口腔ケアで認知症予防

2024年10月11日

オーラルフレイルをチェック

口腔ケアが認知症予防に役立つって本当?

年齢を重ねるごとに増えがちな口の悩み。でも適切にケアすれば快適な毎日が送れるだけでなく、将来の認知症のリスクも減る(※1)といいます。今回は心も体も快適になるための、口腔ケアをご紹介します。

認知症リスクを避けるために、大切な口腔ケア

pearlinheart / PIXTA

普段から、毎食後の歯磨きは行っていますか? 歯の痛みや歯ぐきの腫れ、出血を放置していないでしょうか。「ちょっとしたこと」でも放置せず、早めに治療しておきましょう。

歯がきれいなら、大きく口を開けてお腹の底から笑うこともできますし、みんなと楽しく食事することもできます。それだけでなく、口の健康は将来の認知症リスクの軽減にもつながるのです。

なぜ?口のトラブルと認知症との関係

口腔ケアで認知症予防
 takeuchi masato / PIXTA

なぜ、口のトラブルと認知症とが関係するのでしょうか?

例えば、物を噛むたびに歯が痛むとしっかり噛めなくなり、次第に噛む力が衰えます。すると、次第に脳への刺激と血流量が減ってきます。そして柔らかいメニューを好むようになり、いつの間にか栄養が偏って栄養不足を引き起こします。栄養不足は、免疫力や運動機能の低下、さらには認知機能低下の原因になります。

また最近では、認知症の原因に歯周病菌が関係している、といった研究報告(※1)もあります。歯周病と診断されたら、早めに対策しましょう。

意外なのが、精神への影響です。前歯がないなど歯の欠損は見た目に大きく影響します。すると会食やご近所づきあいといった、人とのコミュニケーションがおっくうになります。社交性が薄れれば、将来の認知症のリスクが高まります。

「オーラルフレイル」とは

口腔ケアで認知症予防
 Luce / PIXTA

口の機能が、健常と機能低下との間にある状態のことを「オーラルフレイル」といいます。

具体的には噛む力が衰えて固いものが食べにくい、また食べこぼしをするなどの咀嚼機能の衰えや、飲み込む力が弱まってむせたり、さらに口の渇きや滑舌の悪化などが挙げられます。

また、こうした症状で今までのような食事ができにくくなれば、心の元気もなくなってしまいます。

そのためオーラルフレイルの進行が、将来の認知症リスクを高めるといわれています。

オーラルフレイルかチェックしてみましょう

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 nonpii / PIXTA

オーラルフレイルのチェックリストで、自分でチェックしてみましょう。

【チェック項目】  

  1. 自身の歯が19本以下である。(さし歯や金属をかぶせた歯は数える。インプラントは数えない) 
  2. 半年前と比べて固いものが食べにくくなった。
  3. お茶や汁物でむせることがある。
  4. 口の渇きが気になる。
  5. 普段の会話の中で、言葉をはっきり発音できないことがある。

5つの項目のうち2項目以上当てはまる人は、オーラルフレイルの恐れがあります(※2)。早めにかかりつけの歯科医に相談しましょう。

適切な対策で口の機能低下が緩やかになり、改善する可能性もあります。

毎日の予防で、口と体の健康アップ!

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 pearlinheart / PIXTA

オーラルフレイル予防の基本は、食後の歯磨き。1日3回の歯磨きを習慣にしましょう。歯を1本1本丁寧に磨こうとする手や指の動きは、認知症予防にも効果的です。また定期的に歯科医を受診して、口の中の状態を知っておきましょう。

食事中は、もぐもぐと口を動かすように意識します。何より大勢で楽しく食べることは、認知機能の維持につながります  。

次にオーラルフレイルにならないための、口を動かすトレーニングをご紹介しましょう。簡単で、生活の中で取り入れられるものばかりです。

1. 口の運動
口を思い切り「うー」、「いー」とすぼめたり横に開いたりして、筋肉を動かしましょう。

2. ぶくぶくうがい
口に大さじ一杯程度の水を含み、口を閉じたら、左右片方ずつほほをふくらませながら「ぶくぶく」とうがいをしてみましょう。口腔内の筋肉を動かすと共に、口腔内の汚れを取り保湿にもなるので、一石二鳥です。

3. パタカラ体操
「パ」、「タ」、「カ」、「ラ」をそれぞれ「パパパパパパパパ」、「タタタタタタタタ」と、8回連続で発声してみましょう。どれも唇や舌をうまく使えればクリアに聞こえる音です。

このほかに「生麦生米生卵」などの早口言葉も、楽しく口を動かす運動として効果的です。ぜひ挑戦してみましょう。

家族が認知症当事者にできるケアのポイント

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 nonpii / PIXTA

家族とはいえ、他人の口の中をチェックする機会はなかなかありません。しかし認知症の当事者の口の中は、磨き残しなどケアが不十分であることが多く、また粘膜が炎症を起こしていたりと健康状態が悪いことも多いものです。

ブラッシングをする際は、驚かせないように前もって必ず声かけをしてから行います。

まず、患者の口内炎や欠けた歯、歯ぐきの腫れなどをチェックしてから、歯ブラシなどの道具を使ってブラッシング。このとき、介助は最小限にして、できるだけ自力で行ってもらうのがポイントです。

また介助するときは、誤嚥を防ぐためにガーゼや吸引機を使って水分を吸い取りながら行いましょう。

口腔ケアは歯周病や虫歯の予防だけでなく、全身の健康や、将来の認知症リスクの軽減にもつながります。丁寧な歯磨きを毎日の習慣にして、心も体も生き生きと過ごしましょう。

■出典
(※1)口腔機能の健康への影響 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
(※2)オーラルフレイルを知っていますか? | 日本老年歯科医学会

記事協力:Theoria technologies株式会社


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