直子、構成=大矢詠美(ハルメク編集部)

※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年5月号を再編集しています

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