今こそ知りたい50代からのデリケートゾーンの話#6

フェムケアQ&A|性交渉が痛い!どう対策する?

公開日:2024.04.26

50代からのデリケートゾーンに関するお悩みに、対馬ルリ子 女性ライフクリニック銀座院長の石山尚子さんと、認定メノポーズ(更年期)カウンセラーとして活動中の吉川千明さんが回答します。今回は「性交渉が痛い!」というお悩みです。

教えてくれた人のプロフィール

産婦人科医・石山尚子さんのプロフィール

石山尚子(いしやま・なおこ)さん。日本産婦人科学会専門医。富山大学附属病院および関連病院勤務を経て2007年より女性医師・スタッフによる女性のためのクリニック、対馬ルリ子 女性ライフクリニック 銀座に勤務。21年より院長に。

吉川千明(よしかわ・ちあき)さん

吉川千明(よしかわ・ちあき)さん  
美容家・オーガニックスペシャリスト・認定メノポーズ(更年期)カウンセラー。コスメのみならず、食や植物療法などナチュラルでヘルシーな女性のライフスタイルを提案。近年は更年期ケアの専門家として、女性の健康啓発を行う。

石山尚子さんの回答:さまざまな原因、さまざまな対処法があります。まずは婦人科で相談を

フェムケア

性交痛とは性行為の時に感じる痛みのことです。性交痛の原因はさまざまですが、更年期以降の女性の場合、女性ホルモンの低下により外陰部や膣が乾燥し、萎縮することが痛みの主な原因といわれています。

実際、診察時に「最近、痛くて性交が苦痛になってきました」、「久しぶりにトライしたら、痛くてダメでした」、「性交後もヒリヒリが続いて、おりものに血が混ざりました」、「痛くて拒否していたら、パートナーとの関係がうまくいかなくなりました」などといった悩みを訴える方がたくさんいらっしゃいます。

しかし診察をしてみると、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣腫瘍などの病気やクラミジア、淋菌などの感染症、精神的ストレスや緊張など複数の原因が重なっている場合もありますので、まずは恥ずかしがらずに婦人科でご相談ください。

性交痛の解消法

潤滑ジェルを使用する

まず、性交時に挿入する痛み対策には、潤滑ジェル(ルブリカント)を塗る方法があります。ドラッグストアやインターネットで入手でき、当院での販売品もあります。

デリケートゾーンのケアを行う

デリケートゾーン用の洗浄剤や保湿剤を使い、乾燥を防ぎましょう。さらに膣の入り口を軽くマッサージすることで血行をよくし、デリケートゾーンをより柔らかくしっとりと保つ効果が期待できます。

性交時に潤滑ゼリーやローションを使う

潤い不足による性交痛にはゼリーやローションなどの潤滑剤を使い、スムーズに挿入できるようにします。できればパートナーにも理解してもらい、協力してもらえるといいですね。

婦人科で原因を見つけ、それぞれに合った治療を受ける

HRT(ホルモン補充療法)

張り薬、塗り薬、飲み薬、膣錠の中から、症状や体質にあわせて女性ホルモンを補っていく治療です。性交痛以外の更年期症状にも効果があります。ただし、乳がん、子宮体がん、血栓症など既往がある場合など、HRTを受けられない場合があります。

レーザー施術を行う

外陰部や腟壁にレーザーを照射することで、ふっくらとした潤いのある状態に回復させることができる治療です。外陰部の痛みやかゆみ、おりもの、軽度の尿失禁など性交痛以外の女性特有の不快感にも効果が期待できます。1か月毎に3回程度照射することで半年~1年効果が持続するといわれており、最近、この治療を受けられる医院が増えてきています。

膣拡張器によるレーニング

シリコンダイレーター(膣拡張器)5本セット1万円 (Women’s Wellness Shop、税込み)
シリコンダイレーター(膣拡張器)5本セット1万円 (Women’s Wellness Shop、税込み)

膣が萎縮などで狭くなっている方や、心理的に挿入できない状態になっている方に有効な場合があります。細いものから徐々にサイズアップして腟に挿入していきます。

これら以外にもさまざまな対処法がありますので、ぜひ婦人科でご相談ください。

吉川千明さんの回答:パートナーと話して潤滑ジェルを使いましょう

吉川千明さんの回答:パートナーと話して潤滑ジェルを使いましょう

性交痛は深刻な問題だと思います。自分は女じゃなくなった、価値がなくなってしまったような感覚になってしまう方もいますよね。また、気軽にセックスの話をできないといった心理的なハードルもあると思いますが、80代の方でもセックスしている話を聞きますし、今や隠すような話じゃなく堂々としていいんです。

40歳以降、女性ホルモンの低下とともに膣の中も潤いがなくなります。誰にでも起こること。そしてかなり苦痛なことですよね。

性交痛を感じるようになってきたなら、パートナーに潤滑ジェルを使うよう提案してみましょう。

何も言わないで我慢していたら血だらけになって、相手はそれを生理だと勘違いしていた……なんて話を聞いたことがあります。その方は、相手の男性のプライドを傷つけてしまうからと思って伝えられなかったそうです。

でも、更年期以降の女性の体が変わることを説明すればいいと思います。アイテムを使って、滑りをよくするだけで傷みは緩和されますから、相手にちゃんと伝えた方がいいですよ。

もしも相手に直接言えないなら、黙って使えばよいのです!

ベッドルームの引き出しに、潤滑ジェルやオイルを買って堂々と置いておくといいです。潤滑ジェルは当たり前のように使った方がいい。セックスできるというのは元気な証拠ですし、痛いことやイヤなことは我慢しないでほしいですね。

性交痛を軽減させるためには、日頃のケアも大切です。デリケートゾーン専用の保湿オイルで保湿ケアを行いましょう。膣の入り口をマッサージするのもおすすめです。さらにセックスの前には、デリケートゾーンの外側にたっぷり塗っておくのもいいでしょう。毎日の保湿にも使えるし、セックスのときにも使える。そういうものを用意しておくのもいいと思います。
 

■もっと知りたい■
美容家・吉川千明さんが教える!お悩み解消のデリケートゾーンケア

中尾 慧里

なかお・えり 1966(昭和◎41)生まれ。ビューティライター。チャイルドボディセラピスト1級取得。女性誌、WEBにて美容に関する記事執筆、コスメ開発のコンサルティングなども手掛ける。インスタグラム@erierikisekiをゆっくり更新中。

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