公開日:2025年03月16日

気になる脚のボコボコ…「下肢静脈瘤」になりやすいのはどんな人?

気になる脚のボコボコ…「下肢静脈瘤」になりやすいのはどんな人?

50代を過ぎると、脚にボコボコと血管が浮き出る下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)に悩む人が増えてきます。でも医師の齋藤陽さんによると「下肢静脈瘤は必ず改善できる」とのこと。気になる症状がある人は放置せず、今日からケアを始めましょう!

教えてくれた人:齋藤陽(さいとう・あきら)さん

教えてくれた人:齋藤陽(さいとう・あきら)さん

東京・品川区の目黒外科院長。日本大学医学部卒業。同大第二外科、国立病院機構災害医療センター心臓血管外科などを経て、2017年に下肢静脈瘤を専門に治療する目黒外科を開院。外科専門医、脈管専門医。著書に『専門医が教える 世界一わかりやすい下肢静脈瘤の治療と予防』(医学通信社刊)。

日本人の約10人に1人がなっている!「下肢静脈瘤」とは?

日本人の約10人に1人がなっている!「下肢静脈瘤」とは?

脚の血管がコブのように浮き出たり、クネクネと蛇行したりする「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」。この治療を数多く手掛けている目黒外科院長の齋藤陽さんは次のように説明します。

「血液は心臓から動脈を通って全身に送られ、静脈を通って再び心臓に戻ります。動脈が“上水道”だとすると、静脈はいわば“下水道”。細胞から出た老廃物を回収して運ぶ役割を担っています。この下水道がうまく流れず、老廃物を含んだ汚れた血液が脚にたまった結果、血管が太く浮き出たり、むくみなどの症状が出てきたりするのが、下肢静脈瘤です」

実はとても身近な病気で、日本人の約10人に1人、出産経験のある女性に限ると2人に1人に見られるという報告もあるほど。「40歳頃から増え始め、年齢とともに増加します。最も多いのが60代です」(齋藤さん)

こんな症状はありませんか?

●    太ももやひざ裏の小さな血管が目立つ
●    すねやふくらはぎの血管が太く浮き出ている
●    脚が重くだるい、夕方になるとむくむ
●    寝ているときに脚がつる
●    脚の皮膚の変色、湿疹、かゆみがなかなか治らない

妊娠・出産などを機にゆっくり進行

女性に多い理由の一つが、血管拡張作用のある女性ホルモンだといいます。妊娠時には女性ホルモンが大量に分泌され、血液量も増えるため、静脈が引き伸ばされることに。また大きなお腹が静脈を圧迫して脚の血流も妨げます。

「複数回の妊娠・出産をきっかけに下肢静脈瘤の“芽”ができ、そこに立ち仕事や加齢による血管の変化なども加わって少しずつ進行し、50代60代になってから血管の膨らみやむくみなどの症状を自覚するようになる……そういうパターンが多いですね」(齋藤さん)

こんな人は特に下肢静脈瘤に要注意!

下肢静脈瘤の発症には他にも遺伝的要因や肥満、便秘なども関係します。まずは下のチェック表で確認を。

□両親、あるいはどちらかに下肢静脈瘤がある
□妊娠・出産を複数回経験している
□仕事などで長時間、立ったままや座ったままでいることが多い
□太っている
□運動不足
□便秘で排便時にいきむことが多い

妊娠・出産などを機にゆっくり進行

下肢静脈瘤には3つの段階があります

下肢静脈瘤は症状に応じて、いくつかの種類があります。軽症から重症まで3段階に分けられ、治療法も違ってきます。下の説明と写真でチェックしましょう。

1.見た目が気になる

【クモの巣状静脈瘤】

クモの巣状静脈瘤

皮膚直下にある直径0.1~1mmの毛細血管が拡張して、赤や紫色に透けて見える

【網目状静脈瘤(あみめじょう・じょうみゃくりゅう)】

網目状静脈瘤(あみめじょう・じょうみゃくりゅう)

直径2mm以下の毛細血管が拡張して、青く網目のように見える


◆どんな状態?
太ももやひざ裏、ふくらはぎの毛細血管が拡張し、クモの巣や網目のように透けて見える。放置していても静脈が太くなったり蛇行したりすることはない。

◆症状は?
まれにピリピリ、チクチクとした痛みや灼熱感を覚えることがあるが、ほとんどの場合、症状はない。

◆治療は?
見た目が気になる場合は、治療を検討する。注射による「硬化療法」がよく用いられる。

2.症状がつらい

【伏在型静脈瘤(ふくざいがた・じょうみゃくりゅう)】

伏在型静脈瘤(ふくざいがた・じょうみゃくりゅう)

太ももからふくらはぎの内側を走る「大伏在静脈」とふくらはぎの後ろ側を走る「小伏在静脈」の血液が逆流し、ボコボコと浮き出る

【側枝型静脈瘤(そくしがた・じょうみゃくりゅう)】

側枝型静脈瘤(そくしがた・じょうみゃくりゅう)

大伏在静脈と小伏在静脈から枝分かれした静脈が拡張して、クネクネと蛇行する


◆どんな状態?
血液の逆流を防ぐ弁がうまく閉じなくなり、血液が逆戻りして渋滞。太ももやふくらはぎの静脈が3mm以上に太くなり、コブのように見えたり蛇行したりする。

◆症状は?
脚がだるい、重い、ほてる、むくむ、就寝中につるなど。症状がないことも。

◆治療は?
症状がつらい、見た目が気になる場合は、治療を検討する。治療法には「血管内焼灼術」や「血管内塞栓術」がある。

3.すぐに治療が必要

【うっ滞性皮膚炎(うったいせいひふえん)】 

うっ滞性皮膚炎(うったいせいひふえん)

脚の皮膚が褐色に変色し、かゆみや痛み、カサカサ、皮膚の硬化などの症状が出る


◆どんな状態?
老廃物を含む血液が長年脚に滞ることで、皮膚炎が生じ、なかなか治らない。

◆症状は?
脚の皮膚に湿疹やかゆみ、色素沈着、皮膚の硬化などが起こる。かきむしって傷口が広がり、皮膚がえぐれて潰瘍を伴うことも。

◆治療は?
重症の段階なので急いで治療を行う。皮膚炎の治療と「血管内焼灼術」などの治療を同時に行う。

「深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)」にも注意を!

脚の奥の深部静脈に血の塊(血栓)ができて血管を塞ぐ「深部静脈血栓症」。下肢静脈瘤と混同しやすいですが、別の病気です。長時間同じ姿勢でいると血行が滞り、発症しやすくなります。血栓が血流にのって肺の血管を詰まらせると「肺塞栓症」(いわゆるエコノミークラス症候群)に。脚が腫れて痛む場合は早く受診を!


次回は下肢静脈瘤の予防&悪化を防ぐセルフケアを紹介します。

取材・文=佐田節子、イラストレーション=堀川直子、構成=大矢詠美(ハルメク編集部)

※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年5月号を再編集しています

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